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【日本経済復活の切り札】インバウンド需要の強化&観光立国実現への筋道とは?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
長いコロナ禍というトンネルを抜け出し、水際対策をしっかりしつつも、海外からの観光客を受け入れる――。いよいよインバウンド需要が本格化しようとしています。
 
円安に加え、コロナ前から観光したい国として人気のある日本にとって、このインバウンド需要は日本経済の復活の切り札として、多くの人が認めるところでしょう。
 
では、実際にどのようにインバウンド需要を強化し、観光立国の実現を果たしていけばいいのか?
 
1月24日(Amazonで先行発売中)に発売予定の新刊『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、この【インバウンド需要と観光立国】について、経済アナリスト馬渕磨理子さんマーケティングアナリスト渡辺広明さんがそれぞれの立場からわかりやすく解説しています。
 
今回は、同書から【インバウンド需要と観光立国】に関する該当箇所を、このnote限定で全文公開します。

【TOPIC18】インバウンド需要をどう強化し、観光立国を実現するか?

☑2019年に日本を訪れた外国人旅行客者は3188万人。
☑2021年の「観光開発指数」で日本は世界第1位。

 
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国連世界観光機関(UNWTO)によれば、2019 年に日本を訪れた外国人旅行客数は3188万人で、世界12位だった。新型コロナウイルスのパンデミックにより2020年からは世界的に観光業が落ち込んだが、2022年の1~9月の国際観光客到着数は、前年同時期比2倍以上の7億人に達し、パンデミック前水準の63%まで回復している。
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まずは観光客数4000万人台を目指す

渡辺 コロナ前の2019年、訪日観光客数は約3200万人で、世界12位でした。僕は「観光立国」に可能性を感じていて、アフターコロナは観光客数世界一を目指すべきだと思っています。

日本は世界第12位

馬渕 同年の世界1位はフランスの約9000万人です。
渡辺 もちろん、いきなり倍以上に観光客を増やすことは難しいから、まずは、メキシコ(7位/約4500万人)やタイ(8位/約4000万人)を追い抜きたいですよね。
馬渕 インバウンドを強化するため、何が必要だと思いますか?
渡辺 まずは2025年の大阪・関西万博に向けたインバウンド対応の強化です。観光案内の多言語対応と世界に向けた情報発信です。
あとは平行して「日本全国観光地化」を勧めるべきでしょう。日本の魅力は、海外の観光立国と比較しても、決して負けていません。
世界経済フォーラム(WEF)は、観光資源、観光政策、インフラ、治安など17カテゴリ・100項目以上をスコア化して評価する「観光開発指数(旧観光競争力)」を毎年発表しています。この指数において、2021年の日本は世界1位を獲得しています。

観光競争力は、日本は世界第1位

また、日本政策投資銀行の「第3回新型コロナ影響度 特別調査」では、「次に海外旅行したい国」でアジア居住者・欧米豪居住者ともに日本が1位に選ばれています。

次に海外旅行に行きたい国でも、日本は第1位

ホテル事業で外資系に勝つために、「所有」と「運営」を分ける

馬渕 海外企業も、日本の観光ビジネスに注目しています。
渡辺 そうなんですよ。最近で注目すべきは「道の駅」です。
ホテル業界の世界トップであるマリオットは、積水ハウスと協力して地方創生事業「Trip Base道の駅プロジェクト」を行なっています。2020年から道の駅を拠点に次々とホテルを開業していて、2025年までに26道府県・3000室規模の拡大を目指すとのことです。ただ悔しいのは、日本企業単体じゃなくて、海外資本が投入されていることなんですよね。
馬渕 海外のホテル事業は、土地やホテルの「所有」をファンドが担い、サービスの「運営」をホテル会社が行なうというモデルが一般的です。
一方、日本は所有と運営が一体化していてるため、動きが鈍いんですよね。2022年夏、西武HDがプリンスホテルやゴルフ場などの国内31 施設を外資系ファンドに売却したのは記憶に新しいところです。
渡辺 国内企業ならば星野リゾートがバブル崩壊後に「運営特化戦力」を行なって、躍進を果たしましたよね。しかし、多くの業界大手は所有&運営にこだわって動けず、外資に先を越されているのが現状です。
マリオットに続けと言わんばかりに、ヒルトンやハイアットなどの外資系大手が日本でのホテル軒数増加を表明しています。
海外企業が日本の観光・リゾートに価値を見いだしてくれるのはうれしいけど、日本の魅力を世界に広めるんだから、もっと日本企業に頑張ってほしいですね。
馬渕 コロナ後のインバウンドは「質」を追求することも重要ですよね。つまり、富裕層ニーズを取り込みです。たとえば、コロナ以前の取り組みですが、東京の赤坂にある迎賓館のお庭と本館を2000万円で貸し出すプランが海外の富裕層に歓迎されていました。
国内の有名なお寺も、この後に続きました。他には、美術品のオークションを空港などの関税のかからない保税地域で行なうと、注目されるはずです。
さらには、「ディスティネーションホテル」です。旅の目的地が「宿泊施設」そのものであり、観光や食事だけでなく、その場所に行くことに魅力があるホテルです。日本には富裕層を心地よくおもてなしする人材が足りていないので、ここが課題です。しかし、伸びしろしかありません。

POINT

◎大阪万博をステップにインバウンド需要の創出を高め、観光客数世界一を目指すべき。
◎海外のホテル事業は「所有」と「運営」が分かれているのが主流。外資系ホテルの進出が続くなか、日本のホテル業界も事業形態を見直す必要がある。

※今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』の内容やデータは、2022年12月1日現在のものです。

【著者プロフィール】

馬渕磨理子(経済アナリスト)

イラスト:中川画伯

日本金融経済研究所代表理事/経済アナリスト。ハリウッド大学院大学 客員准教授。公共政策修士。京都大学公共政策大学院修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担った後、金融メディアのシニアアナリスト、FUNDINNOで日本初のECFアナリストとして政策提言にかかわる。またIR(インベスター・リレーションズ)について大学と共同研究を行う。現在、経済アナリストとして、フジテレビの夜のニュース番組「FNN Live News α」読売テレビ「ウェークアップ」のレギュラーコメンテーターをはじめ、各メディアでの出演多数。経済アナリストの知見を活かしたセミナーや講演会も好評を博している。ポリシーは「自分の意志で人生の選択ができる世の中を」。誰もが自分の価値観でしなやかに生きることができる社会を目指して活動中。

渡辺広明(マーケティングアナリスト)

イラスト:中川画伯

マーケティングアナリスト。流通ジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。東洋大学卒業後、株式会社ローソンに22年間勤務し、店長・スーパーバイザーを経て、約16年間バイヤーを経験。コンビニバイヤー・メーカー勤務で約770品の商品開発を行なった経験をもとに「FNN Live News α」「ホンマでっか!?TV」(以上、フジテレビ)のコメンテーターとして出演中。その他に、静岡県浜松市の親善大使「やらまいか大使」就任。ニュース番組・ワイドショー・新聞・週刊誌などのコメント、コンサルティング・講演など幅広く活動。2019年3月、(株)やらまいかマーケティングを設立。なお、共著者・馬渕氏とともに、Tokyo fm「馬渕・渡辺の#ビジトピ」のパーソナリティも務めている。

いかがでしたか?
 
今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、今回ご紹介した【インバウンド需要と観光立国】をはじめ、私たち消費者が知っておきたい身近な経済関連のテーマ、計45本のTOPICを取り上げて、オールカラーの図版データを交えながら、わかりやすく解説しています。
 
2023年のニッポン経済がどうなっていくのか?
そのためにはどのような生活防衛策をとっていけばいいのか?
 
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