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【フォレスト出版チャンネル#173】ゲスト|コロナ禍で地殻変動が起こった営業職

このnoteは2021年7月13日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

営業コンサルタントとは、どんな仕事なのか?

渡部:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティの渡部洋平です。今日は編集部の森上さんとともにすばらしいゲストをお迎えしてお伝えしていきたいと思います。森上さんよろしくお願いします。

森上:よろしくお願いします。

渡部:今日のゲストもたいへんすばらしい方に来ていただいております。

森上:そうなんですよね。今日のゲストの方なんですが、ズバリ“絶対達成”というキーワードがキャッチフレーズになります。弊社でも『「空気」で人を動かす』『絶対達成バイブル』など多くのご著書を出していただいている営業コンサルタントの方です。経営者や管理者、営業パーソンの方なら、ご存知の方も多いかと思います。

渡部:はい。それではさっそくですけれども、本日のゲストは株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長、横山信弘さんです。横山さん、よろしくお願いいたします。

横山:よろしくお願いします。

森上:よろしくお願いします。

渡部:ではさっそくなんですけれども、まず私からプロフィールをご紹介させていただきたいと思います。株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られていらっしゃいます。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じて、「予材管理」の普及に力を注いでいらっしゃいます。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業に至るまで200社以上を支援した実績を持ち、日経ビジネス、東洋経済、プレジデントなど各種ビジネス誌への寄稿。多数のメディアでの取材も受けられていらっしゃいます。また、メルマガ「草創花伝」は4万人を超える企業経営者、管理者が購読していらっしゃいます。著書は『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』『「空気」で人を動かす』など多数ございます。ご著書の多くは中国、韓国、台湾で翻訳本が発売されています。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスを最大の売りとしています。それでは横山さん、改めましてよろしくお願いいたします。

横山:お願いします。

森上:よろしくお願いします。横山さんとは、私はもう長いお付き合いをさせていただいておりまして、うちからもベストセラーを出していただいて、本当にありがたい限りなんですが、リスナーの方で営業コンサルタントってどんなお仕事なのかわからない方もいらっしゃるかと思いますので、具体的に営業コンサルタントについて、説明していただいてもよろしいでしょうか?

横山:はい。それでは私自身のキャッチフレーズをしゃべりながら伝えていきたいと思います。皆さん、こんにちは。企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタント、アタックス・セールス・アソシエイツの横山です。今、森上さんがおっしゃってくださいました通り、フォレスト出版さんからは本当にたくさんの書籍を出させていただいておりまして、なんと言っても一番売れたと言うか、多くの方から言われるのは2冊。やっぱり『「空気」で人を動かす』。そして、『絶対達成バイブル』です。代名詞的な書籍は、ダイヤモンド社の『絶対達成する部下の育て方』なんですけど、最近、若い子が横山さんのファンですって言って、例えばzoomとかで書籍を見せてもらえる、その時に出てくるのは『絶対達成バイブル』なんですよ。

森上:おー! うれしい!

横山:そうなんです。『絶対達成バイブル』がボロボロになってるんですよ。

森上:わあー。めちゃめちゃうれしい。そうですか。

横山:そうなんですよね。ですから、私どものメソッド、例えば「予材管理」もそうですけども、詳しく知りたい方は、ぜひこの『絶対達成バイブル』、フォレスト出版さんから出ている、この書籍。この書籍を読むと、『「空気」で人を動かす』に書いたエッセンスも盛り込まれているので、これが一番いいかなと思っています。
で、営業コンサルタントの仕事って、一般的に言うと、当然のことながら「クライアント企業の営業組織の成績をアップさせる」ということですよね。ですから、わかりやすく言うと、売上が100億円だとします。でも、社長はなんとか120億円やってもらいたいと。そしたら、なんとか120億円を達成させるっていうのが、私どもの支援のかたちかなと思うんですね。その目標を達成させるために、どういうやり方をするのか、そこが私どもは非常に特徴的でありまして、本当に一般的な話なんですけど、営業の目標を達成させるとか、営業の強化、営業組織を変えていこうとしたときに、一般的には営業スキルをアップするっていう支援が多いんですよね。

森上:あー。確かにそうですね。話し方とかセールスとか。そういうことですよね。

横山:そうです、そうです。そういうことです。プレゼンの仕方であったり、お客様とどのように関係を構築していくのか。だから、どっちかって言うと個人技とか、あとは営業マネージャーとか、そういう営業のリーダークラスの方の心構えとか、こういうふうに部下育成をしなくちゃダメなんだよみたいな。そういう話が多いんですね。だから私は、どうしても野球でたとえることが多いんですけど、野球でたとえると、どうやったらたくさんヒットが打てるのかとか、どうやったらたくさん三振が取れるのかとか、そういう技術をアップさせるという支援が多いんですね。
しかし、私どもの支援はそういうこともすると言えばするんですけど、それは専門ではないんですね。私たちは先ほど言った「予材管理」という、この管理技術をお客様のところに導入して、できる限り早く目標を達成してもらえるようにするということなんです。管理のやり方の話なんですね。管理のことって、ほとんどの人はわかってないんですよ。管理というものをあんまりわかってないんですね。管理っていうのは教科書的に言うと、自分たちが持っているリソースを効果・効率的に配分することなんですね。

森上:うんうん、うんうん。

横山:効果・効率的に配分すること。だから、わかりやすい例で言いますと今、うちの息子が、高校3年生です。うちの娘が、中学校3年生です。例えば、英語の試験で合格点を取りたいとするじゃないですか。100点満点で70点を取れれば合格だとしますよね。志望している大学であったり、高校に受かりますと。まだ英語の単語を覚えてないんだとか、文法をよくわかってないって言うんだったら、勉強しなくちゃいけないんですけど。
でも、そうじゃなくて、よくあるケースがあるんですね。たとえば、ついこの間も息子に聞いたんですよ。「模試があった」と。「どうだった?」って言ったら、「いや、ちょっと……」って言うんで、「何が問題だったの?」って言ったら、「時間が足りなかった」っていう話なんですよ。

森上:あー。

横山:これはどういうことかということですよね。つまり、英語のテストで70点以上取ろうと思ったら、例えば試験時間が1時間だとしますよね。60分間では足りなかった。でも、70分だったら解けたかもしれません。70点以上取れたかもしれない。ここが、重要なんですよ。

森上:なるほどね。

横山:もしスキルがないんだったら、どれだけ時間があっても解けないんですよ。そうでしょ。だって、英単語は覚えてません。英語の文法はわかってません。文章問題が出てもさっぱりわかりませんって言うんであれば、それは勉強し直さなきゃいけないじゃないですか。そうではなくて、時間がかかってもいいんだったら、70点以上は取れると。100点は取れないんだけど、合格点は取れるって言うのであれば、何が悪かったかって言うと、時間配分が悪かったということなんですよ。ここがものすごく重要なポイントなんですね。
だから私どもが支援している営業組織っていうのは、決して営業のコミュニケーション力であったりとか、いまいちのお客様がいっぱいいるわけじゃなくて、それなりにいいお客様がいたりとか、ちゃんとポテンシャルのあるようなお客様のところに足しげく通って関係性を構築すれば、そんなにスキルが高くなったって、お仕事をいただけるってことがあるんですよ。重要なことは、時間配分だったりするんですよ。

森上:ほぉー。

横山:例えば、1年間で120億円の数字を作ることができるかと。「100億円ぐらいしかつくれないんです」って言うのであれば、「じゃあ14カ月だったらつくれるの?」って言ったら、「14カ月だったらつくれますね」って言うんだったら、「それを何とか12カ月でやるんだよ」っていう話なんですよ。そのために、人は増やさない。じゃあ、人というリソースであったり、いろいろな人がどういうスキルを持っているか、どういう知識を持っているのか、どういう技術を持っているのかっていうのは、全部リソースなので。だから、どの時間帯にどういうふうに当てはめることによって、仕事が来る確率が上がるのかっていうことをやる。これが「予材管理」なんですよ。

森上:なるほど、なるほど。

横山:目標の2倍の予材を予め仕込んでおいて、目標を絶対達成させる営業管理手法を「予材管理」って言うんですけど、目標の2倍の予材を仕込むということはマーケットっていうものを正しく知って、どこのお客様にどれぐらいの予材があるかっていうことをわからないといけないんですね。で、これぐらいの予材があるっていうんだったら、この時間の中でどう配分することによって、商談して、商談を契約に持っていけるかっていう。あとはもう仮説立案しかないんで、「これぐらいやれば、こうなる」って言うんだったら、あとはもう配分するしかないですよ。

森上:うんうん、うんうん。

横山:時間がないとか、スキルが足りないとかって言ってないで、ちゃんとそういった効果・効率的な配分をしているかどうかっていうと、してないんですよ。無駄なことばっかりやっていたりとか、そこのお客さんのとこには行かなくてもいいんだって、とかね。行ってもいいんだけど、そんなに時間をかける必要はない。わざわざ出向く必要もない。電話だけで良かったでしょとか。本当はこのお客様のところにポテンシャルあるんだから、そっちに足しげく通ったりとか、接点を持たなきゃいけないでしょっていう。つまり、時間の配分の問題だったりするんですよ。人の配分も問題だったりするんですね。自分1人で商談するから、うまくいかない。部長と一緒に商談すれば、もっとコンバージョン率が上がるでしょっていう。組織戦なんだから。こういうことを細かくやることによって、目標達成できるようになるっていうことなんですよね。

目標を絶対達成するために求められる、個人の予材管理、組織の予材管理

森上:なるほど。今のお話を伺って、そういう管理の部分にいくと、どちらかと言うと部長さんとか、部下のいる方がやる手法という感じですかね? 個人というよりも。

横山:そうですね。個人の営業がもちろん予材管理をやってもいいんです。だけど、組織であるのが基本ですね。で、これもよく最近言うんですけど、「営業の管理は営業の管理者がやることだ」と、みんな思い込んでるんですね。

森上:それはあるかもしれないです。

横山:中間管理職っていうので、責任者=管理者っていう表現になっている可能性がある。だから、営業管理っていうのは営業担当者、いくら新入社員であったとしても管理ができるんですよ。リソースの効果・効率的な配分なんで。料理と一緒でレシピが決まっているんだったら、そのレシピどおりに料理をすればいいということなんですよ。だから、在庫管理とか生産管理とか工程管理とか、倉庫管理とかってあるんですけど、それって責任者じゃないとできないかっていうと、そうじゃないですよね。「おまえ、ちょっと倉庫管理やっておいて」って言われたら、「わかりました」って、誰でもできるじゃないですか。

森上:確かに。

横山:この倉庫の中の面積っていうのが、最大のリソースなんですね。荷物とか収めなくちゃいけないものをどのように置くことによって、効果・効率的にうまいこと、入れられるのかっていうことじゃないですか。倉庫の中に入らないっていうんだったら、「おまえ、うまいこと入れなかったんだろ」っていう話じゃないですか。

森上:なるほど。なるほど。

横山:そうなんです。ですから、その効果的な配分っていうものは、慣れればできる話なんですよ。営業管理も一緒で、営業担当者、個人個人が自分の営業管理をやって、上司である課長さんとか、部長さんは組織全体の管理をするということですね。

森上:いやー、すごくわかりやすいお話で。いわゆる個人レベルでも管理は必要だし、組織としても管理が必要だし、ということになるわけですね。

横山:そうなんです、そうなんです。ただ、例えばよくあるのが保険営業の方とか、個人で動く場合が多いんですけど、そういう方は1人で予材管理をやってもいいんですけど、やっぱり1人でやると再現性があるかどうか、ちょっとわからないです。だけど10人とか15人もいれば、それだけ組織で予材があれば、もうこれは確率論なので、1人だと未達成リスクが高まっちゃうんですけど、全員が2倍の予材を仕込んでいたら、やっぱり誰がどこでどのように結果が出るかっていうのは、予測がつかないですよ、営業マンというのは。

森上:確かに(笑)。

横山:こうすれば絶対こうなるなんてことは、営業の世界ではないんで。

森上:なるほど、なるほど。

横山:これって投資の世界でもそうですね。この株が絶対来るなんてわからないんだけど、でもリスク分散することによって、少なからずこのポートフォリオを組んでおけば、まあ元本割れしないよねとか、そういう話じゃないですか。だから、これだけ分散させておけば、付き合うお客様もそうですし、組織の営業担当者に分散させておくので、目標ぐらい未達成にはならないよねという発想なんですよね。

森上:なるほどね。いや、すごくわかりやすいお話です。例えば、個人のレベルでも、自分が抱えているお客様が10人いると。その方々に対する管理もちゃんとしっかりしていれば、どこにどういうふうにアプローチしていけばいいかがわかって、それぞれ変わってくるっていうことですよね? 管理能力があれば。

横山:もちろんです。そうなんです、そうなんです。ですから、もちろんそこら辺はどういうお客様に予材がしっかりあるのかっていうのは考えなきゃいけないんですけど、それさえわかっているんであれば、自分がこの時間をどの作業に配分しなきゃいけないかっていうのがわかってくるんですよ。なので、今すぐのお客様ではないんだけれども、やっぱりこのお客様には定期的に1カ月に1回は接点を持たなきゃいけないって言うのであれば、自分のこの時間は、この見込み客になりそうなお客様、つまり、予材がたくさんありそうなお客様のところの設定に配分しなくちゃいけないよねということですね。

編集者も使っている予材管理

森上:なるほどー。私、今自分ごとに落とし込んだ中で言うと、例えば、企画を倍、生産していかなきゃいけない中で、レギュラーの著者さん、例えば横山さんとの次の企画っていうのももちろんいろいろと考えていく。その中でまた新しい著者さんをどう発掘していくかとか。その中での時間の使い方とか、どういう接触の仕方をしていけばいいのかとか、そのあたりっていうのは、今の管理の話っていうのは使えますよね。

横山:そうなんです。だから、森上さんにも言われたことあると思いますし、その他の出版社の編集者の方にも何人かから言われたんですけど、「やっぱり編集者も予材管理だよ」って言われたんです。いかに予材を持つか。ですから、本を出し続けなくちゃいけないと言ったときに、やっぱり売れなきゃいけないわけで、ですから、売れるネタを持っている著者っていうのはどこにいるのか。やっぱりこれも確率論じゃないですか、営業の世界と一緒で。どれが当たるかなんて言うのは、そう簡単にわからないけれども、当たらないなあっていう著者は間違いなくわかるわけで、そこは排除していくじゃないですか。
だけど、この著者は当たるかもしれない。営業でもそうですね。このお客様はひょっとしたら、くるかもしれないっていうのがあるわけなので。ですから、そこはターゲティングっていう表現がいいかどうかわからないんですけど、ポテンシャルがありそうな著者の方にあたりをつけていく。で、私もそうですけれども、執筆してくれる時期なんて言うのはなかなか思い通りにはいかないんですよね(笑)。

森上:いかないです、いかないです(笑)。

横山:だから、営業もそうなんですよ。この期間の中で、なんとか仕事くれないかなと思っても、そうはいかないわけですね。お客様にも事情がありますから。ですから、潤沢に持っておくことによって、未達成リスクを回避する。

森上:なるほどねー。

横山:森上さんが年間でこれぐらいの本をつくらなくちゃいけないっていうときに、それと同じぐらいの著書の数では全く足りなくて。

森上:足りないですね。

横山:ですから、私も僭越ながら著者になりそうな人いないかなって探したりして、そういう方がいらっしゃったら、森上さんに「こういう方がいらっしゃるんですけど」って、ご紹介すると。で、そのときに「間違いなく」っていうのはあんまり考えないですよ(笑)。やっぱり予材って、ちょっとアバウト的なところが必要で、完璧主義はダメで、これってある程度、範囲内じゃないですかみたいな。そういうところも出していかないと、予材って増えないんですよね。

森上:なるほどね。いや、本当そうですよね。だから、そういう意味では、我々も横山さんからご紹介をいただいたりとか、信頼される方からのご紹介もありますし、例えば異業種交流会に顔を出してみるとか、いろいろな勉強会に顔を出してみるとか、そういった中で数を増やしていろいろなところに行くことによって、新たな人脈という予材が発生してくるという感じにはなってきますよね。

横山:精神論っぽい話になっちゃうんですけど、どうやって予材を増やすかって言ったら、手数なんですよね。どうしても。

森上:そうですよね。

横山:はい。で、その手数の種類。例えば、私のお客様で展示会を主流にやっていると。だけど、展示会だけだと、例えば今オンラインの時代になって、オンラインでは展示会はなかなか開けないとか。名刺交換をなかなか難しいという時代になると、それが言い訳になって予材が増えないっていう話になってきますよね。

森上:なるほど。

横山:ですから、たぶん森上さんもいろいろな著者と知り合うっていうのは、いろいろなチャネルがあったほうがいいと思うんですよ。著者仲間で紹介されるっていうこともあれば、例えば、自らクラブハウスにちょっと顔を出して、そういうところで見繕ってみるとか。「あなた、すごく魅力的ですね。本を書いてみませんか?」みたいに提案してもいいと思うし、ツイッターであったり、いろんなSNSで知り合うっていうこともあると思うんですね。ですから、いろいろな媒体を通じて、お知り合いになる。これは営業でもそうで、単純に飛び込みだったり、テレアポであったりとか、展示会やセミナーとか、そういうことじゃなくて、いろいろなチャネルがある。そうすると、予材っていうのは全体的に膨らんでいく。これもリスク分散なんですよ。

森上:なるほど。

営業職がコロナ禍で変化した2つのこと

横山:外部環境が変化したときに、これが使えなくなってきたとか、もうこれだったら予材増えませんねみたいな感じになると、非常にまずいんですよね。

森上:なるほど。今、外部環境が変わったというところで言うと、まさにコロナは外部環境の変化だと思うんですが、特に営業という職業においてはどうですか? コロナというのは相当な影響と言うか、変化はありましたでしょうか?

横山:ものすごい変化だと思いますし、営業という職種ほど影響を受けた職種は他にないと思いますね。もちろん飲食業とか、観光業という、業種ではなくて、職種で言うと営業だと思うんですね。やっぱりお客様のところにお伺いするっていうのが営業の基本行動ですので。そうすると、それがしづらくなったっていうのは、今までのやり方を変えない限りできなくなった。そうすると、強制的に訪問せずに、どうやって営業活動をしなくちゃいけないのかっていうことを考えるようになるんですね。このことにおいて、大きく2つのことが変化したんですよ。

森上:ほー。お聞きしたいです。

横山:1つは、「目標が落ちた」ということですね。つまり、絶対達成しやすくなったということなんです。目標が売上だっていう会社は、ちょっと残念なんですけど。やっぱり今はもう売上げを目標にするっていうのは幼稚かなと思うんですね。やっぱり今の時代はサステナブルがキーワードですので、持続可能って非常に重要なんです。ってことは、売上なんかよりも、やっぱり利益なんですね。利益で考えたときに、営業の移動コストはものすごく大きかったっていうことが明らかになってきてますね。

森上:ほー。なるほどー。

横山:はい。特に海外との取引があるような会社は、海外に行けなくなったけれども、実は海外との交渉がzoomでもできるようになっちゃったみたいな。そうすると、年間を通じると、ものすごいコストダウンになってるんですね。で、コストダウンした割には、そんなに売り上げが落ちていないってなると、営業利益がボンって上がるんですよ。だから財務がわかってる人だったらわかると思うんですけど、利益が上がるっていうことは、この利益分だけ売上を上げるって、そう簡単じゃないんですよ。

森上:うんうん、うんうん。

横山:しかもコロナが終わったら、もう一回戻るかというと、これは戻らないと思うんですね。いったん落ちたものっていうのは、このままずっと落ち続ける可能性が高い。だからコロナが終わってからは、リモートを辞めますっていうところもあるかもしれないんだけど、それはやめたほうがよくて、リモートできるんだったら、リモートでやったほうがいい。ですから、1つは何と言ってもコストダウンにつながった。そうすると、組織貢献が非常に大きいんですよね。

森上:そうですよねー。

横山:売り上げを上げるというよりも、営業のコストが非常に落ちて、過去と変わらないぐらいの売上成績を出したということは、相当な組織貢献につながっているということが1つ。もう1つはやっぱリモートでやるということで「エリア戦略が根本的に変わった」ってことですね。

森上:あー! なるほど。

横山:ですから、私ども支援に入るときに予材がどこにあるのかっていったときに、まず絶対にエリア戦略からいくんですよ。お客様との接点量を増やしていく。そうしないと、予材は増えないんですね。接点量を最大化させるためにはどうすればいいかって言うと、いかに移動距離、移動時間を減らすかなんですよ。ということは、いかに移動せずに、お客様とポンポンポンポンと接点を持つか。
1日、例えば5時間だったら、5時間の中で、4件のお客様と接点を持つのか、5件の接点を持つのかでは、年間を通じると全然違ってくるんですね。そうすると、あっちへ行ってから1時間半かけて、こっちへ行くとか、さらにこっちへ行ってから、また1時間かけてこっちのお客さんとか行くとか。そんなことはダメで、ちゃんとお客様と交渉していきながら、このエリアを回るっていうんだったら、もう20分以内で行けるところを4、5件回るとか、そういうふうに計画を立てていかないといけないんですね。これはなかなか難しい。
お客様に振り回されてしまうような営業だと、接点量が減ってしまって、年間を通じての予材料が減る傾向にあるんですね。ところが、リモートになったら全く関係がない。

森上:確かに(笑)。これはすごい。

横山:しかも完全に飛び越えますので、例えば、九州のお客様だったら、九州エリアを攻めようっていう話になるんですけど、東京のほうがマーケットが大きいというのであれば、九州の会社が東京支社というものを出す必要がないんですよ。

森上:そっか、そっかー。

横山:1回出張に行けばいいわけですよ。それで、東京のお客様と連絡を取り合って、「このあとはリモートでやらさせていただいてもよろしいですか?」って言って、「いいよ」って言われたら、福岡からとか、熊本から、リモートでつないで「お打ち合わせさせてください」って言えばいいだけなんですよ。「わざわざ来てもらわないでもいいわ、九州から」ってなるので。
ですから、お客様からすると、別に近ければいいっていう、特殊な業界ならともかく、そんなのは関係がないと。うちにメリットがあれば、別に東京圏内であろうが、九州であろうが、北海道であろうが、関係がないんですよね。ってことは、マーケティングエリアが完全に拡大したんですよね。

森上:そういうことですね。なるほどー。

横山:私も東京、名古屋、大阪に絞ってセミナーをほぼやっていて、やっぱり全国の方から「なぜ九州に来ないんですか?」とか、「たまには東北に来てくださいよ」とか、行ったとしても仙台までみたいな感じだったんですけど、それは仕方がないんですね。行ったとしても、なかなか商圏が大きくないから。だけど、今は全く関係ないですよ。オンラインでセミナーできますから。

森上:それこそ、仙台までだったのが、青森まででもいいわけですもんね。

横山:全く関係ないです。もう山形であろうが、福井の奥地であろうが、和歌山の奥地とかは本当に行くのがたいへんなんですけど、オンラインだったら、何も関係ないんです。

森上:それは、マーケットが広がったということですね。

横山:そうなんです。例えば東京だったら、東京のマーケットが、大きいから東京の会社が安泰だったんですよ。でも、もう関係ないんですよ。だから、地方からめっちゃ攻められていますよ、東京は。

リモート営業が当たり前の世界 ~コロナ禍で常識が変わった~

森上:なるほど、なるほど。いやいや、すごい話ですね。そういう意味では、予材の増やし方っていうのが、移動時間もなくなってその分時間が使える可能性が出てくるから、そこの部分で接触回数も増えますね。

横山:そうなんです。接触回数も増えて、もちろん予材が増える確率も高まっているし、エリアという概念がとっぱらわれたら、それはもう「いや。うちは九州の会社ですから。なかなかマーケットがね」っていう言い訳は通用しないんですよ。もう相手もリモートに慣れているもんだから、別に大阪だろうが、名古屋だろうが、東京であろうが、攻めていけよと。それはできるだろうっていうことは言えるんですよね。

森上:なるほど。これは、今までの技術でもできたし、やっているところはやっていたかもしれないですけど。今一番すごいなと思ったのは、お客様のほうがそれを理解し始めている。つまり、使うことによるメリットとか。それはやっぱりでかいですよね。

横山:これ、財津優さんの『リモート営業の極意』っていう書籍に書かれていて、財津さんともクラブハウスで対談させていただいたんですね。財津さんはもうアメリカとか、海外でずっとリモート営業をされていて、日本にその考え方を持ち込んだんですけど、彼が言っていたこととか、書籍に書かれていたことが結構衝撃的で、「確かにそうだな」と思うことがあるんです。それは何かと言うと、「お客様は来てもらいたくない」んですよ。お客様は営業に来てもらいたくない。来てもらいたくない理由は2つあって、1つは営業されたくない。これはわかりやすいですね。来てもらいたくないってことは、営業されたくないんだっていうことなんですよ。でも、「営業はしてもらってもいいんだけど、来てもらいたくない」ってお客さんもいるってことですね。

森上:なるほど。

横山:ここをわからない営業さんがいるんですよ。「いや、行きますから」って言って。来てもらっても困るっていうこと。コロナだとか、そういうことではなくて、私もそうなんですよ。わざわざ来ないでよと。別に営業はしてもらってもいいんだけどっていう。話は聞くけど、来ないでよっていうのがあって。

森上:なるほど、なるほど。

横山:だから、それがわからないとまずいと思うんですよ。

森上:なるほど。それはもしかしたら、「人と会うのが絶対」と信じ込んでいる方は、そういうことに気づかない方は多いかもしれないですね。

横山:間違いなく、お客様のほうがそっちに慣れてますから。営業のほうが慣れてないんですよ。だから、お客さんのせいにしちゃう営業が多いんですよね。お客さんがなかなか対応してくれない、とか。いや、あなたが対応しないんでしょっていう。

森上:いや、これは相当変わったと言うか。価値観も変わりますね。なるほど。

横山:だって、今もNTT系とかNECとかIBMは当たり前か。富士通もそうですけど、やっぱり大企業、大企業に付随するような会社はほとんどリモートでやっているんですよ。ということは、そのお客様もリモートに慣れているはずなんです。大企業がリモートに慣れちゃっている。で、中堅、中小企業はなかなかって言ったって、あなたが対応するお客様がもし大企業だったら、わざわざ来てもらうって「古っ!」ってなるじゃないですか。

森上:はい、はい。

横山:なんで、そうなるのって。だから、例えば「メールじゃなくて、手紙で出します」って言ったら、「いや、メールにしてよ」って。

森上:(笑)。

横山:手紙じゃないですって。FAXとかもう勘弁してよってなるじゃないですか。

森上:はいはい(笑)。

横山:「メールって何ですか?」って言われたら、「もういい」ってなるじゃないですか。

森上:それと同じですね。それと同じレベルが起こっているわけですね。

横山:そうなんです。だから、用途が変わってきちゃってるんで、それは本当にまずいし、あとメディアがね……。ちょっとお小言なんですけど、メディアが古いんですよ。

森上:はあー。

横山:名前は出しませんけど、フォレスト出版さんのライバルの出版社もそうですけど、フォレストさんは進んでると思うんですね。Voicyとかもやられているし。だけど、他の出版社で声がかかったときに、未だに言ってきますよ。「横山さんのところへ行きます」って。いや、来てもらっても困ると。私は今も在宅なんですよね。ということは、来るってことは家に来るわけじゃないんで。ってことは、名古屋のオフィスに来るってことじゃないですか。私、名古屋まで行かなきゃいけないんですよね。

森上:なるほど(笑)。

横山:昔だったら当然、出版社と打ち合わせをさせていただくっていうことは、やっぱり著者である私が東京まで出かけるってことが一般的だったんですよ。なので、「横山さんにお会いしたいです」って言われたら、「じゃあ、私東京行きます」っていうね。「都合をつけて行きます」っていうことが多い。ところが、今は名古屋でさえ行かないですよ、私。

森上:(笑)。

横山:でも、向こうは名古屋オフィスまで来るっていうんですよ、東京から。しかも緊急事態宣言中じゃないですか、と。何を考えているんだっていう話なんですよ。

森上:(笑)。

横山:そういう、誠意を見せようというのがダメなんですよ。そんなことは誠意じゃないんですよ。こっちとしたら、困るっていう。誠意を見せたかったら、zoomを使えっていう話なんですよ。

森上:逆にね(笑)。

横山:昔だったらそうじゃないですか。わざわざお茶菓子かなんか持って、名古屋オフィスまで来て、「横山さん、うちでちょっと原稿書いてくれませんか?」って。「いや、こんなお茶菓子をいただいたら、もうありがとうございます。光栄です」ってね。私は昭和の男ですから、それはわかるんですけど、もう私でさえ、それはちょっと勘弁してよって感じですね。

森上:(笑)。

横山:そういうお茶菓子もいらないし、リモートでいいですよって。

森上:いやいやいや、そういうケースあるんでしょうね。意外とそれを信じ切っていると言うか、現状に対応していないと言うか。それはあるかもしれないですね。

横山:もう地殻変動すごいですよ。

森上:すごいですね、このコロナは。

横山:はい。

森上:いろいろとお話を聞いてきて、渡部さんお時間がね、ちょっと……。

渡部:そうですね。

森上:あっという間に。

渡部:本当にあっという間に時間が過ぎていきましたね。

横山:すみません(笑)。

森上:いやいやいや、それで明日また横山さんにお越しいただけるということで。いったん今日はこの辺りでということで。

渡部:はい。もっとお話を聞きたいんですけども。今日、聞いたようなお話っていうのは横山さんの本を何か読んだら書いてあったりするんでしょうか?

横山:今みたいな話は『絶対達成バイブル』、予材管理のことが書かれていますので、ぜひよろしくお願いします。

書影をクリックすると、Amazonページに飛びます。

森上:ありがとうございます。

渡部:はい。『絶対達成バイブル』、チェックしていただければと思います。それでは、まだまだ本当に聞きたいことがたくさんあるんですけれども、また明日横山さんにゲストに来ていただけるということなので、明日は横山さんの最新刊ですね。こちらについてのお話もお伺いしていきたいと思います。それでは、本日は横山さん、ご出演ありがとうございました。

横山:ありがとうございました。

森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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