やさしそうな、動物のお医者さん

動物病院と飼い主さん。お外でも、 もう少し繋がってみましょう(^-^) そういう想いで…

やさしそうな、動物のお医者さん

動物病院と飼い主さん。お外でも、 もう少し繋がってみましょう(^-^) そういう想いでnoteを始めました。 臆病な獣医師なので、許容量を超えたら退散します。それまですこーし頑張ってみます。よろしくお願いします。

最近の記事

第11話 犬の耳毛。抜くか抜かないか。答えは出てます。

耳毛をどうするか?の議論は各地で行われています🐶 ’’切るだけ’’というのは単に美容上よく見えるから、と言って良いでしょう。もし見た目が気にならなければ’’切る’’必要はありません。 また、耳毛は大量に生えているけど特に耳垢もないし痒がってもいないなら、抜かない選択肢もあります。 それでは ’’毛を抜く’’ ことはどうでしょうか。 抜く必要があるのは次の2点。 ①耳垢が奥に溜まっているとき ②外耳炎(耳の中が赤い)を起こしているとき ( ③耳を痒がっている ) ①では、

    • 第10話 愛犬の咳の原因。それ…空気の乾燥かも。

      冬でも夏でも乾燥注意です。 暖房、冷房どちらも効き過ぎると乾燥しますよね。 特にお留守番の犬猫ちゃんには逃げ場がありません。 お口の中の乾燥から始まり喉の奥、そして気管までかカラカラに。 言い換えると気管がカサカサになった状態です。 呼吸するたび空気の出入りがある気管。そこは空気の通り道。本来潤っています。その潤いによってホコリなどが気管に入ってきても、大きな刺激になることなく呼吸することができます。 ところがカサカサになるとどうでしょう?呼吸するたびにホコリや空気の動き

      • 第9話 愛犬があなたの花粉症を悪化させているかも、の話

         誰もがご存知、花粉症。症状に悩まされている方は、様々な対策をとられていることと思います。そのなかでも、帰宅時家に入る前、衣類についた花粉は気になるものですよね。  今回は衣類への「花粉の付着率」を意識して、犬猫ちゃんによる 花粉の持ち帰りを減らすお話です。 「花粉の付着率」は、コットン(綿)に対してウール(毛糸)は約10倍と言われています。毛におおわれている犬猫たちの身体は、それ以上に花粉をくっつけやすくなっています。 そのため、お散歩から帰ってきたワンちゃん、あるいはお

        • 第8話①~⑧まとめ。犬の混合ワクチン接種の考え方。

          愛犬に対して混合ワクチンを接種すべきかどうか、本気で悩まれている方はいらっしゃいます。あるいはモヤモヤしながらも動物病院から言われるままに接種されている方などもいらっしゃって、様々な思いを抱いていると思われます。 飼い主さんのそのようなモヤモヤをできる限り解消するために、第8話では細かく分けてお話してきました。今回は最後、4つのスライドにお伝えしたいことを記しました。ご一読ください。 以上のように愛犬のためを考えた接種のあり方がありますので、ぜひ飼い主の皆さんで共有し、かか

        第11話 犬の耳毛。抜くか抜かないか。答えは出てます。

          第8話⑧犬にとってやさしくない、こんな施設

          犬と一緒の生活を始めると、ついついどこかへ連れて行きたくなる飼い主さんは多いです。ドッグサロンやドッグカフェ、ホテルなど様々な施設で必要となるのがワクチン接種証明書。多くの場所で次のような利用規約が作られています。 「1年以内の混合ワクチン接種証明書の提示」  これまでnoteでお伝えしてきたように、年に1回の混合ワクチン接種は やりすぎです。その事実を知らない施設はまだまだ多いことは仕方がない事かもしれません。しかし科学的根拠に基づいた世界小動物獣医師会(WSAVA)の

          第8話⑧犬にとってやさしくない、こんな施設

          第8話⑦犬の混合ワクチン、毎年の接種が過剰接種と言われる理由。そして必要以上の接種は愛犬のためにならないという話。

           これまで日本国内では犬の混合ワクチン接種は長年の慣習によって行われてきました。生後半年までに3回接種を行った後、年に1回(毎年)の接種が生涯続けられていました。  しかし現在ではエビデンス(科学的根拠)に基づいた新しいワクチン接種プログラムが、世界小動物獣医師会(WSAVA)から公表されています。 それによると、重症化しやすいいくつかの病原体に対しては、その抗体が犬の体内に数年以上持続することが分かっており、ワクチンは毎年接種の必要がないと判断されています。少なくとも3年は

          第8話⑦犬の混合ワクチン、毎年の接種が過剰接種と言われる理由。そして必要以上の接種は愛犬のためにならないという話。

          第8話⑥犬のレプトスピラのワクチン、どれを選べばいいの?

          あなたの愛犬のために、過剰なワクチン接種を避けてもらうことが この note の目的です。 前回に引き続き今回もレプトスピラという細菌のお話。 この細菌は感染予防がちょっと難しい病原体として知られています。 なぜならレプトスピラは非常に多くのタイプ(血清型といいます)に分かれており、感染予防するためにはそれぞれの血清型に合ったワクチンが必要になるからです。血清型は200種類以上あり、全て予防するというのであれば、200種類以上のワクチンが必要という訳です。驚きですよね。  

          第8話⑥犬のレプトスピラのワクチン、どれを選べばいいの?

          第8話⑤犬のレプトスピラに対するワクチン、どのように接種したらよいの?

           あなたの愛犬のために、過剰なワクチン接種を避けてもらうことが この note の目的です。 レプトスピラは皆さんご存知のように人にも感染する病原体。だから犬の予防をしっかりしましょうというもの。果たして全頭接種は正しいのでしょうか?  レプトスピラは多くの場合ネズミが保菌動物であり、尿と一緒に排泄されると水の中で長期間生存します。そのため感染は、山・川・湖、田んぼや畑など水と接触する機会のある場所で起こりえます。愛犬をそのような場所に連れて行くことがなければ、感染の機会は

          第8話⑤犬のレプトスピラに対するワクチン、どのように接種したらよいの?

          第8話④犬の混合ワクチン、結局何種を接種すればいいの?

          前回に引き続き、ワクチンのお話。 「接種は必要。ただし抗体があるなら必要無し」 あなたの愛犬のために、過剰なワクチン接種を避けてもらうことが この note の目的です。 重要なのは3種類。 アデノウイルス1型、ジステンパーウイルス、パルボウイルスです。 なぜ重要なのか?毒性が強く感染したら命にかかわることが多いからです。 特に子犬時代が要注意。 それでは上記ウイルス予防可能な3種混合ワクチンを接種したらよいのか? 残念ながらそんな都合の良いワクチンはありません。 10年ほ

          第8話④犬の混合ワクチン、結局何種を接種すればいいの?

          第8話③犬にとって抗体検査が有効なウイルスとは?

          抗体検査が有効なウイルスは特にジステンパー、パルボ、アデノという3種類です。その他の病原体に対する抗体を測定しても、その量(いわゆる抗体価)と防御力との関連がハッキリと分かっておらず、検査する意味はほとんどありません。 また、アデノウイルスには致死率の高い伝染性肝炎を発症させる1型と風邪様の症状となる2型がありますが、アデノウイルス抗体は1型も2型もどちらも防御してくれます。ということから、実際には抗体検査が有効なウイルスは4種ということになります。 さて、よく耳にする「5

          第8話③犬にとって抗体検査が有効なウイルスとは?

          第8回②犬の抗体検査をやらない理由。その誤解とは?

          よくある誤解。 「抗体検査をやって、もし抗体が無かったら、また動物病院に来なければならない。」というものがあります。 それはそうなのですが、もしワクチン接種後1年ほどしか経っていないにも関わらず抗体が無かったならば、そのわんちゃんは自分で抗体を作る能力が無い、もしくは低い個体だと考えられます(※)。致死率の高いウイルスへのワクチン効果は、少なくとも3年は維持されることが分かっていますので、そのように判断されるのです。そういうコがもし抗体検査をしていなかったら・・・効果のないワ

          第8回②犬の抗体検査をやらない理由。その誤解とは?

          第8回①犬のワクチン。高齢犬にワクチンは必要なのか?

          結論、ワクチンは必要です。ただし『抗体があるなら必要無し』です。老犬へのワクチン接種後の体調不良など心配ですよね。ワクチンの目的は抗体を作らせて病気を予防することなので、抗体あるならそれで良し!まずは抗体検査をしてもらいましょう。「もし抗体が無かったら、また病院へ連れて来なければならないのでは…?」そんな疑問にお答えします! 次回お楽しみに(^-^)!

          第8回①犬のワクチン。高齢犬にワクチンは必要なのか?

          第7回 ボーロとジャーキー                           イヌの量、ヒトの量

          こんにちは。今回は【 肥満 】につながるオヤツの話。 皆さんはオヤツを与えることが普通のことだと思っていませんか? オヤツは日本人にとって江戸時代から始まった習慣といわれています。 そして愛犬愛猫にとっては、飼い主さんから与えられて始まる習慣です。 飼い主さんの中には、時々こうおっしゃる方がいます。 「ウチのコはオヤツが大好きなんです。やめられません。」 そもそもオヤツの存在を教えてしまったのは飼い主さんなんですけど。 人が与えなければその存在を知られることの無い、オヤツ

          第7回 ボーロとジャーキー                           イヌの量、ヒトの量

          第6回 犬猫カラッカラの乾燥中~!?

          こんにちは。立ち寄っていただきありがとうございます。 第4回でお話しした空気の乾燥に続いて、今回は身体の乾燥についてお話しします。 世の中の乾燥状態は私たち人間だけでなく、皆さんの愛犬愛猫の皮膚表面からも水分を奪い、細かいフケがたくさんみられるようになることもあります。そのため、特に今の時期は十分な保湿作用を持ったシャンプーが欠かせません。 さて、今回の身体の乾燥については、皮膚表面(口や鼻先も含む)だけではなく、皮下組織にも見られることがあります。タイトルの写真で見られ

          第6回 犬猫カラッカラの乾燥中~!?

          第5回 愛犬の耳掃除。綿棒、要注意。

          愛犬愛猫の耳掃除、皆さんどうされていますか? ご自宅での耳掃除は、見える範囲の汚れを取る程度で 抑えておいてください。 耳掃除のやりすぎで、 動物病院に連れてこられる犬猫がいます。 この写真はおそうじ前の耳の中です。細かい汚れ(耳垢)が見えますね。 暗く見えるところは耳の奥になります。 この状態から綿棒を入れてみます。 軽い力で優しく丁寧に、少しこするような具合でお掃除しました。 いつもしているように、わたしが気持ちよいと感じる程度です。 するとどうでしょう。 一部

          第5回 愛犬の耳掃除。綿棒、要注意。

          第4回 ゴホッゴホッ! クシュンッ! わんにゃん(犬猫)加湿は大事です。

          かさかさカサカサ乾燥気になる日が続きます。 自宅でお留守番をしている愛犬愛猫は、どう過ごしているのでしょうか? 寝ている時間が多いだろうなと想像します。 動物病院に、咳の診察で連れてこられる犬猫たちの中には、加湿をしていただくだけで治るコがいます。それが意外と少なくありません。 乾燥した冬の時期の暖房は、室内をさらにカラカラに乾燥させます。 寝起きに喉の違和感を感じたことはありませんか?暖房をつけっぱなしにした翌朝は、特にそう感じるのではないでしょうか。 人も動物も呼吸

          第4回 ゴホッゴホッ! クシュンッ! わんにゃん(犬猫)加湿は大事です。