第8話⑥犬のレプトスピラのワクチン、どれを選べばいいの?

あなたの愛犬のために、過剰なワクチン接種を避けてもらうことが
この note の目的です。
前回に引き続き今回もレプトスピラという細菌のお話。
この細菌は感染予防がちょっと難しい病原体として知られています。
なぜならレプトスピラは非常に多くのタイプ(血清型といいます)に分かれており、感染予防するためにはそれぞれの血清型に合ったワクチンが必要になるからです。血清型は200種類以上あり、全て予防するというのであれば、200種類以上のワクチンが必要という訳です。驚きですよね。
 
 ただし、そうは言ってもイヌで重症化しやすい血清型も分かっており、実際は数種類にとどまります。それにもかかわらず、この先もやっぱり予防はちょっと困難です。なぜなら重症化しやすい血清型が分かっていても、それに完全に適したワクチンが手に入らないからです。作られていないということです。
 
さて、国が指定する届け出伝染病(※)の血清型は次の7種類
①Canicola、②Icterohaemorrhagiae、③Pomona、④Grippotyphosa、⑤Australia、⑥Autumnalis、⑦Hardjo
です。
(※感染の疑いもしくは診断がされた動物について、保健所に届け出る義務がある感染症です)

 このうち犬のワクチンがあるのは①②③④のみです。犬への感染が確認されているモノで、上記のように指定された伝染病です。
 犬のワクチンというのはほとんど混合ワクチンといわれるもので、レプトスピラ以外の病原体も混ざったものしか注射できないこともありましたが、現在ではレプトスピラだけの接種も可能になっています。①②③④、4つすべての血清型を含むワクチンもしくは①②、2つの血清型を含むものとがあります。接種の必要があればどちらか選ぶことになりますので、かかりつけの獣医師さんに相談しましょう。

そしてここからはプラスαの情報をお伝えしておきます。それは8番目の血清型⑧Hebdomadisの存在です。
少し前の調査ではあるのですが、犬における血清型はこのHebdomadisが
最も多いという結果が出ています。ところがワクチンは製造されていないのです。数年前に製造終了しています。これは今のところどうにもなりませんが、こういった事実があることを飼い主の皆さんは知っておく必要があります。もしかするとワクチン製造メーカーもHebdomadisが届出伝染病に含まれていないため、ほったらかしなのかもしれません。
今後またどこかの企業が製造してくれることを願います。
 不安に思うかもしれませんが、地域によって発生する血清型は異なるため、あらゆる地域にHebdomadisがいるという訳ではありません。前回お話したように、レプトスピラに感染する可能性があるような場所を訪れる際には愛犬の行動にご注意ください。色々なものを舐めたり身体にこすりつけたり等ですね。

今回はここまでになります。
次回はなぜワクチンの過剰接種を減らしたいのかについてお話します。



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