第8話⑧犬にとってやさしくない、こんな施設


今現在、抗体検査証明書の利用について検討されている施設も増えています。
わんちゃんが楽しめる場所が増えてくれるといいですね。

犬と一緒の生活を始めると、ついついどこかへ連れて行きたくなる飼い主さんは多いです。ドッグサロンやドッグカフェ、ホテルなど様々な施設で必要となるのがワクチン接種証明書。多くの場所で次のような利用規約が作られています。

「1年以内の混合ワクチン接種証明書の提示」

 これまでnoteでお伝えしてきたように、年に1回の混合ワクチン接種は
やりすぎです。その事実を知らない施設はまだまだ多いことは仕方がない事かもしれません。しかし科学的根拠に基づいた世界小動物獣医師会(WSAVA)の新しいワクチン接種プログラムをお話しても理解しようとされない施設もまた多いのです。

 ワクチン接種の目的は病気の予防すなわち抗体を作らせることです。抗体が十分に残っているという抗体検査証明書を提示しても、さらにワクチン接種してくださいと強要する始末。何のための規約なのか?全く犬のことを考えていない、犬にやさしくない施設ということが分かります。

 以前飼い主さんから抗体検査証明書が利用できないと言われた際には、私の上司がそれらすべての施設にご連絡をし丁寧な説明ののち、ほぼすべての施設で抗体検査証明書の利用が可能になりました。すぐには規約を変えられないことはもちろんあるだろうと理解しています。ただそういったところでも、抗体検査とワクチン接種の意味をきちんと理解した上で半年以内には規約を作り変えてくれていました。残念ながら九州のある施設だけは、「毎年の接種証明書」は変わらず、当然のように犬の抗体検査証明書は利用不可であり、最終的に「猫にも狂犬病ワクチン接種」という結論を導き出していました。
 このように話が通じないこともあります。こうした例外を除き、本当に犬のためと考えるのであれば、これまでのルールは変わる時代になっています。ただし何のためのワクチンなのかを元々理解せずに、毎年接種をルール化していた施設は、新たなルール作りをする必要があると思います。

そして愛犬とともに生活している皆さんには、犬にとってやさしくない施設の利用は避けていただき、近い将来本当の意味でやさしい施設の利用を強くお勧めします。「だってワクチン接種しないと施設利用できないから今年もワクチン接種しよー」という方もまた、やさしくない飼い主さんということです。そのコに必要ではない注射をうってまで、そんな施設に行く理由はなんでしょうか?

今回はここまで。次回は第8話の総まとめです。

追記:別記事には書きましたが、混合ワクチンはあくまで任意ですので
そのワンちゃんの生活環境に合ったワクチンを接種してあげてください。
病原体の種類によっては年一回が推奨されるものもあります。


YouTubeで混合ワクチン接種と抗体検査についてとても詳しく解説しています。まずは概要動画をごらんください。1.25倍速がお勧めです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?