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肉への塩の影響:タンパク質構造の変化と最適な塩のタイミング

またここでは【レシピだけ教えて逃げる】ということはやっておりません。レシピ通りにしか作れないなんて悲劇です。その悲劇を作っているのは【教える側】ですので、僕はここで素材が変わってもどうやって考えたら同じ料理を成功に導いていけるのかという【料理や製菓理論、哲学】をしっかりとお伝えしながらご説明していきます。


塩を肉に振ることで、ただの味付け以上の変化が起こります。このプロセスは、肉のタンパク質構造に重要な影響を与え、適切なタイミングと量が美味しい肉料理を作る鍵となります。

塩が肉に振られた後の変化


塩が肉に振られると、まず塩の浸透圧によって肉の表面から水分が引き出されます。この引き出された水分は、塩と一緒に再び肉に戻っていく際に、塩味を肉の内部にまで浸透させます。このプロセスは時間がかかるため、肉に塩を振るタイミングが非常に重要です。

一方、焼く直前に塩を振る行為は、肉の中に塩が十分に浸透する前に加熱されてしまい、表面に塩味が残るだけで、内部に浸透しません。また、塩は重力の影響を受けるため、フライパンで焼いている途中に剥がれて落ちてしまうことが多く、均一な塩味を保つことが難しくなります。さらに、焼いている最中に出る水蒸気によって塩が跳ね飛ばされるため、肉表面の塩はほとんどが失われます。たとえ浸透圧の影響があったとしても、数分程度では塩は肉の表面に留まり、中に浸透することはありません。肉をひっくり返すと、塩はそのまま下に落ちてしまいます。

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働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。