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ユルさとヒリヒリ 『ジャマイカ』

ジャマイカ。レゲエの国、ボルトの国として国際的な知名度もかなり高いと思います。実際に訪れたことのある高校時代からの親友に勧められて以来、漠然と興味を持ち続け、これまた行きたかったニューヨークに合わせて、(ジャマイカをメインに)1ヶ月弱の日程をとり、首都キングストンに降り立ったのは1年半ほど前になります。これまで訪れた国とは全く異なり、様々な面でのギャップが多く、滞在そのものがインパクトの強い独特な経験になりました。詳しくないということもあり、今回はレゲエにはあまり触れず、執筆を始めていこうと思います。

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旅人界隈において、レゲエやボルトと同じくらいの浸透度を有するジャマイカのイメージといえば「治安の悪さ」だと思います。外務省の治安レベルこそ1に属していますが、外国人観光客の強盗、盗難被害の事例はかなり多く、旅人のブログを読み漁っても「治安最高☆」のようなポジティブな記事は到底見つけられません。ギャング同士の発砲事件なども有名です。実際、宿のオーナーや現地の方々から「スマホや財布は持ち歩かない方がいい」、「一人ではタクシーに乗るな」など様々なアドバイスを頻繁に受けました。結論から言えば、海外旅行における最低限の注意さえ徹底していれば大きな被害にあうことはほとんどないと思います。しかし滞在中頻繁につきまとうヒリヒリ感こそがジャマイカという国に度々「ギャップ」を感じさせる一番の所以なのではないかと思います。

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ジャマイカはカリブ海に浮かぶ小さな島国です。面積は秋田県とほぼ同じ。自分は2週間弱の滞在で主要4都市を訪れました。普段はデジタル、フィルムの両カメラを持ち歩き、感性のままにパシャパシャしている自分ですが、当時40万円近い投資をしたばかりのカメラをちょろっと奪われる訳にはいかないと、都市によっては写真がかなり少なめになっております。ごめんね。

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最初の都市は首都キングストンです。普段は一人行動に命を捧げ、日本人宿はほとんど利用しない自分ですが、今回ばかりは話が違います。昼間の一人行動でさえあまり推奨しないとの情報を見かけ、ビビリ上がった自分は一緒に行動する人を見つけやすい、的確な注意事項を教えてもらえるとの理由から最初のキングストンのみ日本人宿を予約。初日は前日夜に仲良くなったスウェーデン、フランスのおじさま方2人組、当日朝、着ジャマイカしたばかりの2歳年上の日本人の方とともにビーチへ。日本人宿=日本人がほとんどという場所も多いですが、その宿は比較的多国籍でした。

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街中のヒリヒリ感の反面、楽園のようなユルさのカリビアンビーチにテンションが上がります。お昼はすごい色をした魚のフライ。関東の海なし県出身の自分は魚の色に感動しっぱなしだったのですが、後にこの旅で出会う沖縄出身の方にこの写真を見せると「あ〜」とのリアクションだったので、この魚は南国スタンダードなのかもしれません。

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ザ・レゲエなラスタマンのポートレート撮影に炎を燃やしていたこともあり、ビーチに彼が現れた際、思わず声をかけました。この初日の時点でジャマイカの渡航目的の8割ほどを達成しています。

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4日ほど滞在したキングストンですが、もうほとんど写真がありません。その他ボブ・マーリー博物館やダウンタウン、深夜のサウンドクラッシュなど活発に動き回ったものの、高額なカメラを持ち歩くリスクと貴重品を持ち歩かない身軽さを天秤にかけた結果、日数と活動量に対してご覧の写真の枚数となりました。カメラの無事には変えられませんので後悔はしていません(後悔しています)。少ないチャンスながら、アーケードのバーでも素敵なラスタマンに会えました。

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次に訪れた都市がオチョリオスです。キングストンの宿のオーナーに「何もないよ」と言われつつも、先に予約してしまったものは仕方がないので3泊ゆっくり過ごしました。大都市キングストンとは異なり、オチョリオスはリゾート地、キングストンの街中で感じたヒリヒリ感は全くなく、まさに楽園というようなユルい世界が広がっていました。そして写真のビーチは有料ビーチということもあり、ロッカーも完備しているなど安全面にもかなり配慮されているようでした。ここで「カリブ海でのんびり焼いちゃってるオレ」に2日ほど酔います。当時の自分は、数日後ペリペリに剥ける背中の皮のことなど知る由もありません。

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決して外国人観光客だけでなく、地元の方も一定数いるのがこのビーチの素敵なポイントです。

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通ったローカル食堂。気に入ったらそこしか行かないタイプの人間なので、毎日朝昼晩と通いつめ、最終日の夕食時には「さみしくなるね…」とお会計の際、店員さんとしみじみしました。

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オチョリオスで有名な観光地がブルーホールです。様々なウォーターアクティビティが用意されていますが、あまり水が好きでないので自分は写真に集中し、その他の時間はネコと遊んでいました。なぜ水が青いのかは知りません。

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ブルーホールへの行き帰りで利用したタクシーのドライバーが「街の愉快なやつ」だったため、度々停車しては仲間であろう「街の愉快なやつ」を紹介されます。その後、しっかりタクシー代でもめました。

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次に訪れた都市がモンテゴベイです。ここが自分にとってジャマイカ最大のギャップシティでした。モンテゴベイは国内第二の都市と、国内一のリゾート地という2つの側面を持ち合わせています。モンテゴベイはキングストンと並ぶジャマイカの玄関口でもあり、リゾート目的にジャマイカを訪れる欧米人たちは、空港からリゾートエリアに直行する人がほとんどだそう。リゾートエリアと活気あるローカルエリアの間には距離があり、その2つの世界が交わることはほとんどなさそうです。ローカルエリアのゲストハウスに宿泊していた自分は、ジャマイカ滞在で当たり前になりつつあるのヒリヒリのローカルエリアを抜け、高級ホテルやプライベートビーチが並ぶユルいリゾートエリアに徒歩で移動する中で、2つの世界のギャップを痛いほどに感じてきました(ビーチの写真はありません、ごめんね)。

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最後に訪れた都市がネグリルです。モンテゴベイ滞在中に出会った中国の方と一緒にローカルバスを乗り継ぎ、日帰りで行ってきました。有料ビーチではないものの、田舎町だからか落ち着いた雰囲気が流れ、終始ユルさが感じられる場所でした。自分が見た中ではこのネグリルのビーチがジャマイカで一番綺麗だったと思います。

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ネグリルには飛び込みで有名なカフェがあり、イケイケ欧米人観光客の巣窟になっていました。もちろん自分は飛び込んでいません。

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ジャマイカ滞在は「楽しかった?」と聞かれれば「楽しかった」ものの、ヒリヒリと気を張っていた時間も長く、楽しさだけで言えば、治安に関して何の心配もする必要のない国でカメラを2台首からぶら下げ、感性のままにパシャパシャシャッターを切っている方がずっと上だと思います。それでもこの旅から1年半が経つ今でもジャマイカを頻繁に思い出し、何か特別さを感じるのは、ローカルな街中に潜むヒリヒリとビーチの楽園のようなユルさが程よく共存し、そのあまりに不自然なギャップと独特すぎる雰囲気に自然と惹かれていたからだと思います。この「ユルさとヒリヒリ」という言葉は自分が大好きな写真家さんがジャマイカを表現する際に使っていたフレーズです。自分のジャマイカの感想はそのフレーズに尽きます。

Camera: SONYα7Ⅲ, Voigtländer Vito B

Lens: Voigtländer Nokton 40mm F1.2 Aspherical, Viltrox 20mm F1.8

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