【映画新作rie】夜の映画参拝。カモンカモン。
人の人生のぞいてやろう、、と出かけたのに、映ってるのは 自分や自分の家の中だわー。などなど。
C'mon C'mon
監督マイク・ミルズ
出演ホアキン・フェニックス、ウッディ・ノーマンホワイト
2021年製作／108分
観た事があるようで、観た事のない映画。
"今"でないと 作られなかった作品。ジャンルで括ることや、安易な結論を拒んでいるとも言え、それこそが、奥行きの深さを感じさせる この映画の態度だと思う。気になったら 映画館に行って下さい笑
大人と子供のロードムービーの、様々な名作に とても良く似てるなと感じる、最初は。
ペーパームーン 都会のアリス パリテキサス グロリア クレイマークレイマー。ついでにイージーライダーにも。でも その どれとも全然違うところが 素晴らしい。
ここ3年近く。ケアしたり、されたりに ついて しょっちゅう考えもし悩みもし。（ケア、は鍵となる 重要なテーマのひとつだと思う）
本からの引用もとても多い。ケアに悩んだホアキン・フェニックス扮するジェシーが本棚から取り出したページの文が 何度も画面に映し出される。その一説に『母親とは、社会の暗部をすべて引き受けている』が出てくる。
母親、だけに限定してしまうと狭いフェミニスト論になり、見誤ってしまうが、映画全体の文脈から考えると 全ての介護者、教師、ヤングケアラー、などを含むエッセンシャルワーカー、ケアーワーカーに 世界がもたれかかりすぎではないのか？という、ステイホーム期間らしい問い掛け。私には そう読み取れた。
のみならず、人のケアばかりしている と思っている者も、時に立場が逆転しケアされる事にもなる。
立場の反転。
世界をマクロとミクロな視点で見るなど（実際 上空からの 空撮 ⇄ 街歩き。など視点の上下、引きと寄り。を多用した画面構成）
世界の多面性を 見せながら、気が散る事はなく、主人公二人に感情移入できる作りは 見事だった。こういう脚本て、一体どうなってるんですか笑？？？
インタビューする側（ジョニーの仕事はラジオジャーナリスト＝インタビュアー）、される側。が 徐々に反転する。
少年の問い掛けを はぐらかしていたジョニーが心を開き、インタビューに 応じる。その心の移り変わりに 私はしっかり巻き込まれました笑。
飛びますが。
映画作家・想田和弘さんが、ドキュメンタリー制作の基本を語る素敵な本があります。
"カメラを持て、町へ出よう 「観察映画」論 "（知のトレッキング叢書）
https://honto.jp/netstore/pd-book_27220839.html
その中で 〜 "被写体" は立場的に圧倒的に弱い。カメラの前に自身の顔も感情も晒している。一方カメラをまわす側は 顔も感情も晒さなくとも良い為、関係性で言えば圧倒的に優位。
だから、被写体に最大限注意や敬意を払う事が撮影の基本（大意。記憶で書いてます。すいません）と言ったくだりが出てきます。
私も下手の横好きで、撮影をする事があるので、読んで以来 気をつけていますし、被写体が守られているかは映像を見る上でも、非常に大事にしている（そのせいか テレビや古い映画が アウトに見える事も増えた）
TVや報道など含め、プロの方こそ今一度確認してもらいたい視点ですが、カモンカモン。は この点にも非常に留意して作られ、全体のテーマも おそらくソコに繋がっており、現代的だった。その上で。
他者も自分も。世界も人生も。
分かった気に ならない事。
分かるはずもないけど
分かろうとする事。
それこそが"ケア"じゃない？って言われている気がした。分かった気にならない。分かるはずもない。
それを確認する時間だった。個人的には 主人公の少年、ホアキン・フェニックスを完全にくってしまってた。続きは 落ち着いてから、ポッドキャストに吹き込もうと思います。
大人も子供も ぜひみてほしい…つい熱くなってしまいました照。
夜の街は 雨で滲むと とってもいい感じ。
ちなみに熊本の路面電車、22時半が最終なんです泣。余韻に浸る間もなく 慌てて電車へ駆け込みます。謝謝
C'mon C'mon
監督マイク・ミルズ
出演ホアキン・フェニックス、ウッディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、スクート・マクネイリー、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング＝ホワイト 作品データ2021年製作／108分／アメリカ配給ハピネットファントム・スタジオ公式サイト
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