10月読んだもの観たもの

7月8月9月とちまちま○月読んだ本、としてつけてたけど、なんか演劇観る量がここ数ヶ月で毎月2〜3本とかいうペースになって、一緒に記録つけたり、なんだりしていて、もはや本も漫画も演劇も映画もドラマも全部ここに書いたれ!ってことにした。

『時効警察』
ドラマ。10月のドラマ始まるので、一番最初のシーズンを観た。強いて分類するならTRICK系シュールコメディ? 彼氏によれば古畑(わたしは古畑観たことない)。監督が毎回豪華で、園子温の回が心なしかお色気系。面白かった。
最終回がセルフオマージュたっぷりでファン垂涎の回だった。ご褒美回。
仮面ライダークウガ見た時から、オダギリジョーの良さがめちゃわかるようになったので、オダギリジョーが主人公(髭なし)というだけでよかった。んむって口閉じた時の口の端がチャーミング、と思っている。あとえくぼ。

松山巖『日光』
小説。川上弘美の『ゆっくりとさよならをとなえる』に出てきたから読むことにした。ハードカバーで読んだら、字の色が深緑で素敵だった。
リアルなペースでファンタジーが始まるので、倉橋由美子の『酔郷譚』をふと思い出した。
(余談だけど、いつも倉橋由美子の名前が思い出せなくて、『酔郷譚』ってタイトルも忘れちゃうので、『ポポイ』で検索かけて作者名思い出して、ウィキペディア確認して、ようやくタイトルにたどり着く。3回目くらいなのでそろそろ直結した記憶を持ちたい)。
ぼーっと読んでて、主人公女の人だと思い込んでたら途中でこれ男じゃんってなった。男だと思って読むと、ちょっと違う。

浜本隆志・編著『欧米社会の集団妄想とカルト症候群 少年十字軍、千年王国、魔女狩り、KKK、人種主義の生成と連鎖』
書籍。なんかいかついの読んでるね、的なこと言われたので事例紹介だよ、と答えたけど本当にだいたいそんな感じ。人間がいろんな方法で集団として興奮しながら他人を傷つける様を読んだ。
昔から民衆は集団に飲み込まれて、自分のストレスを弱きものにぶつけるやん、という気持ちになって暗くなる。知ってるけど、暗くなる。現代はそういう悪をつまびらかにしやすくはなっているように思うけど、人間の心理はそんなに変わらないよね、と思うし、つまびらかにしたところで開き直りという技を身につけつつあるような気がする。こわい。思い込んだ人間にはどんな言葉も届かない。絶望。の気持ちになる。
ヒトラーの演説についての解説の章で「ダブルスピーク」という概念が紹介されていて、名のなきものに名がついた快感を得た。イケてる。『1984年』内の平和省的な言葉の使い方を指すらしい。いま、結構ディストピア小説読むタイミング今じゃん?と思う。『われら』と『すばらしい新世界』が読みたい。

『REDLINE』
アニメ映画。友達の家で散々コントとか漫才とか見て、笑いこけ、夜が更けた辺りに見始めた。見ている間に終電を逃した。
スターウォーズに出てくるみたいなレースのレーサーが主人公で、声がキムタク。相棒の声は浅尾忠信。ごちゃごちゃ系SFのいいところギュッギュってして、話はカウボーイビバップみたいなハードボイルドで、スピードの表現とかがありえなくて、全部かっこいい。アニメにしかできない!!って気持ちになる(湯浅政明監督の『マインドゲーム』みたいなフィクション性のある真に迫った表現)。
たまたまこの日の4日後に会社の人とご飯に行ったら、「『プロメア』観ないとと思ってるんですよ、『REDLINE』的なものが観れるかと思って」って言っていて、この映画知ってる人いた!!!!ってテンション上がった。

ハン・ガン『すべての、白いものたちの』
小説。もしかして本当にハン・ガンのお姉さん、生まれたばかりの時に死んでいるのではなかろうか…と思って読んでいたら、本当にそういうことだったみたいだ。あとがきに書いてあった。
ストーリーは、わたしから、生まれ得なかった彼女に行き、わたしに戻ってくるのだけれど、全部読んだ後にもう一度彼女ついての章を読みたくなった。

『エイス・グレード』
映画。お父さん映画だった。期待値高めすぎたなって後悔はしたけど、いい作品だった。

「STUDIO VOICE」vol.415 次代のアジアへ–明滅する芸術
雑誌。ちょっと話題になっていたし、韓国文学に次ぎ、アジアの文化も最近ちょっと興味あったりなかったりするので久々に雑誌を買った。字が沢山あるのにビジュアルもカッコ良いのでお得な気分。『SWITCH』とかも写真が良くてロングインタビューとか載ってるので好き(未だにアラーキーのコーナーあるのは気になるけど)。
ちょうど朝、中国SFの特集に差し掛かった部分を読んでいた日の夜に、会社の人から中国SFをおすすめされた。とにかく『折りたたみ北京』をとのことだったので、SF読むぞお、の機運が高まる。とにかく、こういう偶然は良いものなので、酔っ払った頭でよきかな、よきかな、と思いながら中国SF特集を読んで帰った。
アジア諸国の中ではなぜかわたしと縁のあるカンボジア、の映画の話もなかなか面白かった。小さい頃から欧米のファンタジー小説を読んでいたのでそっちの方の生活様式にはそこそこ馴染みがあるけど(映画も沢山あるし)、アジアは近いくせに本とか映画殆ど見たことないので、面白い。やっぱり『台北ストーリー』が面白いと感じたのも、最近韓国文学や韓国映画に親しむ気持ちの一部も、そういう近いけど良く知らない文化への興味があると思う。

『キング・オブ・コメディ』
映画。『ジョーカー』観る前に観るべし、の情報に従った。同監督による、同俳優による、同テーマな部分のある『タクシードライバー』と比較する言葉も見かけたけど、どちらかといえば『キング・オブ・コメディ』の方がぞぞぞっとした。しんどい。『ジョーカー』観てからまとめて感想書きたいな。

『ルポルタージュ』売野機子
マンガ。最終巻をしっかり味わいたいがために、1巻(移籍前の1巻)から読んだ。途中で連載する雑誌が変わったので、幻冬社から123、と出た後に、講談社からまたその続きが、123と出ている。なので合計6巻を読んだ。
最近ぼんやり思っている社会の空気が綺麗に織り交ぜられていて、美しく幕を閉じる切実な物語だった。絵が好きだから買ったけど、中身も良かったな〜〜。何回か読み直すと思う。

『破壊された女』お布団
演劇。近々、この劇団が新しい公演を行うのでそのプロモーションとして映像が限定公開されていた。Twitterで、これを観て号泣したという言葉を見かけたので観た。
とても良いのはわかるけど、何がいいのか説明できないのと、自分が汲み取りきれてない感覚があったので、もう一回か二回くらい観て咀嚼し直したい。でもとにかく、とても大事な話をしていた。
人に対する想像力(この言葉で表せるほど陳腐なことではない気がするけど)の話だったと思う。例えばその想像力の向かう先は、SNSの画面の向こう側の人、ニュースの向こう側の人であり、現実でありながらフィクションの中にいる人に対するような態度を持つ、ということがまずある。
ここには現実とフィクションが容易にその境界を行き来することがさらに触れられている。現実に起きたことを切り取り加工しこねくり回して道具にすることで、フィクション化することもできるし、フィクションの中のキャラクターに生身の人間に対するような感情を持つこともまた、あるよねと言われる(現実のフィクション化は、元寇の神風みたいなことで実際に起きたことに意味づけを行なって何かの物語にしてしまうことを指す)。
それがどこに着地するのか、までは整理できなかったんだけど、これって生身の人間が目の前で演ずるという演劇でやるのにすごく意味がある演劇なんだなと思った。劇団のHPに現実と虚構の境界について、が言及されていて、劇団自体のテーマなのか〜と思った。他の作品も観てみたい。(ので11月にみにいく!)

『ジョーカー』
映画。めちゃめちゃにいい作品だった。いい、というのは、作品として巧妙だなぁということで、話の筋的には比較的陳腐なんだけど、構成と演出と、何よりホアキンフェニックスの演技でめちゃ魅入られる人が増えるだろうなぁという部分。
filmarksnoteにそれぞれ感想書いた。

『姿』ゆうめい
演劇。観に行くはずだったが、台風で休演になって、振替の公演も追加公演も行けなかったので、劇場にまで観に行けなかった。命は大事なので、しょうがないと思っていたら、劇団の人の計らいで、色々考えた上での計らいで、記録用の映像を観ることができた。有難い。
映像を観て、見逃さなくてよかった、と思った。当たり前なのだけれど、人にはさまざまな複雑に絡み合った関係と感情があって、一筋縄ではいかない、みんな正しいし、でもやっぱりそれじゃ上手くいかない、よねぇ……。でもどうすりゃいいんだ、と思いながら観た。
あと、同じ人を複数人が演じるというのもまた面白くて、過去の感情や今の感情や、心の中の感情が、過ぎ去った関係性と今の関係性の違いが感じられて面白かった。本当の親子が親子を演じるとか、そういうことも含めて演劇でしかできないことがいっぱいで、演劇で観られてよかった〜と思う。

打越正行『ヤンキーと地元 解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』
書籍。タイトル読んで、こういうの読みたいじゃんって気持ちになったので読んだ。テレビでこういうドキュメンタリーとかあまり観ないけど、こういうの読むと多分好きなんだろうな、観ないと損だなぁと思う。
解体屋(建設現場の肉体労働職)の時は、ありえないくらい簡単に人を殴るので、すごいな、と思いながら読んだ。でも、誇張するでもなく悲嘆するでもなく、淡々と事実が書かれるので、あんまり色々思わずにスイスイ読む。実際の語り口を元に、彼らはこういうことが理由でこういうことをする、こういう構造があると説明していく感じ。
風俗経営者は雇う側の仕事になるので、解体屋とはまた違くて戦略的な思考が必要なんだなと思う。前に貧困層の若者は女性は風俗店で働いて、男性は暴力がひどくなる、でもちょっと賢いやつは、意識高い系って感じで詐欺をやるという記事を、思い出した(読んだのかなり前なので記憶曖昧だったけど読み直したら大体あってた。この記事)。セクキャバを経営する人はさしずめ、この記事でいう詐欺をする意識高い層だな、と思った。

北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か-不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』
書籍。Kindle Unlimitedにあったので、読むっきゃない!と思って読んだ。
冒頭に北村さんが年間100本以上映画館で映画を見て、100本以上劇場で演劇を観て、それプラスで本も読んでるって書いてたので、私も修行をつまねば…とびびった。作品に対して骨太の文章をかけるようになるには、やっぱりたくさん触れることが必要……と思って気合が入った。
読んでいて、古典の演劇あまり知らない!の気持ちになったので、戯曲とかちょっとずつ読んでいこうと思う。同じ戯曲でさまざまな解釈を味わうという楽しみ方は、時間がかかるので贅沢で楽しそうだなと思っていて、そろそろやってみたい。

『ファーム』
感想ここフェスティバルトーキョーでやっていた演劇。初めてあうるすぽっとに行った。

『コンスタンティン』『ジョン・ウィック』
映画。雨だし1日家だったので、キアヌ・リーブスの出てる映画を3本観た。『ジョン・ウィック』は1も2も観た。
両方非現実的でアクションやらバイオレンスが多くて、きゃあきゃあしながら観れる。コンスタンティンの方は若くてちょっと細くて、マトリックスの頃とほぼ同じ感じのキアヌが、天使と悪魔に挟まれながら悪魔祓いをし、命からがら禁煙するという意味のわからん、けど最高なA級のB級映画。
ジョン・ウィックは犬とキアヌと銃と殺しの映画だった。シリーズ2作目は、1作目で何がウケたか理解しながらきちんとバリエーションを出して飽きさせない感じで良かった。序盤、鬱版キングスマンって感じでいい。ソムリエのあたりとか。なんとなく、キアヌの佇まいで、ちょっとアダム・ドライバー思い出した。

高田かや『カルト村で生まれました』
Kindle Unlimitedにあったので読んだ。漫画。想像していたカルトとは違うけど、やばそうな環境下で育ったんだなぁ〜というのがわかった。こういう村が全国各地に存在するらしいけど、全然知らなかったのでこの世は知らないことばかりだ〜。

長谷正人『悪循環の現象学』
とてもよかった。書籍。「行為の意図せざる結果」という現象について、それがいかに社会や家庭に存在するかを示したのち、ではそれをどうやったら解決できるだろうか、という流れなのだけれど、解決まで書いてあるのがとても嬉しい。わかっちゃいるけどどうにもできない、から救ってくれる。長谷先生ありがとうございます、の気持ちになる(大学で授業を受けていた)。個人のレベルのコミュニケーションで、この悪循環はよく起こるので、いつでもそばにあって読むことができたら、なんとかやっていけそう。終わりぎわの、近代社会は社会学によって不自由になった、のくだりは、先生が授業で写真技術が人を自意識過剰にしたと話をしていた記憶と結びついて、ちょっと懐かしくなった。

トーマス・メレ『背後の世界』
書籍。池袋のジュンクで、なにやら面白そうだなぁとピンときたので読んでみた。双極性障害の人の本だったのだけれど(エッセイ? ノンフィクション?)、川上未映子の『わたくし率イン歯ー』みたいに畳み掛けてくる言葉の濁流って感じで、ぐいぐい読む。ジョイスの『フィネガンズウェイク』とかもこんな感じなのかなぁとか思う。あの辺りの無意識になって書く、的な(すごく適当な認識をしている)文学あまり読んだことないので、読んでみてもいいかもなぁと思う。

『凪のお暇』
ドラマ。録画溜め込んでいたけどちゃんと観れた。序盤、慎二の言動や行動がリアルな人間で展開されるのがキツすぎて、ドキドキしながらみた。ハラハラに近いドキドキ。でも、5話の山を越えたあたりから、原作で読んでいないゾーンに入ったからなのか、なにか、どんどん面白くなっていって、全部見たときには良ドラマだ〜の地点に来た。ヒロインが最後に選ぶ非少女漫画的展開が、うー!新しい時代!の気持ちになる。

『暴力の歴史』
演劇。演劇が得意なことを中心に、演劇が盛り込めるものを盛り沢山に詰め込んで、それをフルに利用して、素晴らしい作品に仕上げていた。演出がすごい。生かされていて無駄のない演出。役者さんもマジですごい。心捻り潰されるくらい心揺れたし、よかったなぁと思う。
感想もゴリゴリ書いた
カバンの中にハンカチが入れっぱなしで、取り出すと音が出るので涙が拭けず、ただ垂れ流していたらだんだん顔がびしょびしょになって困った。

#コンテンツ会議 #感想 #書籍 #映画 #演劇

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