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すずめの戸締まり(叔母の葛藤にみる、人生の腑に落とす方法)

みなさん、こんにちは^^

フィックスホームの恵理子です!

今日は「新海誠監督「すずめの戸締まり」を見てきました」です。
以下、ネタバレを含みます。映画を見終わった方から是非お読みください!

それでは、どうぞ~

「すずめの戸締まり」をみての感想

一言で言うと「鎮魂と希望」を感じた映画でした^^
映画を見終わった後に、駐車場から見上げた月が普段よりも現実感を伴ってリアルに迫ってきて、美しいと感じました。日常の時間の流れが粒になって見えるような、一瞬一瞬が大切な貴重な時間である事を身をもって体感するような感覚になりました。
新海誠監督が、この映画を企画した際に物語の役割について「日常から最も遠い場所(死)に行き、また日常に戻る。その事により日常の確かさを確認し生きていて良かったと思える」と言っていますが、まさにその監督の言葉通りに感じました。
コミカルで笑いが起こる楽しい場面も多いストーリーなのですが、見ている観客に「いつも死と隣り合わせで生きている現実」を思い出させてくれます。それに恐怖を抱くのではなく、だからこそ希望を自分の意志で見出して明るい光の中で生きていく事を全編を通じて訴えてくるような映画です。

叔母の葛藤にみる人生への教訓

わたしは叔母とすずめが、初めは少し他人行儀で表面的に仲が良いだけでお互い踏み込めない関係だったのが、物語が進むにつれて絆が強まっていく所が最も胸を打たれました。

自分の姉が震災で亡くなり、その娘(すずめ)を引き取った叔母。
亡くなった母親を泣きながら探し続ける小さいすずめに「わたしと一緒にくらそう」と言った時の叔母の気持ちには嘘はなかったんだと思います。

でも現実は厳しい。。。。傷ついた子供との二人暮らし。
姉の忘れ形見のすずめは可愛い。姉から保険金も受け取っている。
でも、母親を亡くしたばかりのすずめに気を使って家に友人を呼べない。結婚したくても、すずめがいる事がハードルになって話が進まない。しんどくなる事もある。
愚痴はすずめには言えない。本当の自分の娘だったら、気分で当たったりすることもあったかもしれないけど、それも出来ない。
そして、何よりも、すずめは悪くない。すずめだって母親から離れるのを望んだ訳ではない。。。。。。

すずめ自身も、叔母が好意で引き取ってくれているのも理解できるし、もしかしたら自分のせいで恋人が出来ないという事も分かる年頃になっている。そして一方では、過保護気味の叔母の態度も少し窮屈に感じている。

お互いに本音を上手く隠して、穏やかな日々が続く。
ポイントは、二人が本音を隠してるというよりも、二人とも自分が薄っすらと思って感じている事を、自分では認識出来ていないという事。自分の本音を自分自身が気が付いていない。上手に見ないふりをしてやってきている。

そんな中で、扉が開き、優等生だった聞き分けの良いすずめは、叔母の心配を振り切ってダイジンを探す旅にでる。

途中ですずめに追いついた叔母は、九州に帰ろうしないすずめに向かって本音をぶちまける。このシーンは、もう一人の要石の「サダイジン」(神)が叔母に憑依して言わせたように描かれています。叔母も正気に戻った時に「なんであんな事を言ってしまったんだろう」と後悔します。
でもわたしは、この場面はサダイジンが意図をもって叔母に言わせたというよりも、サダイジンという神が近くにいる事で、「隠している事も隠してない事も、全て表(おもて)に出た、のだと感じました。全て露わになる。何もかも。本音も建前も。腹の底に沈んでた感情も、自分では気が付かなかった思いも。
そして、同時に物語の中で、日本人が地震という死の恐怖に背中合わせで生きている事も露わになっていきます。

叔母はその後、すずめを自転車の後ろに乗せて「駐車場で私が言ったことやけど、胸の中でおもっちょったことはあるよ……でも、それだけでもないとよ。ぜんぜん、それだけじゃないとよ。」と伝えます。
さっきはあなたと暮らしていて嫌だった事を言ったけれども、それは本音ではあるけど、それが全てではない。一緒に過ごした十数年、あなたに感じた愛情や、笑いあった時間も沢山あった。悪い事だけではぜんぜんなかった。
叔母のその言葉を受けてすずめも素直に頷きます。
2人とも自分が感じていた事の全てを表(おもて)に出したからこそ肯定的に見えてくる景色があるなと感じました。自分が何を感じているかをちゃんと立ち止まってそれを見る。そしてそれを表現してみる。全部取り出して並べる。見たくない考えや感情があっても、なかった事にしない。
どれも全部、露わにする。良い事も悪い事も。ありのまま向き合う。それは、人生において起こる出来事を腑に落としていく為にとても大切な事だと思いました。

鎮魂とは何か

監督が映画を作る企画書の段階で「場を鎮める」というのを一つのテーマに挙げています。
まさに最後の要石を打ち込み、災いを起こす巨大ミミズを封じるシーンは「場を鎮めた」事になります。改めて鎮魂、鎮めるという事について考えてみると、そこには残酷なほどにはっきりとした「生」と「死」があります。
鎮められる側は死んでおり、鎮める側が生きている。でもその生死を分けたのは「偶然」や「運」でしかない。鎮める側には驕りがあってはいけない。自分たちはたまたま生き残った側に立っているだけ。
だからこそ、その偶然に享受した生を、明るい光の中を、一瞬一瞬大切に生きる。監督の言う「日常を確かな物に感じる」とは、生を無駄にしないで自らの意思で輝こうとする姿勢の事なのではないかと思います。「今」を存分に享受し生きる事が、鎮魂であり、「生きていて良かった」という事を体現することなのだと思います。

~鍵をかける際の祝詞~
「かけまくしもかしこき日不見(ひみず)の神よ。
遠つ御祖(おみや)の産土(うぶすな)よ。
久しく拝領(はいりょう)つかまつったこの山河。
かしこみかしこみ謹んで、お返し申す。」
~物語終盤の祝詞~
「命がかりそめだとは知っています。
死は常に隣にあると分かっています。それでも私たちは願ってしまう。いま一年、いま一日、いまもう一時だけでも、私たちは永らえたい。
猛き大大神よ!
お頼み申します!」

美しい日本の風景

美しい日本の風景がふんだんに映像に盛り込まれていて、とても綺麗です。どこかで知っていると思い出させてくれる普遍的な美しい日本の風景です。強くてハッキリした色合いではないのに、淡い色の集まりに揺るぎない確かなものを感じます。

子供が見ても喜びそうな可愛くてコミカルな登場人物のシーンも沢山あるので、子供からお年寄りまで幅広い客層に見てもらえる映画だと思います。わたしも子供達には絶対に映画館で見せてあげたいと思いました!!登場人物も一人一人に個性があって素敵です♪

ラストシーンは泣けます・・・・わたしの隣に座っていた若い男性の方も泣いていらっしゃいました。ハンカチ持参がベストです。すごく刺さる台詞が多いです。声優さんも見事でした。個人的には「君の名は。」「天気の子」を上回る完成度の高い作品だと思います。何より、批判を恐れずにこの時期に震災の描写をしているこの映画を公開した監督の覚悟が伝わる映画です。多くの日本人に見て頂きたいと感じました。

初日3日間で、監督作品歴代1位の興行成績でスタート!!

公開初日からの3日間興行成績が発表され、観客動員数は133万人、興行収入は約19億円となりました!!
「君の名は。」(2016年公開/興収250億円)対比で観客動員数138%、興行収入147%、「天気の子」(2019年公開/興収141億円)対比で観客動員115%、興行収入115%を記録しており、新海誠監督作品史上No.1のスタートになりました。
映画を見た人に対するアンケートによると、映画の満足度94%と非常に高い数値も示されているようです。

「君の名は。」は映画館で1600万人が見たと言われていて、日本人の8人に1人が見た事になります。ヒットする映画の影響ってすごいですね。私の周りにもすでに「すずめの戸締り」を見に行った人が多くて、もう一回見たいという感想も聞きます^^関東の方では平日の夜のレイトショーでもほぼ満席になっているようです。

それでは、今日はこの辺で(#^.^#)
また来週の水曜日にお会いしましょう!

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2023年1月 草津市野村 完成現場見学会のお知らせ


【リアル or WEB 完成現場見学会】
夏冬ストレスフリーの省エネ・エコ住宅
施主と建築士のアイデアがギュッと詰まった3LDK30坪の高性能デザイン住宅
■開催場所 : 滋賀県草津市野村
■開催日時 : 2023年1月7日(金)~15日(日)の9日間
■開催時間 : 10時~16時まで(ご希望日により、受付可能時間が異なりますのでご注意下さい)

※完全予約制の見学会です。
※WEBご予約の締め切りは、2023年1月14日(土)17:00まで。

社会環境の変化に関する対策とお願い
見学会の詳しい情報はコチラ



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