加地 誠 @ 魚類養殖のDX

Aquacraft代表取締役 / 魚類養殖の経営の在り方をアップデートする(aquac…

加地 誠 @ 魚類養殖のDX

Aquacraft代表取締役 / 魚類養殖の経営の在り方をアップデートする(aquaculture5.0の社会実装)/ ビジョン「おいしい魚が食卓に並ぶ当たり前の日々を次の世代につなぐ」 / 開発パートナー募集中 / 京都大学→UXコンサルのbeBit→教育大手→起業

マガジン

  • サービス開発の足跡

    養殖現場の日々の飼育・出荷データを横断的に分析し、養殖経営の経営インサイトをあぶりだすクラウド型養殖管理ソフト「uwotech(うおてっく)」を開発しています。紆余曲折を経ながらサービスを立ち上げてきた歴史と等身大の今をありのままに記録しています。

  • 【徹底攻略】生産者のための産直ECマーケティング

    生産者と消費者が直接つながり、販売できる時代。価値ある魚や農作物を育てれば高く売ることも可能になりました。新しい販路として産直ECを太い柱に育てて、強い経営を目指しませんか。マーケティングの視点からどうすれば産直ECで事業を伸ばせるか一緒に考えていきましょう。

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おいしい魚が食卓に並ぶ「当たり前」の日々を次の世代につなぐ

魚を食べなくなった日本人今、日本の水産業に元気がない。 日本では魚介類の国内消費量が減り続けている。2016年には魚よりも肉を食べる国民になった。 需要が減れば、供給側も必然的に尻すぼみになる。漁師や生産者は減少し、高齢化が進む。後継者が見つからず事業をたたむことになったケースも枚挙にいとまがない。 食料自給率の低下が未来の飢餓リスクを高める日本の当面高齢化と人口減少が進む。そこに魚の消費量、養殖事業者の低減が重なり、水産物のマーケットが小さくなっている。これはこれで何

    • 0というデータが実は習慣化を助けるという話

      なぜエラーなんですか死んだ魚の数を入力できない。 なぜなのか。 僕は養殖の生産管理サービス(業務システム)を作っています。タイやブリを育てる生産者さんにエサの量や水温を記録してもらい、データ分析を自動化・効率化するような感じです。 最近少しずつお客さんが増えてきた中でとあるお客さんが問い合わせてきたのが冒頭の「入力できない」問題でした。 不具合は普段そこまで多くないのでおかしいなと思って調べてみたら、これは仕様でした。つまりエラーや不具合ではなく、そういうルールでプログ

      • 価格設定の難しさと奥深さ

        価格はめちゃくちゃ難しい事業を始めてからかなり悩んだ&悩み続けた話に価格の話があります。消費者としてお金を払う時は値札を見て買うか買わないかを判断するだけですが、事業を創るとなると自分で値札に数字を書かなければいけません。そして、これがなかなか難しいんですよね。 起業はシンプルに捉えると「何を誰にいくらでどうやって売るの?」に答えるゲームです。「いくらで売るか?」は事業を立ち上げたい人や起業をしたい人は必ず考えることになるテーマだと思います。 僕は養殖の生産管理サービス(

        • 小学校で授業をしてみた

          授業をしてください!事業をされている方や広報担当の方にはよく共感していただけるのですが、ホームページからの問い合わせというと人材採用・動画編集・補助金支援・営業代行などの会社からの営業がほとんどです。 そんな中、普段、見慣れない問い合わせがきました。学校の授業で魚をテーマに扱っており、子どもたちに話をしてほしいという内容でした。それも会社(というか自宅)のある東京都東大和市の第八小学校からの依頼でした。選挙にいくときはもはや投票場所がその小学校の体育館だったりします。 内

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        記事

          【2023年】新機能開発の軌跡と裏側

          プロダクトをリリースしてから各取引先との個別案件に絡む内容も増えてきているので(嬉しい反応をもらったり、逆に嫌な対応をされたり、それなりにいろいろあるのですが、現状詳細まで書けない)今回は営業やCSではなく、プロダクト開発の本丸に焦点をあてます。 ちょうど年末なので、直近のアップデートや開発背景についても触れつつ、2023年に開発した主要な機能群について振り返ってみます。 2023年9月:野帳のデジタル化養殖で記録の対象となるデータは多岐にわたります。そこでリリース直後の

          【2023年】新機能開発の軌跡と裏側

          急成長の落とし穴?じっくり路線&引き算で再考する成長戦略

          成長の尺度僕は養殖の生産管理サービス(業務システム)を作っています。物凄く簡単にいうと、タイやブリを育てる生産者さんに給餌量や水温を記録してもらい、データをもとにした意思決定ができるよう支援するソフトウェアです。 サービス設計や事業運営を考える中で、「一般的に魚はどう成長するのか」「事業は今の成長スピードで大丈夫なのか」など「成長」というものについて考える時間が最近特に増えてきました。 成長を評価する軸として考えやすい指標は「成長速度」です。たとえば養殖でもそうです。魚が

          急成長の落とし穴?じっくり路線&引き算で再考する成長戦略

          リリースしたら一段落するどころかヒリヒリ度が増した

          今まで書いてきたnoteの中でたぶん今回が一番ダサい記事だと思います。サービスをリリースしてから2カ月。県や市の方と仕事をする機会をいただいたり、初受注があったり、IT導入補助金に採択されたりといいニュースもたくさんありました。 ただこれはあくまでも対外的な話。 発信していなかっただけで、実のところこの2カ月は正直めちゃくちゃしんどかったです。リリースするまでも大変でしたが、リリースしてからの方が輪をかけてもっと大変でした。これまでの人生で一番精神的にきつい2カ月(継続中

          リリースしたら一段落するどころかヒリヒリ度が増した

          作りたいループの外側にあるUXがレバレッジポイントになっているという話

          先日システム思考の本を読みました。養殖の生産管理サービス(業務システム)を企画・設計をするときにも、このシステム思考の思考フレームを持っておけると結構面白いかなと思ったので、そんなことをつらつらと書いてみます。読んだのはこの本。結構面白かったです。オススメです。 生産管理とは何か餌の記録を付けたら、増肉係数(1kg魚を太らせるのに何kgの餌が必要か)がわかるとか、原価がわかるというのが生産管理のベーシックな構造です。もうちょっと一般化すると、「データをためていくと欲しいアウ

          作りたいループの外側にあるUXがレバレッジポイントになっているという話

          車輪の歴史を紐解くと「車輪の再発明」の恐れ方を間違えていることに気づいた

          僕は養殖の生産管理サービス(業務システム)を作っています。物凄く簡単にいうと、タイやブリを育てる生産者さんに給餌量や水温を記録してもらい、データをもとにした意思決定ができるよう支援している感じですね。2023年8月にサービスをリリースして以来、手探りながらも営業を始めました。中には導入に至らないケースもあってその一つに「すでに自社開発をしている」というパターンがあることが分かってきました。 ある生産者さんの話を聞いたときに僕はふと思いました。 「これほとんど発想同じじゃん

          車輪の歴史を紐解くと「車輪の再発明」の恐れ方を間違えていることに気づいた

          「uwotech生産管理」正式版リリース!シーフードショー出展の舞台裏

          β版での検証を終え、8/22に「uwotech生産管理」をリリースしました。さらに8/23~25で第25回 ジャパン・インターナショナル・シーフードショーにも初出展してきました。知財の関係でずっとこのnoteに画面を出せなかったのですが、今回特許も出願したのでちょっと安心です。ソフトウェアのUIなんてすぐにパクられちゃうし、我々自身もよりよい体験を創るために日々アップデートするので、お守りみたいなものです。 uwotechってなんのサービス?という方は今回のリリースに合わせ

          「uwotech生産管理」正式版リリース!シーフードショー出展の舞台裏

          リリース最優先でβ版を出してみたら、初期設定の沼が待っていた

          着想から1年半。辿り着いたβ版リリース。ひとつの大事な節目なので、振り返っておきたいと思います。 膨らむ開発工数サービスは作っては壊すの連続でした。その中で1つ問題になったのは「時間」です。 なんといっても一つ一つの機能開発のすべてがとにかく難易度が高く、重たいのです。そして蓋を開けるたびに厄介な問題に出くわしました。たとえば水産用医薬品。餌と同じ機能で正直行けると思っていましたが、ダメでした。商品ごとに販売数量と単位(150mL、10kgなど)が微妙に違うのです。 「

          リリース最優先でβ版を出してみたら、初期設定の沼が待っていた

          立ちはだかった2つの大きな課題。PMF達成のためにやった7つのこと

          β版を始めてみて思いのほか初期設定に時間がかかってしまったのは、確かに大変でした。この初期設定は機能開発で改善し、オンラインでも完結できるまでになりました。ただ初期設定の壁を乗り越えたとて、その先に待っていたのはなかなか厳しい現実でした。 データ管理には手応えも5社の生産者にサービスを使ってもらって毎週フィードバックをもらうというのを約2カ月続けました。フィードバックをもらうたびに仕様を見直し、毎週改善を重ねました。 β版の提供終了を控えた6月、僕たちはアンケートを実施し

          立ちはだかった2つの大きな課題。PMF達成のためにやった7つのこと

          データを使って魚を速く効率的に育てる秘訣は、週と月で視点を変えること

          「魚をうまく育てて利益を残す」ということを経営の視点から考えると、大切なことは以下の3つに分けられると考えています。 1.速く効率よく成長させる 2.死んでしまう尾数を抑える 3.いい状態(単価が高い)で出荷できる魚を増やす この3つを何かわかりやすい指標で管理、分析することを考えます。 次元を減らせば比較ができるデータを比較するときに異なる生簀や種苗をフラットに比較できると嬉しいですよね。そうすると、大事なのは尾数や平均体重などの要素を捨象することになります。つまり高

          データを使って魚を速く効率的に育てる秘訣は、週と月で視点を変えること

          養殖業特化の業務用SaaSを開発して感じたサービスデザインの鉄則6選

          僕たちの開発は進んでは戻るプロセスの連続でした。粒度は大きいものから小さいものまでさまざまですが、仮説を立てて機能を作っては生産者さんから率直な考えや意見を聞いて修正してきました。まだ全然完成していませんが、画面を作りデザインする過程で何度も何度も小さく失敗してきました。その過程でごにょごにょと考えたことがいくつかあったのでアウトプットしてみます。 1.デザインとは複雑性を管理することUXを考える自分としてはこの期間によく考えていたのは「デザインとは何か」ということでした。

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          小さくたっていいじゃない!?日本の養殖業界のリアル

          小さくて何が悪い!意外と面白いのが日本の養殖業界。魚の養殖事業者は規模の小さい事業者がほんとに多いです。特に山間部にあるため面が取りづらく、1尾あたりの単価もそこまで上げづらい内水面の生産者は特に売上1000万くらいのところが多い傾向にあります。 「小さくてもいいじゃない!」 わかります。そうですよね。別に小さくてもいいです。僕だって売上ゼロですし笑。それはそうなんです。 投資には袖が必要だけど、考えてみてください。売上1000万で利益率が5%だと50万しか利益が残らな

          小さくたっていいじゃない!?日本の養殖業界のリアル

          水質から飼料管理まで -養殖業経営を成功させるための重要な要素

          養殖の生産管理で重要なのは、水質と飼料管理です。きれいで健康な水を維持することは、魚の健康と成長に不可欠です。また、魚の成長と発育に必要な栄養素を確実に摂取するためには、適切な飼料管理が必要です。 水質の重要性魚は生息する水環境に大きく依存するので、水質が変化すると魚の健康や成長に大きな影響を及ぼします。なので生産者さんはだいたい何らかの水質に関する指標についてモニタリングをしていたりします。 魚にとって健康な環境を維持するために、これらのパラメータを定期的にモニタリング

          水質から飼料管理まで -養殖業経営を成功させるための重要な要素