セルフ聖地巡礼【その16】
23日から25日まで沖縄本島へ調査に行っていました。沖縄にはずっと行ってみたかった、というより行かなければならない場所でした。というのも、これまで沖縄の海産魚に寄生する単生類の論文を2本も書いたにも関わらず、沖縄には行ったことがなかったためです。大学の時に所属していた研究室の教授に言われた、「サンプルは他の人にとってきてもらってもいいけど、必ず現地には行くように。」が守れずにいました。そのため、今回はセルフ聖地巡礼と可能な限り沖縄を楽しみに行ってきました。
巡礼地その1
巡礼地その1の読谷村は、沖縄本島中部、中頭郡に属する村で、Wikipediaによると日本で一番人口の多い村だそうです。この村の漁港に即売所があるのですが、その漁港で購入した魚から日本新記録の単生類を2種類見つけています。Gemmaecaputia corrugata というオオメカマスのエラに寄生している単生類とPseudodiscocotyla opakapaka というオオヒメのエラに寄生している単生類です。前者の単生類はインドで後者はハワイで発見されています。宿主であるオオメカマスやオオヒメは沖縄(伊豆諸島の一部)ではよく食べられているのですが、寄生虫については、日本では見つけられていませんでした。日本は島国で海に囲まれているため魚の種類が多いせいか、寄生虫(単生類)の分類ができる研究者がいないせいかわかりませんが、論文のネタが残っていたということでラッキーでした。
車で漁港に向かったのですが、村の名前の通り山を下っていくことになりました。即売所の開店と同時に行ったのですが、魚が並んでおらずビックリしました。しかし、9時半くらいに漁船が帰ってきて、水揚げした魚をおろし始めたのですが、魚の数は少なく、セリのあと残ったのはイワシだけでした。ちなみに、漁船が帰ってきてからセリまで時間がかかるということで、協力者の広島大学の学生を残して、私はもう一つの聖地に向かいました。
寄生虫がとれなくても、カマスとオオヒメを購入して、写真を撮って、味わってみたかったのですが、時期が悪かったです。
巡礼地その2
巡礼地その2は、沖縄市にある泡瀬漁港です。ここでは、Pseudodiscocotyla. mikiaeというオオヒメのエラに寄生している新種の単生類を発見しています。同じ沖縄という島の東西で違う種がいるというのは興味深い結果となっています。パヤオ直売所というところで魚を購入しましたが、こちらでもオオヒメを入手することができませんでした。観光客向けのお店だったので、オオヒメのような高級魚が売られていることを期待していたのですが、こちらでも魚種が少なかったです。一応、オオヒメと近い種類の魚があったので、それを購入しました。あとは、その近所にある魚屋によって読谷村に残した広島大学の学生を拾って帰路につきました。
購入した魚は以下の3種でした。
コバンヒメジ
ニセカンランハギ
キンメヒメダイ
残念ながら、寄生虫はほとんど取れませんでした。キンメヒメダイに至っては、腸にいるはずの寄生虫をエラからみつけました。解剖の後は、これらの魚を、同行した魚好きの京大生がこだわり抜いて料理を作ってくれました。詳細はブログの方で紹介しているので、ご覧ください。まーす煮という沖縄料理を1つ用意してくれたのですが、魚からここまで出汁が出るのかと驚きました。におい(味?)が気になっていたニセカンランハギもうまく工夫されていました。
正直申しまして、不完全燃焼の沖縄調査でした。とにかく天気が悪かったです。今回のメンバーで、以前鹿児島に調査に行ったことがあるのですが、この時も天気が悪く、なんと特別警戒警報(大雨)が発令されていました。きっと、究極の雨男がいるのでしょう。この沖縄調査に合わせて、野外調査用の道具をいろいろと実践投入しました。これらの紹介と沖縄で見てきたことなどを、次から記事にしていこうと思っています。
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