一億総活躍社会を目指す「働き方改革」

■働き方改革関連法案

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」は、第4次安倍内閣の最重要法案の一つと位置付けられた法案である。


関連法案は一度は廃案になっていた。

◎2015年4月3日
「労働基準法等の一部を改正する法律案」として提出。(閣法189-69)
◎2016年9月26日
「働き方改革実現会議」を発足。
◎2017年3月28日
「働き方改革実現会議」において、「働き方改革実行計画」が決定。

しかし、一度も審議されないまま2年以上にわたって継続審議が続いていた。

◎2017年9月28日
衆議院解散によって審議未了のまま廃案となった。
◎2017年10月22日
衆議院議員総選挙にて、「働き方改革を実行する」と公約した自民党が圧勝し、国民からの圧倒的民意を得た。


◎2018年1月22日
安倍総理の施政方針演説で「働き方改革関連法案は最重要法案の一つと位置付けられた。

◎2018年4月6日
第196回国会に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」を提出。(閣法196-63)

8つの労働系の法律を改正するための束ね法案となった。
(1)労働基準法
(2)労働安全衛生法
(3)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
(4)じん肺法
(5)雇用対策法
(6)労働契約法
(7)短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法) ※後に改称
(8)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)

◎2018年05月31日
衆議院本会議で可決。
◎2018年06月29日
参議院本会議で可決成立。

※衆議院
・働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g19609063.htm


■「働き方改革関連法案」の施行

2019年4月1日より、順次施行された。

◎2019年04月01日
☆「労働基準法」の改正
大企業の、時間外労働の上限規制の導入。(月45時間、年360時間)
 ⇒「36協定」において協定する必要のある事項が増える。
・年次有給休暇の確実な取得。(年5日)
・フレックスタイム制の見直し。(清算期間の上限が3ヵ月に延長)
・高度プロフェッショナル制度の創設。
☆「労働安全衛生法」の改正
・労働者の健康確保措置の実効性を確保。
・産業医や産業保健機能の強化。
☆「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」の改正
・前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に、一定時間の休息を確保。


◎2020年04月01日
☆「労働基準法」の改正
中小企業の、時間外労働の上限規制の導入。(月45時間、年360時間)
 ⇒「36協定」において協定する必要のある事項が増える。
☆「パートタイム有期雇用労働法」「労働契約法」の改正
・「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム労働法)を、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム有期雇用労働法)に改題。 
・大企業の、正規雇用と非正規雇用の"不合理な待遇差"の禁止。
 ⇒大企業で「同一労働同一賃金」を法制化。
・待遇差の内容や理由等の説明義務。
☆「労働者派遣事法」の改正
・派遣労働者に対する"不合理な待遇差"の禁止。
 ⇒「同一労働同一賃金」を法制化。


◎2021年04月01日
☆「パートタイム有期雇用労働法」「労働契約法」の改正
・中小企業の、正規雇用と非正規雇用の"不合理な待遇差"の禁止。
 ⇒中小企業で「同一労働同一賃金」を法制化。
・待遇差の内容や理由等の説明義務。


◎2023年04月01日予定
☆「労働基準法」の改正
・中小企業の、月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が50%に。
 ⇒猶予措置の廃止。

◎2024年04月01日予定
☆「労働基準法」の改正
自動車運転業務、建設業、医師の、時間外労働の上限規制の導入。(上限時間は異なる)
 ⇒「36協定」において協定する必要のある事項が増える。


■同一労働同一賃金

この「働き方改革関連法」によって、「同一労働同一賃金」が法制化された。

正規雇用と非正規雇用との間で、基本給、賞与、各種手当、福利厚生・教育訓練などにおいて不合理な待遇格差があってはならないという考えのもとで法整備された制度。

だが、「同一労働同一賃金」が法制化されたところで、正規雇用・非正規雇用という"厚く高い壁"は依然として強く強く存在している。非正規雇用が雇い止めに遭うリスクは、まだまだ残っているのだから。


◎メリット
・労働時間を減らす事で、過労を抑え、労働生産性の向上が期待できる。
・優秀な人材を確保しやすくなる。

◎デメリット
・正規雇用の給与や待遇が上がらない可能性がある。
・非正規雇用の給与や待遇は上がる可能性はあるが、雇い止めや雇い控えのリスクを伴う。


■正社員をなくしましょう

そう考えると、竹中平蔵氏が数年前に口にした「正社員をなくしましょう」という言葉通り、正規雇用・非正規雇用という"厚く高い壁"を取っ払う事で、労働者の区別や差別を無くしてフラットにしたほうが、「同一労働同一賃金」をより強く実現させる方法として最も手っ取り早いと思うし、労働生産性に対して給与を支払える事にもなるし、理に適っているのではないかと思う。

そのためにも、法改正を以て『整理解雇の4要件』を政治的に取り払う必要があるだろう。

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