正社員をなくしましょう

↑ いきなり、巷で有名な画像を拾って貼り付けてみた。
(誰が作ったかは知らない)

自分で構想 → 自分で提案 → 自分で決定 → 自分で儲けるw
(以下、ループする)

という事で、今回の話の主役(?)は、みんな大好き株式会社パソナグループ取締役会長だった竹中平蔵センセーです。


■小泉内閣の「労働者派遣法改正」は本当に"悪"なのか?

巷では、「小泉内閣の労働者派遣法改正(製造業派遣)が規制緩和の最たるものであり、非正規雇用が増大した最大の原因」と言われているが、果たしてそうなのだろうか?

「製造業への派遣」を解禁した結果、どうなったか。
・製造業の派遣労働者数……増加
・製造業の請負人数…………減少
・製造業の正規雇用者数……ほとんど減っていない

つまり、非正規の中にあった請負人(改正以前は「偽装請負」も多く行われていた)が派遣労働者に切り替わっただけの事。

製造業の正規雇用者がさほど減っていないのは、『整理雇用の4要件』や労働基準法第18条の2(当時)があったがゆえに容易に解雇できなかったため。

従って、2004年改正が非正規雇用を増加させた原因とは言えない。それどころか、所得格差を表す指標「ジニ係数」は寧ろ改善されている。派遣労働者は労働者派遣法が初施行された1986年7月以降から増えている。


■「非正規雇用」という雇用形態は本当に"悪"なのか?

いろいろと言われている「非正規雇用」という雇用形態だが、"絶対悪"とは言い切れないところもある。

労働者にすらなれない無職無収入の自宅警備員ニートを量産させていくのか。
それとも、無職無収入の自宅警備員ニートになるよりは非正規になってでもお金を稼いだほうがいいのか。

(1)労働者そのものが減少し、無職者で溢れ返った場合
・労働者全体の平均収入は、"計算上"は上がる。
 ⇒無職者は一切カウントされない。
・労働者全体の所得の総額は伸び悩む。
 ⇒無職者が増えるため。
・労働者と無職者の格差は拡がる。
 ⇒ジニ係数の悪化。

(2)非正規雇用で低賃金とはいえ、労働者そのものが増加した場合
・労働者全体の平均収入は、"計算上"は下がる。
 ⇒低賃金とはいえ労働者は増加するため。
・労働者全体の所得の総額は増加する。
 ⇒労働者が増加した分だけ伸びやすくなる。
・正規雇用と非正規雇用の格差は縮まる。
 ⇒ジニ係数の改善。

『整理解雇の4要件』によって、経営者が正規雇用の採用に二の足を踏むという事実があった以上、上記(1)(2)のどちらを選択するべきかの舵取りを迫られる。
そうなれば、当然(2)という事になる。


■「竹中平蔵」という人物は本当に"悪"なのか?

非正規雇用……とりわけ派遣労働の件において、最も叩かれているのが竹中平蔵氏である。

小泉内閣の下、民間人閣僚として、経済財政政策担当大臣、IT担当大臣、金融担当大臣を担った。その間に、労働者派遣法が改正され、製造業への派遣が解禁となった。
改正後の参議院議員選挙にて比例代表で当選した後は、郵政民営化担当大臣や総務大臣も担った。


小泉内閣総辞職と同時期に議員辞職し、その4カ月後の2007年2月1日付で人材派遣会社「パソナ」の特別顧問となり、2009年8月に「パソナグループ」の取締役会長(代表権なし)にもなった。

製造業への派遣を解禁した小泉内閣の一大臣だった人物が、パソナという派遣会社の取締役会長に収まる。
これがかなりの顰蹙を買ったようで、「利益誘導」「既得権益」などと猛烈に批判される原因にもなった。

だが、そもそも、労働者派遣法は「厚生労働省」の方策であり、経済・金融・IT担当だった竹中氏は全くの管轄外である。
労働者派遣法を巡って、小泉総理が叩かれるならまだしも、竹中氏が批判される理由は何一つないと思うのだが。

なお、当時の厚生労働大臣は坂口力氏で、当時の答弁は会議録にしっかり残っている。



■「パソナグループ」という派遣会社は本当に"悪"なのか?

みんな大好きパソナグループの人材派遣業界における売上順位は2020~2021年で第4位(売上高3345億円)であるが、派遣業界全体から見たシェア度は6.8%程度のようだ。

それ以前はどうだったのかはわからないが、近年の派遣業界はリクルート(スタッフサービス)とパーソル(テンプスタッフ)のツートップが圧倒的で、業界第3位と第4位を行ったり来たりしているパソナグループの3~4倍のシェアがあり、大きく引き離している。


これをどう捉えるかは人それぞれだと思うが、竹中氏やパソナグループの事をあんなにもボロクソに叩きまくる人が多い割には、正直「こんなもんかーw」という感想しかない。

もし、竹中氏が時の政権(小泉・安倍・菅)に対してスーパー絶大な影響力を持っているというのであれば、パソナグループを業界ブッチギリの第1位にする事だって容易のはずだろう。

だが、実際はそうではない。竹中氏にパソナグループを業界第1位にするだけのチカラなんてあるとは思えないし、非正規雇用の増加や長年に渡るデフレの全責任を竹中氏一人のせいにするにはアマリニモ無理があるというもの。

パソナグループがどーのこーの言っている人たちは、竹中平蔵とかいう人物をどれだけ過大評価しているんだ?と言いたい。


■「正社員をなくしましょう」は本当に"悪"なのか?

更に、テレビ番組で「正社員をなくしましょう」「若者には貧しくなる自由がある」などと発言した事によって、火に油を注いでしまう形となった。

「正社員をなくしましょう」という言葉は、2015年1月1日未明に放送された「朝まで生テレビ」にて、
「"同一労働同一賃金"と言うんだったら「正社員をなくしましょう」って言わなきゃいけない。」
と、辻元清美議員に対して発した事から。

後日、「正社員をなくしましょう」という言葉だけが切り取られ、ネットニュースのタイトルとして躍り出て一人歩きしてしまったようだ。

だが、実際のやり取りを見てみると印象は異なってくる。切り取り報道は恐ろしい。


■氷河期世代の筆者があえて言おう

『整理解雇の4要件』が正規雇用を守りすぎているという指摘は、竹中氏が以前からずっと主張し続けてきた事でもあるが、とりあえずパソナの事は置いておいて、竹中氏の主張は的を射ているわけだ。

私は、氷河期世代の一人であり、正規雇用(正社員)も非正規雇用(アルバイト・契約社員・派遣社員)も経験がある。更に、かつてはアンチ竹中だった。そんな私があえて言おうではないか。

「正規雇用はアマリニモ守られすぎている」と。
だから「正社員をなくしましょう」と。

↑ ラストも、巷で有名な画像を拾って貼り付けてみた。
(クドイようだが、誰が作ったかは知らない)

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