労働者派遣法の歴史
■労働者派遣法について
制定時の正式名称は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」であった。
派遣労働の法的根拠となっている「労働者派遣法」とはどのようにして出来上がっていったのか。"案を提出した内閣別"で振り返る事で、その時代ごとの労働環境の変化も見えてくるのではないか。
■中曽根内閣
◎1985年3月19日
上程。(閣法102-59)
◎1985年5月17日
衆議院本会議で可決。
◎1985年6月7日
参議院本会議で可決成立。
◎1985年8月12日
中曽根総理の中選挙区(群馬県第3区)で日本航空123便墜落事故。
◎1985年9月22日
プラザ合意。
◎1986年7月1日
「労働者派遣法」が施行。
政令で定める適用対象業務は13業種。
◎1986年10月1日
「労働者派遣法の施行令」が施行。
政令で定める適用対象業務が上記13業種に3業種追加で、計16業種となる。
■橋龍内閣
◎1996年3月1日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」を提出。(閣法136-66)
◎1996年5月8日
参議院本会議で可決。(参議院先議法案)
◎1996年6月11日
衆議院本会議で可決成立。
◎1996年12月1日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」が施行。
政令で定める適用対象業務が上記16業種に10業種追加で、計26業種となる。
■小渕内閣
◎1998年10月6日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」を提出。(閣法143-10)
◎1999年3月26日
「職業安定法等の一部を改正する法律案」を提出。(閣法145-90)
◎1999年5月21日
衆議院本会議で両案が可決。
◎1999年6月30日
参議院本会議で両案が可決成立。
◎1999年12月1日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」が施行。
「職業安定法等の一部を改正する法律案」が施行。
派遣業における適用対象業務や職業紹介職種が、一部の業種を除いて「原則自由化」された。
この業種には人材を派遣してもよい(ポジティブリスト)
↓
この業種には人材を派遣してはいけない(ネガティブリスト)
■森内閣
◎2000年12月1日
派遣と職業紹介を融合させた「紹介予定派遣」を許容。
しかし、、、
派遣については「労働者派遣法」を適用。(履歴書・事前面接は禁止)
職業紹介については「職業安定法」を適用。(有料職業紹介事業の規制)
と、このように、役割分担されすぎてイビツなシステムであった。
■小泉内閣
◎2003年3月7日
「職業安定法及び労働者派遣法の一部を改正する法律案」を提出。(閣法156-78)
◎2003年5月22日
衆議院本会議で可決。
◎2003年6月6日
参議院本会議で可決成立。
◎2004年3月1日
「職業安定法及び労働者派遣法の一部を改正する法律案」が施行。
「紹介予定派遣」の法制化。(第二条第六号に新設)
⇒履歴書・事前面接の解禁、有料職業紹介事業の緩和。
製造業への派遣を解禁。
⇒2007年2月末までは最長1年、2007年3月以降は最長3年。
派遣受入期間の制限の緩和。
■民主党政権
◎2010年4月6日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」を提出。(閣法174-60)
◎2012年3月8日
衆議院本会議で可決。
◎2012年3月28日
参議院本会議で可決成立。
◎2012年10月1日。
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」が施行。
法律名が 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変更。
⇒派遣労働者の保護のための法律である事を明記。
日雇い派遣の原則禁止。
一年以内に退職した職場への派遣の禁止。
マージン率の情報開示。
■安倍内閣
◎2015年3月13日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」を提出。(閣法189-43)
◎2015年6月19日
衆議院本会議で可決。
◎2015年9月9日
参議院本会議で可決成立。
◎2015年9月30日
「労働者派遣法等の一部を改正する法律案」が施行。
労働者派遣事業が許可制に一本化。(第二条の改正)
⇒一般労働者派遣事業(登録制)と特定労働者派遣事業の廃止。
派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進。(配慮義務)
労働者派遣法に関する成立・改正の経緯を掘り下げていったら、かなりのボリュームになってしまった。
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