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食品衛生法が改正されました ⑤「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設

食品衛生法が改正されました ⑤「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設(本文1,199文字)
 
令和3年(2021年)に改正された「食品衛生法」が、3年間の猶予期間(経過措置期間)を経て令和6年(2024年)6月1日から完全施行開始しました。今回は「「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設」についてまとめます。
 
<営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設のあらまし>
食品衛生法の改正趣旨のとおり、食を取り巻く環境の変化や国際化等に対応する食品の安全確保の必要があります。そこで「HACCPに沿った衛生管理の制度化」に伴い、食中毒等のリスクや規格基準の有無、過去の食中毒の発生状況等、および実態に応じた営業許可業種への見直し、ならびに営業許可業種以外の事業者には届出制度を創設することにより、食品等事業者を把握していきます。
 
図1)"営業許可制度"の見直し及び"営業届出制度"の創設
https://www.mhlw.go.jp/content/000772221.png
 
<営業許可業種の見直し>
食中毒等のリスクならびに食品産業の実態等を踏まえて、公衆衛生に与える影響が著しく、営業許可が必要とされる業種が見直し・再編されました。
1 液卵製造業、水産食品製造業、漬物製造業等を新設
2 改正前の許可業種のうち,食中毒等の発生リスクが低いと考えられる一部の許可業種を届出業種へ移行
3 ひとつの許可業種で取り扱える食品の範囲を拡大
4 原材料や製造工程が共通する業種を統合
 
図2)営業許可業種の見直し
https://www.mhlw.go.jp/content/000772222.png
 
営業許可業種の見直しは複雑なので、詳細は資料もご参照ください。
■営業許可制度の見直しに関する詳細
https://www.mhlw.go.jp/content/000772316.pdf
■営業許可業種に関して
https://www.mhlw.go.jp/content/000772317.pdf
■施設基準に関して
https://www.mhlw.go.jp/content/000772318.pdf
■営業許可制度の見直し及び営業届出の創設に関するQ&A(令和2年12月28日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000772503.pdf
 
<営業許可が必要な具体的業種>
許可または届出対象の事業者は食品関連営業(者)です。ここでいう営業(者)は食品衛生法第4条第7項及び第8項に示されています。

営業(者)(法第4条第7項及び第8項)
営業とは、業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること又は器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することをいう。
ただし、農業及び水産業における食品の採取業は含まない。営業者とは、営業を営む人又は法人。

 
具体的業種は下表の通り(各表は筆者が厚生労働省公表情報等をもとに作成);
表1)食品衛生法の要許可業種

表2)食品衛生法の要届出業種
「食品衛生法の許可業種」と「届出が不要な業種」以外の営業者が対象となります。

※1:専ら容器包装に入れられた状態で仕入れ、そのままの状態で販売する営業。
※2:営業者には含まれませんが、届出の規定が準用されます。

表3)届出が不要な業種
公衆衛生に与える影響が少ない営業として規定されている以下の業種の営業者については、許可又は届出は不要です。

※学校・病院等の営業以外の給食施設のうち、1回の提供食数が20食程度未満の施設や、農家や漁業者が行う採取の一部とみなせる行為(出荷前の調整等)も届出対象外となります。
 
 
<一次情報>
食品衛生法の改正について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html
 
<関連情報>
厚生労働省は、概要として挙げられている7項目について、それぞれ詳細を公表しています。
(1)大規模又は広域におよぶ「食中毒」への対策を強化
(2)「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化
(3)特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
(4)「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
(5)「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
(6)食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化
(7)「輸出入」食品の安全証明の充実
 
<参考情報>
■梅干しの製造販売が許可制になりました
https://note.com/fir_institute/n/n222c67a126cd
■【独自研究報告】食品衛生申請等システムによる令和5年度食料品リコール公開回収事案
https://note.com/fir_institute/n/n6ad59d79c7d9
■食品衛生法が改正されました ①大規模又は広域におよぶ「食中毒」への対策を強化
https://note.com/fir_institute/n/nf985d53530fd
■食品衛生法が改正されました ②「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化
https://note.com/fir_institute/n/n3f1253cc102e
■食品衛生法が改正されました ③特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
https://note.com/fir_institute/n/nb05b5e128b1a
■食品衛生法が改正されました ④「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
https://note.com/fir_institute/n/nf75236614c25
■食品衛生法が改正されました ⑥食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化
https://note.com/fir_institute/n/nca6c24ad0230
■食品衛生法が改正されました ⑦「輸出入」食品の安全証明の充実
https://note.com/fir_institute/n/nb41795167615 

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