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食品衛生法が改正されました ⑥食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化

食品衛生法が改正されました ⑥食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化(本文1,291文字)

令和3年(2021年)に改正された「食品衛生法」が、3年間の猶予期間(経過措置期間)を経て令和6年(2024年)6月1日から完全施行開始しました。今回は「食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化」についてまとめます。
 
<自主回収情報の報告義務化のあらまし>
本制度の目的は、「事業者による食品等の自主回収(リコール)情報を行政が確実に把握し、的確な監視指導や消費者への情報提供につなげ、食品による健康被害の発生を防止するため」とされます。事業者が自主回収を行う場合には、行政にかかる情報の届出を義務づけました。
 
図)自主回収情報の制度の創設について
https://www.mhlw.go.jp/content/000772364.png
 
■食品等の自主回収報告制度の創設
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000706468.pdf
 
<食品衛生申請等システムによる自主回収情報の報告>
厚生労働省は、令和3年(2021年)6月1日から「食品衛生申請等システム」の運用を開始しています。これまで保健所の窓口だった自主回収情報の届出がインターネット上で完了ができるようになり、いっぽう消費者は自主回収情報をオンラインで確認できるようになりました。
 
■食品衛生申請等システムについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000802119.pdf
■食品リコールについて(事業者向け)
https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000781959.pdf
■食品リコールについて(消費者向け)
https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000781933.pdf
 
<報告の対象>
食品衛生法に「違反する」または「違反のおそれがある」食品等が対象です。
【対象1】 食品衛生法に違反する食品等・・・法第59条の廃棄・回収命令の対象と同じ範囲であること。
【対象2】 食品衛生法違反のおそれがある食品等・・・違反食品等の原因と同じ原料を使用している、製造方法、製造ラインが同一であることで汚染が生じている等として営業者が違反食品等と同時に回収する食品等をいうこと。
 
ただし、下のような「食品衛生上の危害が発生するおそれがない場合として厚生労働省令・内閣府令で定めるとき」は、報告の適用除外になります。
【除外1】 当該食品等が不特定かつ多数の者に対して販売されたものでなく、容易に回収できることが明らかな場合。
(除外1の例)地域の催事で販売された焼きそばについて、催事場内での告知等で容易に回収が可能な場合等
【除外2】 当該食品等を消費者が飲食の用に供しないことが明らかな場合。
(除外2の例)食品等が営業者間の取引に留まっており、卸売業者の倉庫に保管されている場合
(除外2の例)食品等が消費期限又は賞味期限を超過している場合等
 
■報告対象から適用が除外される場合の詳細
https://www.mhlw.go.jp/content/000772537.pdf
 
<食品衛生申請等システムとは>
厚生労働省が創設・公開した、「食品衛生申請等システム」から自主回収情報を含む各種届出をすることができます。
食品衛生申請等システムへのアクセスは食品等事業者向けと一般向けのふたつがあります。
■食品等事業者向け
※初回利用時のみ事業者情報の登録が必要です。

■一般向け

 
システムの利用については、動画とマニュアルならびにFAQが整備されています。
システムの利用について
■「食品衛生申請等システム」のよくあるご質問(FAQ)
https://ifas.mhlw.go.jp/faq.htm
 
なお、令和5年4月1日~令和6年3月31日に届出された回収事案は751件でした(令和6年5月1日現在での集計)。また、自主回収が終了した2週間後に届出情報はシステムから削除されます。
 
 
<一次情報>
食品衛生法の改正について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html
 
<関連情報>
厚生労働省は、概要として挙げられている7項目について、それぞれ詳細を公表しています。
(1)大規模又は広域におよぶ「食中毒」への対策を強化
(2)「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化
(3)特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
(4)「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
(5)「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
(6)食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化
(7)「輸出入」食品の安全証明の充実
 
<参考情報>
■梅干しの製造販売が許可制になりました
https://note.com/fir_institute/n/n222c67a126cd
■【独自研究報告】食品衛生申請等システムによる令和5年度食料品リコール公開回収事案
https://note.com/fir_institute/n/n6ad59d79c7d9
■食品衛生法が改正されました ①大規模又は広域におよぶ「食中毒」への対策を強化
https://note.com/fir_institute/n/nf985d53530fd
■食品衛生法が改正されました ②「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化
https://note.com/fir_institute/n/n3f1253cc102e
■食品衛生法が改正されました ③特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
https://note.com/fir_institute/n/nb05b5e128b1a
■食品衛生法が改正されました ④「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
https://note.com/fir_institute/n/nf75236614c25
■食品衛生法が改正されました ⑤「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
https://note.com/fir_institute/n/ne2a7b1e28871
■食品衛生法が改正されました ⑦「輸出入」食品の安全証明の充実
https://note.com/fir_institute/n/nb41795167615 


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