ひろ

はじめまして。 24歳男性。好きな作家は寺山修司/村上春樹/村上龍です。 好きなアニメ…

ひろ

はじめまして。 24歳男性。好きな作家は寺山修司/村上春樹/村上龍です。 好きなアニメは「カウボーイビバップ」他。最近のマイ映画ベストは「バビロン」

最近の記事

睡眠不足

数字があがらないのは、君のせいだと マニュアル通りになぜ動かないと先輩に水をかけられた 胸に穴の空いたゾンビにでもなりたい 互いの価値観は、ずっと手を取ることはない 諦めた世界がこの国の平和の形なら 平和を求めて彼は歌う 内の中に平和を手にすると 銃弾が貫く もう寝ようよ 月も沈み、日は登る 眠れないなら 飽きるまで、無駄なことをしよう 僕たちには自転車がある カウボーイには馬があった 彼女にはスマホがある 貴婦人にはロマンがあった 全てが手の先にあるような人間たちの

    • あゝ

      この果てしない夜の向こう、同じラジオを聞いている人がいる。 この行き場ない悩み抱えを、同じラジオに心寄せる人がいる。 僕はそれを思って孤独を忘れられる。 雨がふる、水たまりは踊り出す、 車は光の速さで流れ、 彼らは笑う。 信号は黒に止まる、 人々は紐を緩め、 布団の中の秘密基地はあかりに包まれる。 僕はこの夜を思う。 僕は一人称複数系。

      • 22の朝

        いつまで歩んでいけば、 目的地にたどり着くんだろう 気がつけば、臆病の猫をかぶったまま 幼い夢 捨ててきた 大人になったら正解も不正解も、 数学の先生は教えてくれない だからどれも笑い事 目は彩度を失っても ヨゾラはきれいなものさ   人間ていいなって昔の人は歌った 僕は未だにそうは思わない それでも生きるってすごいなって感じてる ボブ・ディランにはなれっこないけど 風に吹かれながら、歩いていく

        • やきにく

          今朝の電車はすし詰めで、行先は灰色の世界 子どもたちがそこへ向かっていく 成人式には、きっと空飛ぶ車もあるだろう、 だから白旗を挙げないサイボーグにしておくれよ 歴史が三十万年たっても、ブラウン管の向う側で、 未だに、ヒトが打ち合ってる 血で血を洗うしか無いと、座っている奴らがいる 大人を代弁する者は教えてくれなかったのか 思いやることと、嫌がらせの境がぼかしていると おれは机の上で溺れそうだ だれか眠らない薬をくれないか 明日が怖くて仕方ない ほんの一滴、この乾いた喉

          扇風機

          仕方ない、って嫌いな言葉だ がんばれと同じくらい嫌いな言葉だ これらの言葉をつかう奴らみんな嫌いだ それなのに、嫌いな言葉を使う自分も嫌いだ 逃げたら終わりって、嫌いな言葉だ 逃げたら何もないみたいな言い方だ 続けないと意味がないって、君がいうのか やめれなくなったものたちが、 この社会を沈殿させていることを皮肉垂れているのに けど知っている、逃げた先には、大抵は荒野だって いつしか荒野ではいきてはいけなくなったからだって それでも逃げたっていいじゃないか 楽しむことが一番

          コーヒー

          何が一番嬉しいか、何が一番幸せか 高速道路に乗せられて、感情はどこかに過ぎ去ってた 友達と遊ぶこと、お金を貯めること、使うこと、 趣味と呼べるものは色々やってはいるけど、どこか物足りなさでいっぱいだ。 iPad miniに買い換えれば、嬉しいのか。 転職すれば嬉しいのか、疑念だけが頭の中を駆け巡る。 別に誰かの前でギターを演奏したいわけではないけど、 音楽を楽しむことは悪くはない。 自分の指から音色が、限りなく絶対的回答のない美が、 溢れることに快感があるように思われる。

          コーヒー

          見つけたい

          空は晴れてるのに、心の中は曇り 今にも雨が降り出しそうだから 僕は映画館に駆け込んで 最新のコメディ映画をみて笑うんだ 独り言みたいで独り言のような 独り言をいうあのおじさんを いつかは思い出しては、 理解するんだ。 素晴らしい明日が待ってる

          見つけたい

          25歳

          窓から指す月の光が天井を照らす。その奇妙な薄白い何の変哲もない壁が、僕を飲みこもうとしている。 どくん、どくん、心臓が不規則なリズムで血液を送る。「お前は、これでいいのか?」目の奥で声が聞こえる。僕は抗うように顔をこすり、体を起こした。 東京の北にある街のアパートの一角に住んでいる。家賃は五万円。比較的首都圏にしては安いし、引っ越しの際に持ってきたベッドをおいたため、生活スペースの半分を損なったとしても、文句が言えるような収入は無かった。 蛇口を捻り、流れ落ちる水を両手ですく

          とりきも

          読書が習慣になる以前に、活字にふれようと自ら手に取ったのはそうとう年を重ねてからのことだった。 活字の世界が国語の教科書のそれとは違い、夢と希望という言葉では言い合わらせないほどの一生に実体験できない世界と感覚を見せてくれた。 しかし、不幸なことか。私は1日に活字を300字以上読むと眠りについてしまう。100文字程度なら支障はないのだが、200文字を読み終えたあたりから、次第に視界が二重にぼやける。ちょうど乱視の症状と同じだそうだ。まだこの段階でも文字を追って、文章を捉えるこ

          とりきも

          特に意味はありません#2

          サーチライトが曇天を照らしているが、その先端には決して目には入れてはならないものばかりだ。輝かしい光は点滅を繰り返して、銀河鉄道は大気圏を貫いて行った。私の口から出た吐息が白く、白く、霧のように。 夢も理想も希望も真心も懐かしさも全てが顔に、霧がかかってゆく。 まだ、まだだ!待ってくれ!そう叫ぶ私の声はもう出ない。 あの落ちてゆく日の中へ列車は吸い込まれていく。 わたしには帰るべき場所があるのか? あの人との別れ、やがて進むべき場所があるのか? 終わりゆく一つの針がふたつ、明

          特に意味はありません#2

          特に意味はありません

          転校したある放課後、6年生の集団に校舎の裏庭に連れて行かれました。 三つ年上の大柄の男は、大将と呼ばれていたそうです。 抗おうとする意志は思いのほか私の理性を止めることはありませんでした。 世の中の流れに従順になることは人間として生まれた時から植え付けられているようです。試しにと足に力を入れてみても1秒も持たず、重力から体重を支えきれずに一歩ずつ前に進むのでした。 醜く腫れた顔や、ボロボロになったランドセルを見かけては、気にかけて声をかけてくれる大人たちもいましたが戦争の傷跡

          特に意味はありません

          ものまね

          なにかを調べることが得意になった 餌をもとめてこちらを見つめる鳩さん 右に左にくねくね進む蟻たちの行方 対象はなんだっていい 指の熱で世界に繋がる 15歳の私には知らないことはもうないんだ なにかを調べることが得意になった どんな難しいゲームだって クラスの中で一番にクリアできるよ 先生にだって負けはしない 鍵をとり忘れて 同じ道を戻ったりはしないさ なにかを調べることが得意になった いずれ知識は満たされるだろう 他人の心も文章にできるよ 私の感想文は村上春樹さんそのもの

          ものまね

          やはり何かがおかしい

          201X年10月17日 今日の彼の靴紐がおかしい。 ただおかしいのではない、結び目の輪っかよりも2倍ほど紐先が長い。 どうして長いのかわからないが、その長さは尋常ではなかった。あまりにも長過ぎて聞くのが恐ろしいくらいだった。それ以外に変わった様子はないのがまた奇妙でもあった。久しぶりの再会を喜んでいるわたしは、街をデートしている途中から気がきでならなくなった。 それでもわたしは、うちにある彼に対して向けられていた好意と刻まれた鋭利で尖ったナイフのようなものの向きが変わったこ

          やはり何かがおかしい

          オイディプス王

          出典  岩波文庫  著者 ソポクレス  訳者 藤沢令夫 あらすじ  舞台は厄災に見舞われているテバイの都。 この厄災から都を救うには先王ライオスの殺害者を突き止めるということ 現、王であるオイディプスはこの謎を突き止めるべく、動き、 王宮はゆっくり謎につつまれたベールが剥がれていく。 言葉  わしは自分の母親と交わり、また父親の血をこの手によって、流さなければならぬ運命にある。

          オイディプス王

          とある心にある物語 第三幕

          「どうも、私は舞台俳優をしておりまして」その男はお酒を持ってとある家族の向かいに席を寄せた。常連だった彼は母と娘二人という組み合わせは珍しかった。「よければお芝居の参考にお話を聞いてもよろしいですか」「いいですよ。舞台俳優なんて出会う機会も滅多には無いですし」娘の方は気が強く、母の方はも物静かな印象があった。「おじさんとは大違いです」娘は笑いながら言った。「おじさん?」「旦那のことです。今日から持病で入院しているので密かにお酒を飲みに来ているのです」母も微笑して言う。「それは

          とある心にある物語 第三幕

          心に溢れるショートストーリー劇場   第二幕

          「遂に完成した」老人は大いに喜び叫んだ。 どうしたんですか博士、と白衣を着た青年が慌てて振り返った。 レバーを下ろす。部屋中が物音を立て、埃が雨のように降った。「これでどんな時代も自由だ」各種パネルが点灯した。まずはどこへ行きますかと青年は博士の指示に従って水をタンクに補充する。複数の真空管の数字座標を調節した。 「そうだな、この宝くじが売られる、ちょうど三日前だ」眩い光が包む。博士は三日前の朝に飛び、舞い戻った。時間跳躍に成功した。  だが当選番号は一桁ずつずれていた。

          心に溢れるショートストーリー劇場   第二幕