特に意味はありません

転校したある放課後、6年生の集団に校舎の裏庭に連れて行かれました。
三つ年上の大柄の男は、大将と呼ばれていたそうです。
抗おうとする意志は思いのほか私の理性を止めることはありませんでした。
世の中の流れに従順になることは人間として生まれた時から植え付けられているようです。試しにと足に力を入れてみても1秒も持たず、重力から体重を支えきれずに一歩ずつ前に進むのでした。
醜く腫れた顔や、ボロボロになったランドセルを見かけては、気にかけて声をかけてくれる大人たちもいましたが戦争の傷跡だと笑い飛ばすだけでした。
校舎の木漏れ日が目にちくちくと刺している。ここは現実なのだとため息をもらしました。爽やかな風の中にいくら捨てても口の中には土の味だけが残り続けている。

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