見出し画像

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その12:相関詐欺師

※登場する株式会社は全て架空の会社です。

相関詐欺師の手口 その1

相関詐欺師 A氏「株の保有期間と株の収益は、反比例します。数字で証明しましょう。統計の専門用語で恐縮ですが、この2つの変数間の相関係数は-0.91で、非常に強い負の相関関係があるという結果になっています。」
素直な人「そうなんですね。じゃあ売り買いは頻繁にやった方がいいんですね。」
A氏「理解がはやいですね。その通りです。

A氏のこの主張のベースになっているデータは以下になります。

株の保有期間と株の収益の関係 ※1つのデータが1つの企業を表す

A氏も実はきちんとしていて、この3社は意図的ではなく、上場企業の中からランダムに選んだものです。そして、相関係数は、確かに-0.91になります。

でも何かおかしいですよね。何がおかしいか分かりますでしょうか?

そうですね。数が少なすぎることです。

究極的な話をすると、世の中にあるどんな変数の組み合わせでも、確実に相関係数を1もしくは、-1にする方法があるんです。

それは組み合わせの数を2つにすること。2つの場合、この2つをつなぐと必ず直線になるので、相関係数が1もしくは-1になります。

それではどうしたらいいでしょうか?

ここで出てくるのが、無相関検定。
相関の数字に意味があるかないかを検定するものです。ここでは計算のやり方については割愛しますが、この無相関検定をして、相関の数字に意味があるという結果が出たら、その相関の数字は信じて大丈夫です。

先ほどのA氏のケースの実態は右のケースでした。だまされないように注意しましょう。

株の保有期間と株の収益の関係

相関詐欺師の手口 その2

相関詐欺師 B氏「過去のうちのファンドのリスクとリターンを分析しました。結果、リスクとリターンの間の相関係数は、-0.60と半比例の結果であることが判明しました。」
素直な人「無相関検定は大丈夫ですか?」
相関詐欺師 B氏「もちろんです。相関関係の有意性は確認済です。」
素直な人「その結果をみると、リスクが低いものはリターンが高いということですね。いわゆるローリスク、ハイリターンってやつですね。」
相関詐欺師 B氏「理解がはやいですね。その通りです。」

これはどういう手口でしょうか?

B氏の主張の論拠となるデータをみてみましょう。

リスクとリターンの関係

左上にスーパースターがいたんです。このスーパースターの影響で、全体の相関係数は確かに、-0.60になっています。ただ、スーパースター以外の一般軍団はリスクとリターンが半比例といって大丈夫でしょうか?

実際、スーパースターを除いた一般軍団のリスクとリターンの相関係数は、0.86と、非常に強い正の相関関係があります。

このようなケースは日常においてもよくみられます。年収の議論をするときに、たまたま創業社長年収10億円という人がいて、全体の統計値の議論がゆがんでしまうといったケースです。

こういう場合は、特殊な例は除いて考えるのが定石。ちゃんとグラフをみて、異常な値がないか、あった時にそれを除外して考えるべきか否か、それを考える癖をつけましょう。

相関詐欺師にだまされないように。そして、自分が相関詐欺師にならないように。

相関係数の理解が深まったところで、次回は、いよいよ高配当企業同士の相関係数を具体的にみていきます。

それでは、See you next time!

※次の記事に行きたい場合は ↓

※関係編の最初の記事に行きたい人はこちら ↓

※変動編から見たい人はこちら ↓


※「実直に働きながら経済的自立を実現する」の全体像はこちら

※綾小路英虎の自己紹介はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?