丹後ちりめんとは? ① 京都の北、丹後地方300年の絹織物。filtangoというブランドを始めたきっかけ。
丹後ちりめん、という300年の歴史のある着物の布があります。
場所は京都府北部、日本海沿いの丹後地方の伝統的な絹織物です。
多くの絹織物がここ丹後で織られ、京都の西陣などに送られて、
友禅作家さんなどにより華やかな柄の着物が出来上がってきました。
ここでご紹介する丹後ちりめんはこのような織の柄、生産量のほとんどが白い生地のまま出荷されています。
私たちはだいたい、友禅などの配色の柄が描かれた着物を目にしています。
豪華に見える着物、でもよく見るとその土台の凹凸のある織の柄がなんとも言えない優美な味や高級感を出しているのがわかります。
実は丹後ちりめんは、友禅などの配色の柄が無かったとしても、とても美しい絹織物。
絹で織られた布は花や古典柄、幾何柄など。
柄が浮き立って、そしてとても緻密で美しく、
眺めていると時間を忘れます。
filtangoを始めたきっかけは、
丹後の機屋さんで昔の絹織物の見本帳を目にしたことでした。
8年前、あるきっかけで知り合いに1軒の機屋さんに連れて行ってもらい、
この絹織物を見て驚きました。
そこには和風に限らず、昭和のレトロモダンの柄や
西洋風の柄など、思いがけずバリエーション豊かな柄があったのです。
その当時、私はニットデザイナーとして、ヨーロッパや日本、中国、
世界中の国の糸や布に囲まれて仕事をしていました。
でもこの丹後ちりめんのような布は、見たことがなかったのです。
ヨーロッパの美術館で、絹の布で作られた昔のドレスを見たことがあるので、
きっと過去には様々な種類の絹織物があったのでしょう。
でも最近は丹後ちりめんのような緻密な、そして立体的な凹凸がある絹織物を目にすることはありませんでした。
私はその機屋さんにいくつかの柄の布を織っていただくようにオーダーし、
その布をまず自分で染めてみました。
コーラルピンクの色に染め上がったときに、少なくても1時間はずっと布を眺めていたと思います。
美しくて、ずっと見ていて飽きなかったのです。
私は20代の頃、バックパッカーでアジアを旅をしていたことがあります。
中国やタイの少数民族の村で美しい布や刺繍に魅せられて、
いつかこれらの村の技術を生かした美しい布を日本に紹介できないかと思っていました。
そしたら自分が生まれ育ったところにこのような美しい絹織物と、
そして今でも絶えることのない高度な織の技術があったのです。
それがfiltangoの最初のきっかけです。
子供の頃、家を出て外を歩くと、どこからか自然と機音が聞こえてきました。
当時はそれを特別なこととは思っていなかったのですが、そのような環境で育ったことは、今となっては宝物のようです。
その後、日本人なら誰でも知っている羽衣天女伝説が、今の丹後ちりめんと結びついていることを知り、 また深く惹かれていくことになりました。
その羽衣天女のお話はまた後日に。。。
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