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ぼくが聖書を好きな理由

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キリスト教の礼拝でするお話の原稿はこちらにまとめています。そんなに「新しい」とは自負していませんが、「正統派」に疲れた方々に届けたい聖書のまた一味違った魅力を書いています。
大体月に4本です。 一本200円の記事をマガジン登録で500円でお読みいただける設定にしています。…
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#創世記

平和への歩み

平和への歩み

ヤコブが兄と父を欺き、権利を取得したかのようでした。しかし、「そこまでして」獲得したはずの特権がヤコブの人生を豊かにすることはありませんでした。そもそも、何かの権利を取得するのに、そんなことまでしなければならない、そこにこそ問題があるんじゃない?とは思わなかったのでしょうか。日本に住む人々の中で

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弱さからしか見えない景色

弱さからしか見えない景色

天幕の周りで過ごしていた弟ヤコブ、狩りが得意な兄エサウ、そして父イサク。今朝の聖書のお話には、三人の男、父、兄、弟役が登場します。
三人とも、どことなく

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字句通りに抗って

字句通りに抗って

多くの罪責が女に課せられてきた「歴史」に根ざさない聖書解釈は虚だと思います。最初に野の生き物のうちで、

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箱舟の中で〜最後の一週間〜

箱舟の中で〜最後の一週間〜

 壮絶な洪水の中、終わりなきトンネルのような舟旅に変化が訪れました。風が吹いた(1)のです。古代ユダヤの民が暮らした地域では、火や風が神の存在を表すのに用いられ

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フネの中の人

フネの中の人

歴史的記憶に基づいて

聖書に記載されている話は誰が書いたのか?といえば私は「書いたのは人間」と応える。それは正解ではないと思う人がいるのはいいけど、正解じゃないことを同時に悪と言い回っては蹴り飛ばすような輩がクリスチャンの中にはいる。それに遭遇すると心の中で「聖書読んでないのかしら」と思う。さらに、先週のメッセージではYouTubeに初めて低評価を一つ押された。別に高評価を押して欲しいとは思って

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往生際が悪い神〜命乞いのキリスト教

往生際が悪い神〜命乞いのキリスト教

近頃気づくかされるようになったのは、洪水物語に不満満々になってしまう自分の中にはそもそも、神って正しく、優しく、そして人を殺しやしない、という幻想があったということ。
無条件に「神は『私にとって』良いもの」という刷り込みがどこかでなされたのか、いや私自身の聖書の読み方が

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妹も弟もいない時

妹も弟もいない時

物語は無造作に並べられているのではありません。命、エバと名付けられた女性が産んだ子どもたちが成長し、ささげものをめぐり最悪の結末を迎えました。兄弟を殺すということです。

殺された側はもちろんのこと、殺した側にとってもこんなに不幸なことはありません。何も良いことが残らなかったという衝撃の物語が、

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女たちに託されたこと〜創世記4章13−26節

女たちに託されたこと〜創世記4章13−26節

「主のみ名を呼び始めたのは、この時代のことである」と結ばれています。

話はつづく

カインとアベルの物語のその後、それが「この時代」です。カインが土地を離れてゆきました。殺しの報いとして、カインが舞台から退場させられたというのなら、誰でも納得が行きます。でも聖書の記述はそうはなっていません。地上をさまよい、さすらう者をこの物語はフォローしていきます。カインの次世代について細かく記されています。カ

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神が努力したりするのか?そうだ。

神が努力したりするのか?そうだ。

昨日、駒込平和教会を会場として開放し、駒込平和教会に連なる人々がいろいろなところから集まって、小さな夏祭りを開催することができました。門前にはオープンチャーチと書かれた幟旗がはためきました。下のクリーニング屋さんや、天然食品を扱うお店にも引けを取らない幟が立ちました。
道ゆく人が珍しそうにのぞいてお茶を飲んでくださったり、腰掛けておしゃべりした方もいます。ランチを召し上がってくださった方もいて、

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失われた面白い物語〜創世記3章より

失われた面白い物語〜創世記3章より

面白い物語の中に飛び込んでみましょう。
創世記3章が「堕罪物語」などとレッテルを貼られて早何年になるでしょうか?全くもってモッタイナイ。神に背いた話にしてしまったのは多分男たちだったな、と思うのです。だって女がやったんだと言い続けて主犯を免れていくのです。謙虚な人でも女がやったけど自分もそうだと、共犯を連れ込んでの自戒。ひどくなるとだから女はキリスト教の教師にはなれないとまでいくのですから。この物

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地下から湧き出る憂いの水

地下から湧き出る憂いの水

他者を愛するふりをして、自己愛にまみれて生きているのではないか。自分だけが守られるためのルールを他者に押し付けて生きているのではないか。美しいとみなしたものだけを独占しそれ以外を冷遇する不義で造られたように生きているのではないか。

私たちは一体何で造られたように生きているだろうか。

こんな問いが物語から聞こえてきませんか?聖書の箇所は創世記2章4節後半から17節です。
私たちとはこの物語を語り

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どろんこはどっちだ

どろんこはどっちだ

人の創造についての後半の記述は不穏な響きが広がります。
そもそも、このように聖書の冒頭を物語として読むことに抵抗がある方にはこの先をお勧めできないです。残念。でも、この物語はとっても面白いのですが。

ひとりの世界

アダムは「食べると必ず死んでしまう」その実がなる木を中心に

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膝を折る〜創世記を読もう Gen.1:26~27

膝を折る〜創世記を読もう Gen.1:26~27

聖書を貫くメッセージがあるとしたら何でしょうか。キリスト教のメッセージは何でしょうか。
今、失われてしまったのは「膝を折る神」について考えることだと思うのです。私たちは強い神ばかりを求め、求めさせているのではないでしょうか。

法そのものが差別的だったとしたら

イエスは、一部の限られた人々のみが大切にされ、生きることができる仕組みに直面しました。そして、それを指摘しました。それは律法を遵守すると

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カフェ・オレの世界

カフェ・オレの世界

 朝というのは一体何時ぐらいだと思いますか?
昨日電話をかけた時、それはちょうど夜の8時でした。
「こんにちは!」という明るい声に、心がふっと緩む感じになりました。外は真っ暗。私が同居している黒猫が横切りましたが黒猫の黒さが溶け込むような暗さでした。

常に同時にそれはある〜ひとりで綱引きはできない

でも声はとっても明るくて、ああ声を聞けてよかったなあって思うのです。「こんにちは」。

慌てて「

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