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佐藤けんいち編訳(2020)『ガンディー 強く生きる言葉』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

ガンディーの考え方がつかめる本

ガンディーは日本の教科書にも出てくるような人ではあるけれど、あまりその人となりを知る機会は少ないのではないだろうか。

わたしも出張でインドに行ったときに、予備日の空き時間で、現地のスタッフの案内でガンジーのお墓とされるところを参拝したことがある…

今回もKindle Unlimitedを利用して、このエッセンシャル版のシリーズを読んでみた。

私達のイメージも政治指導者としてですが、個人的には彼の倫理観というものが本書には少なからず記載されていて、そのことに興味をもった。

まずは間違いから学ぶということが書かれていて、人間というのはどんな人であろうとも間違いを起こすことはあるが、そこから学ぶことをしなければ、同じことを繰り返し成長することはないことを諌めているのだとわたしは理解した。

そして人間として踏まえる4つの原則を、尊敬、理解、受容、評価と解いている。どこか経営学で言うPDCAににているように思い、わたしはこれら4つが繰り返し繰り返し実施されてスパイラルを形成し高みのレベルに押し上げるのだろうと感じた。

かれはまた勝ち負けに拘らず和解を目指すと説いている。弁護士としての彼の役割は各々を引き裂くのではなく、ばらばらになった当事者たちを結びつけることという。なかなか深い洞察でもある。そして他人ではなく、まずは自分を批判せよと説く。やはり自分を律しないと他人に意見をすることすら失礼かと思う。世の中には他人を批判したり上から目線の人は多いけれど、その中には自分に甘すぎる人も少なくない。個人と同様に組織においても甘いところは多い。実際に自分や自分たちを律するというのは簡単では無いが、その重要性を真っ先に指摘している。

ガンディーの言葉は、最初の数ページの内容だけでも、そのものズバリを指摘しており、各々の短い文章にうなずきながら読んでしまう。

未来は、君が今日何をするかにかかっているという内容は、この本のなかで特に印象深かった。是非その短い文章を堪能してもらいたいものだ…

個人的には道徳と感情を無視した経済学は壊れるという内容と、経済学は倫理的でならないとする点は、どこかアダム・スミスの道徳感情論と相通じるものを感じさせられた。その意味ではガンディーは資本主義を未完のものと理解しているように感じられる。

あまり彼の書物を読んだことは無いが、その人となりを、このエッセンシャル版の短いセンテンスから引き出し、感じ取ることは出来ると思う。

また少しだけ知恵を学ぶことができたように感じた。

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