見出し画像

『芸術新潮』2019年6月号「特集 時を超えるクリムト」  池上英洋(1967- )ヤマザキマリ(1967.4.20- )「“未完の美 インフィニタ” こそレオナルドの真骨頂!?」  「中野京子が読み解く画家とモデル〈14〉ギュスターヴ・モローと《ピエタ》」

『芸術新潮』2019年6月号
新潮社 2019年5月25日発売
「特集 時を超えるクリムト」
p.10-91
2019年7月9-11日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RQ3TRB5
https://www.shinchosha.co.jp/geishin/backnumber/20190525/

「特集 時を超えるクリムト
●稲垣五郎が語るクリムトとベートーヴェン、そして僕

●SESSION 1
腕利き職人から“クリムト"へ

●SESSION 2
新たなる芸術をめぐる戦い

●SESSION 3
輝け! クリムト・レディーたち

●SESSION 3
絡み合う生と死、拮抗する色と闇

●ざっくりクリムト一気読み
1862~1896 新生ウィーンで大躍進!
1897~1905 ウィーン分離派を率いて
1906~1910 黄金様式の極みへ
1911~1918 道なかばの死

●コラム
自画像を描かなかった画家の意外な素顔
アップデートされるクリムト

●現地特別紀行 風景画でめぐるアッターゼー

●クリムトを見るなら! ベルヴェデーレ宮殿案内


●展覧会案内
クリムト展 ウィーンと日本 1900
4月23日~7月10日 東京都美術館
7月23日~10月14日 愛知・豊田市美術館」

A4サイズの『芸術新潮』ですから
写真もたっぷり眺めました。

1862-1896 新生ウィーンで大躍進!
時代の波に乗った学友トリオ
前田朋美「クリムトのアカデミスム3段活用」

1897-1905 ウィーン分離派を率いて
リーダーとして迎えた2度の転機
池田祐子「クリムトとその伴走者たち」
西川智之「ジャポニストとしてのクリムト」

1906-1910 黄金様式の極みへ
名声とスキャンダルのはざまで
古川真宏「美的革命をもたらしたクリムト・ファッション」

1911-1918 道なかばの死 世紀末の夢の終わり
千足伸行「黄金から色彩へ クリムトの変貌」

晩年の丸谷才一さん(1925.8.27-2012.10.13)
が好きだったという風景画
(『丸谷才一全集』全12巻
文藝春秋 2013.10-2014.9
外箱は全巻クリムト風景画)
の舞台を3日間取材した
「現地特別紀行 風景画でめぐるアッターゼー」
も楽しかったです。

「ウィーンの画家[クリムト]の絵が好きで、
しよつちゆう画集を見て楽しんでゐるのだが、
最近はとりわけ風景画がおもしろくてたまらない。
彼には五十五点の風景画があつて、
最後の二十年間に描いた絵画作品の
約四十パーセントを占めるのださうだが、
女を描いたときよりも
景色を題材にしたときのほうが
ずつと上なやうな気がする。
瀟洒だし、品格が高いし、
観念的なものと官能的なものとの
結びつきがじつにうまく行つてゐて、
新奇でありながらしかも正統的で、
モーツァルトからマーラーに至る
ウィーンの音楽の最高のものと
並ぶほどの気配なのだ。」
丸谷才一「クリムト論」
『芸術新潮』2013年4月号
『別れの挨拶』集英社 2013.10
p.45-54
https://www.amazon.co.jp/dp/4087455602
https://www.amazon.co.jp/dp/4087715272

https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/541087975965846

昨日読み終わった本。丸谷才一『別れの挨拶』 http://bit.ly/1eaO1Gn #bookmeter 集英社...

Posted by Tetsujiro Yamamoto on Sunday, November 17, 2013

「エミーリエ・フレーゲと結婚せずに、
常にアトリエにたむろさせていた複数のモデルとの間に
14人も子どもを設けていた … 
モデルたちの経済的な面倒はまめに見ていたという。
気前がよく鷹揚な性格ではあったようだ。

アトリエには10匹ほどの猫がいて、
山と積まれたデッサンを散らかしたり
破いたりしてもお構いなし。」
p.66「自画像を描かなかった画家の意外な素顔」

「第2特集 楽都今昔ものがたり
西村由紀江が誘(いざな)う世紀末ウィーン」
p.92-102
にもクリムトが登場してます。

「[マーラーの妻]アルマの最初の "神様"
アルマ・マーラー=ヴェルフェル[1879-1964]17歳、
クリムト[1862-1918]35歳。

この僧衣を着た女たらしとの恋を快く思わなかった母は、
冷却期間を置くために、イタリアへ家族旅行に出かけるが、
なんとクリムトは追いかけて来て、一家に付きまとう。
神々[芸術家]との交友を奨めた父親もこれには吃驚、
ついにクリムトにアルマとの交際を諦めることを迫る。
惑乱したクリムトは、
「アルマは男の求めるもの、すべてを持っている。
しかも溢れんばかりに」
と書き残している。」p.101



池上英洋(1967- )
ヤマザキマリ(1967.4.20- )
「レオナルド没後500年記念 特別放談
前編 “未完の美 インフィニタ” こそレオナルドの真骨頂!?」
p.160-163
1967年生まれなお二人の対談前篇です。

池上英洋さんは、先月読んだ
『レオナルド・ダ・ヴィンチを旅する 没後500年
 別冊太陽 日本のこころ 273』
平凡社 2019.5 A4判 152ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4582922732
https://www.heibonsha.co.jp/book/b439464.html

の監修者。

昨日読んだ本。 池上英洋...

Posted by 山本 鉄二郎 on Wednesday, June 19, 2019

「マリ 当時は工房制作が当たり前でした。
アシスタントを稼働させて、
大御所は主なところにだけ手を入れる。
でも、名前が出るのはその人だけ。

池上 「レオナルドと工房」とか
「レオナルド派」の作だというと、
がっかりする人が多いですが、
僕は当時の作品を
1人の作家に無理に帰属させるのは
ナンセンスだと思っているんです。

ラファエッロの画中の動植物や楽器は、
ジョヴァンニ・ダ・ウーディネという弟子が描いていた。
つまり、得意分野を持った専門家たちが
力を合わせた総合作品と言ってもよい。

当時の画家の工房は、
現代のマンガ工房に似ているということを
もっと知って欲しい。

そんななか、最初から最後まで1人で描くことを始めたのが、
レオナルドだったんじゃないか。
パトロンがいてこそ作品が生まれた時代に、
自分の趣味的なことを描くというのは、
非常に近代的・現代的作業です。

マリ 雇い主の言うことを聞かないレオナルド。

池上 うるさ型のパトロンの代表格、
イザベッラ・デステ(マントヴァ侯妃)は、
レオナルドに描いてもらった素晴らしい肖像スケッチを
いたく気に入って、彩色画を何度も催促するんですが、
レオナルドは完全に無視。一宿一飯の恩もありながら(笑)。」
p.163

https://note.com/fe1955/n/na2f5c783d59b
ヤマザキマリ(1967.4.20- )
『リ・アルティジャーニ ルネサンス画家職人伝(とんぼの本)』
新潮社 2022年6月刊
2022年8月21日読了



「中野京子が読み解く画家とモデル
〈14〉ギュスターヴ・モローと《ピエタ》」
p.152-155

『怖い絵』シリーズ(2007-2017)、
『名画の謎』シリーズ(2011-2015)他の著者、
中野京子さん(生年不詳)の文章を読むのは初めてです。
お名前は十年ぐらい前から見かけていたんですけどねぇ。

福岡市総合図書館を検索すると、
1990年代に発表された翻訳13冊を含む
96冊が表示されます。

中野京子の「花つむひとの部屋」
本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。
https://blog.goo.ne.jp/hanatumi2006
2019年7月2日 
「フランケンシュタイン」を書いた「メアリの総て」
も読んでみました。


「世紀末象徴主義の代表とされる
ギュスターヴ・モロー(1826-1898)
モローは半ば隠者然とした内気なマザコンの部分と、
学校で教鞭をとって後進を育てた外向的な部分、
さらに男性優位社会を当然のこととして
愛人を囲う身勝手な部分、
それら全てを内包して私生活を営んでいた。

その私生活に二人の女性が寄り添った。
どちらも世話好きで、甘やかしてくれる相手。

核となったのは母ポーリーヌ。
音楽愛好家で、息子の創作の相談に乗り、
何より息子のためだけに生き、
死ぬまで息子を手元に置いた幸せな女性
[父病没後、35歳から20年以上二人暮らし]。

その母の死に直面して打ちのめされたモローを、
少しづつ癒してくれたのが長年の愛人
アレクサンドリーヌ・デュルー
[33歳頃知り合った9歳年下]。
彼女の献身と愛は母性に似ていながら、
今の世では
――オイディプス神話ならいざ知らず――
決して実母が与え得ないものも含んでいた。」
p.154

読書メーター
ヤマザキマリの本棚(登録冊数76冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091917

中野京子の本棚(登録冊数11冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11442729

グスタフ・クリムトの本棚(登録冊数9冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11333645


「リ・アルティジャーニ ルネッサンス画家職人伝
1 ボッティチェリ」
https://note.com/fe1955/n/ne06f1171f6af

2 レオナルド・ダ・ヴィンチ」
https://note.com/fe1955/n/naf2bc232f028

3 ボッティチェリ、リッピ工房に弟子入り 1」
https://note.com/fe1955/n/n9b965f3bc857

4 ボッティチェリ、リッピ工房に弟子入り 2」
https://note.com/fe1955/n/nccf2dd3d6861

5 ボッティチェリ、リッピ工房に弟子入り 3」
https://note.com/fe1955/n/n885fa0405c46

6 マエストロ・リッピの修行時代 1」
https://note.com/fe1955/n/ne1c020833cb0

7 マエストロ・リッピの修行時代 2」
https://note.com/fe1955/n/ndee1a5d90053

8 フィレンツェへの里帰り 1」
https://note.com/fe1955/n/n46e9bc853c0b

9 フィレンツェへの里帰り 2」
https://note.com/fe1955/n/n4aed9121ca79

10 フィレンツェへの里帰り 3」
https://note.com/fe1955/n/n9a4b434d38cc

11 フィレンツェへの里帰り 4」
https://note.com/fe1955/n/nb5b3fc56718e

12 スクロヴェーニ礼拝堂の追想」
https://note.com/fe1955/n/n3cdd4fe1e801

13 ナポリ、1450年 舞台は南へ!」
https://note.com/fe1955/n/nd8f7c038994f

14 アントネッロ・ダ・メッシーナの修行時代」
https://note.com/fe1955/n/nfb0e8238a1ee

15 北方絵画に魅せられて……」
https://note.com/fe1955/n/n78119a43aa63

16 北からの来客」
https://note.com/fe1955/n/n024b45de9012

17 アントネッロ、油彩に目覚める」
https://note.com/fe1955/n/nbd84473004fd

18 ベッリーニの秘かなる決意」
https://note.com/fe1955/n/ne0e6e04a9227

19 ベッリーニは苦悩する」
https://note.com/fe1955/n/na9a07b7a05d0

20 南と北の才能が出会う時」
https://note.com/fe1955/n/n2d01746e43c1

21 アントネッロ、ベッリーニに油彩技法を伝授する」
https://note.com/fe1955/n/n417acb2a4b6f

22 それぞれの理想」
https://note.com/fe1955/n/n323243a35fb9

23 百花繚乱のヴェネツィア」
https://note.com/fe1955/n/n7cf2f55a9171

24 ヴェネツィア派の隆盛」
https://note.com/fe1955/n/n0215431eea4b

25 "あの絵" との出会い」
https://note.com/fe1955/n/n43ec1178d12a

26 油彩の革新者アントネッロ」
https://note.com/fe1955/n/n892a151f6a1d

27 レオナルドの懊悩」
https://note.com/fe1955/n/n909d1f872f13

28 フィリピーノが見たもの」
https://note.com/fe1955/n/nda31f18d6ad6

29 最終回 時は流れて」
https://note.com/fe1955/n/n97026cf0bc0f

ヤマザキマリ『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論(集英社新書)』
集英社 2015.12
https://note.com/fe1955/n/n34b263073b1e
https://www.amazon.co.jp/dp/408720815X


原田マハ(1962.7.14- )
ヤマザキマリ(1967.4.20- )
『妄想美術館(SB新書)』
SBクリエイティブ 2022.1
https://note.com/fe1955/n/n3ecf24ecd9dd
https://www.amazon.co.jp/dp/4815611602




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?