中野京子「クリムトと黄昏のハプスブルグ 第6章 カフェ文化」『オール讀物』2023年5月号
『オール讀物』2023年5月号
文藝春秋 2023年4月21日発売
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C15CYRTR
中野京子
「クリムトと黄昏のハプスブルグ
第6章 カフェ文化」
p.157-161
「イギリスの紅茶文化に対し、オーストリアはコーヒー文化だ。
前者はインド統治による副産物だが、
後者は対イスラム戦の置き土産で、時は1683年にまで遡る。
この年、オスマン・トルコによる第二次ウィーン包囲を
辛くも撃退したオーストリアは、敵の残留品の中に
見慣れぬ豆の袋を発見。それがコーヒー豆であった。
コーヒーというエキゾチックな飲み物は
ハプスブルク帝国の嗜好に合致した。
この帝国の最盛期には十二の民族と五つの宗教が
束ねられていたので、その中心地ウィーンの食文化も
多彩を極めたのは必然で、
人々は美味であれば宿敵の嗜好品でも貪欲に吸収した。」
p.157
「クリムトは社交界が苦手だったが、
カフェでは仲間たちと議論を重ね、
分離派の発展のための展覧会開催に力を入れている。
『ベートーヴェンフリーズ』が分離派会館を飾ったのも、
この楽聖を讃える総合芸術展[1901]の出品作として。
展示室の三方の壁を使ったクリムト作品は、
高さ約2メートル、全長約35メートル
…
世間は「猥褻だ」「ポルノだ」「醜悪だ」と騒いでいたが、
『ベートーヴェンフリーズ』は生き残った。」
p.161
Beethovenfries 『ベートーヴェンフリーズ』1901
部分「敵対する勢力」
【作品解説】
グスタフ・クリムト「ベートーヴェン・フリーズ」
https://www.artpedia.asia/beethovenfries/
「現在、分離派ビルディングの気温管理ができる
地下室で常設展示されている。」
Gustav Klimt (1862.7.14-1918.2.6)
https://en.wikipedia.org/wiki/Gustav_Klimt
https://ja.wikipedia.org/wiki/グスタフ・クリムト
中野京子 雑誌掲載記事
http://www.hatirobei.com/ブックガイド/作家から/中野京子/雑誌掲載記事
読書メーター
中野京子の本棚(登録冊数9冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11442729
グスタフ・クリムトの本棚(登録冊数7冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11333645
オール讀物の本棚(登録冊数14冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092057
https://note.com/fe1955/n/n8cc645712bcd
中野京子
「クリムトと黄昏のハプスブルグ
第5章 クリムト的エロス」
『オール讀物』2023年3・4月合併号
https://note.com/fe1955/n/nfb0e8238a1ee
『芸術新潮』2018年7月号
中野京子
「中野京子が読み解く画家とモデル
第4回 ピエロ・デラ・フランチェスカと《ウルビーノ公夫妻の肖像》」
ヤマザキマリ、とり・みき
「リ・アルティジャーニ ルネッサンス画家職人伝
14 アントネッロ・ダ・メッシーナの修行時代」
五味文彦
「後白河院と後鳥羽院 国王の美術」
https://note.com/fe1955/n/n78119a43aa63
『芸術新潮』2018年9月号
中野京子
「中野京子が読み解く画家とモデル
第6回 レンブラントと《バテシバ》」
ヤマザキマリ、とり・みき
「リ・アルティジャーニ ルネッサンス画家職人伝
15 北方絵画に魅せられて……」
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