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『芸術新潮』2019年5月号 ヤマザキマリ、とり・みき「リ・アルティジャーニ ルネッサンス画家職人伝 18 ベッリーニの秘かなる決意」 追悼 橋本治はなにを見たか。 大島弓子「橋本さんが我が家に!?」 山岸凉子「感性の鋭さと優しさと」 


『芸術新潮』2019年5月号 新潮社 2019年4月25日発売
https://www.amazon.co.jp/dp/B07QJ5W8Y9
https://www.shinchosha.co.jp/geishin/backnumber/20190425/

https://www.torimiki.com/l/リ・アルティジャーニ第18回/
「ヤマザキマリ+とり・みきの『リ・アルティジャーニ』は第18回。
今回から舞台はヴェネツィアに移り、ジョヴァンニ・ベッリーニが登場します。
フィレンツェやナポリ同様ヴェネツィアにも連載開始前に取材に行きました。作画参考用にたくさんの写真を撮りましたが、本作とはあまり関係なさそうなものを今日はご紹介(既にtwitterやinstagramには上げましたが)。」

ヤマザキマリ(1967.4.20- )
とり・みき(1958.2.23- )
「リ・アルティジャーニ ルネッサンス画家職人伝
18 ベッリーニの秘かなる決意
そして水の都ヴェネツィアでも、ルネッサンス文化が花開こうとしていた――。」p.10-13
2022年6月1日読了

Andrea Mantegna (1431-1506.9.13)
Giovanni Bellini (1430?-1516)

「アンドレア・マンテーニャ 硬質でストイックな画風で知られ、テンペラにこだわり続けた。パドヴァ近郊の生まれだが、マントヴァ公の宮殿画家となり、同地で没。」p.12

「ジョヴァンニ・ベッリーニ ヴェネツィア派の中核となったベッリーニ一族の代表格。油彩を採り入れ、豊かな色彩表現を拓いた。姉がマンテーニャと結婚。」p.13

「この街が世界で一番流行に敏感なのはわかっている だからといって 何でもかんでも流行ばかり意識すると ろくなことにはならんぞ!
そもそも私は油彩の図々しい主張性が好きではない!

図々しい… でも今や ここで取り引きされているのはヴェネツィア派以外の作品ばかりです ヴェネツィアの絵画文化はやはり遅れているのでは…

我が義弟 ジョヴァンニよ! ヴェネツィアは確かに世界一の商業都市だが 焦るな 芸術の魂を商売に売ってしまったら おしまいだぞ!
マントヴァにも たまには遊びにこいよー!

是非!
でも義兄よ 私はこの 光あふれる街を どうしても油彩で描いてみたいのだ…」p.10-13

今回も、会話とモノローグ1コマを全部書き写しました。
兄弟二人とも、若者ではありませんから、時代は1460年代以降なのでしょうか?

ヴェネツィアの街並みや人々を描いたコマのもとになった原画作品があるのかなぁ?
それとも現地写真+時代考証で描いた?

映画『ベニスに死す』1971
https://www.allcinema.net/cinema/20977
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
出演 ダーク・ボガード ビョルン・アンドレセン シルヴァーナ・マンガーノ

を1974年10月19日に池袋文芸坐で観ましたけど、風景も建築物も、まったく記憶に残っていません。

読書メーター ヤマザキマリの本棚(登録冊数73冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091917

とり・みきの本棚(登録冊数47冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11711791

マンガの本棚(登録冊数1701冊 作家名五十音順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091192

芸術新潮の本棚(登録冊数40冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092029


2019年6月8日に、以下も読んでました。

『芸術新潮』2019年5月号
「第2特集 「追悼 橋本治はなにを見たか
文 大島弓子 山岸凉子 馬渕明子 樋口一貴 矢内賢二」

大島弓子「橋本さんが我が家に!?」p.103
「いまだ 信じられずにおります。
今もどこかで元気に執筆をされていて 
ある日「長篇ができあがった」と 
発表があるのではないでしょうか。
そんな気がしてなりません。
橋本さんにはずいぶん前に 
『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』[北宋社 1979.4-6]のカバー画[前編・後篇の書影掲載]を依頼されました。
どんなふうにしようかと
さんざん考えた末 
自分の好きなように描いてしまいました。
シメキリになると 
なんと橋本さんご本人が 
受け取りにおいでになったのです。
女性の編集担当さんとごいっしょでした。
まがりなりにも粗茶をお出ししまして "ごっくん" とお飲みいただいて 
イラストを受け取っていただいてお帰りになりました。
今考えてみますと 
そのイラストは 
あまり御気に召さなかったのでは… と思いますが 
クレームもつけず お受け取り下さいました。
緊張の1日でした。
それが よき思い出となりました。」p.103

「橋本さんのセーターの型紙には、『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』で「史上稀に見る "美しい" 作品」と評した『綿の国星』の主人公チビ猫のデザインも遺されていた。78.8×54.6cm」p.103

読書メーター 大島弓子の本棚(登録冊数40冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091224

山岸凉子「感性の鋭さと優しさと」p.104-105
「私には橋本治さんを語る資格がありません。なぜなら彼の本を一冊も読んでいないのです。以前、私は橋本さんの本に限らず他人の作ったストーリーを読むのが恐くて(影響されそうで)、マンガ評論はさらに恐くて読めない(おのれの正体を知らされるのが嫌で)というありさまでした。

ですから最初に橋本さんにお会いする時もおそるおそる出向いたのです。そこにはいかにも文士といった風情のスラっとした方が立っていた。私はあわてて心の鎧を厚くしました。自意識過剰の私は、素敵な人の前では生身ではいられないのです。

その席でだと思うのですが、彼が「厩戸皇子」の指が気になるんだよね」と言ったのが印象的でした。自分でも指には思い入れがあって描いていたので "そこに気がつくんだ、美意識が高い" と嬉しかったのです。」

「ある時彼が「山岸さんも、もう講談社漫画賞を取ったのだから、ゆっくり好きなものだけ描けばいいじゃない」と言ってくれました。私がピリピリと仕事をしているのを察し、心配してくれたのでしょうが、それに気づくゆとりもありませんでした。」

「あるとき、「僕、厩戸皇子の絵のセーター編もうかな」とも言ってくれました。それがどれほどの労力を伴うかもろくに考えない私は「わあ! 編んで編んで」とおねだりまで。残念ながら実現しませんでしたが、私本当にそのセーター欲しかった……。」

「この文を書きながらやっと決心しました。私、橋本さんの本ちゃんと読もうかな……と。私が若い頃抱いていた恐怖心が、今はほぼ失くなっていることに気づいたからです。

彼の本を読んで、私は改めて橋本さんの感性の鋭さと優しさに出会いたいと思うのです。そして、きっとまた、おのれの未熟さに冷や汗をかくことになるでしょう。」

「橋本治事務所の書棚の一角。
『山岸凉子全集』『大島弓子選集』などが並ぶ。」

この写真には、
『萩尾望都作品集 第II期』17冊、
吉田秋生18冊、
『ガラスの仮面』38冊、
『うる星やつら』34冊、
『ハレンチ学園』7冊、
『あばしり一家』15冊
も映っています。

読書メーター 山岸凉子の本棚(登録冊数76冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091259

楽しくない話ばかりなのに、なんで私は山岸凉子の作品を手に取って読んでしまうことがあるんだろう?

橋本治の本棚(登録冊数37冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091217
彼の膨大な作品数からすれば、ほんの僅かですね。

橋本治(1948.3.25-2019.1.29)
大島弓子(1947.8.31- )
山岸凉子(1947.9.24- )

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