余韻
10年たった
20年たった
もう数えるのをやめよう
焦るのもやめよう
昨夜の月が
あまりにもきれいで
車の中で
月輪観
海の風が
夜半に冷たくなった
気温30℃を下回らない
日々のオアシス
風呂場でひとり
シャワーの水を
口をあけたまま
流し込んでいく
何もかもがいやで
ヤケクソな気分で
水を口に流し込む
口からあふれる水
あふれた水が
流れくだる
体を
排水口を
そして
知らないところへ
あのとき
たしかに
生きていた
あの曲の
行方のように
あの曲
あの歌手の曲は
多くの人々とともに
多くの人々の暮らしに
溶け込んでいた
何者にもなり得ず
何者にも見つけられない
かすかな暮らしの中で
あの曲は流れていた
流れ去ったあとの余韻を
排水口を見つめ
大海原を見つめ
月を見つめて
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