【パッチワーク書評】是本信義著『この言葉に歴史が動いた』モントゴメリー元帥の言葉

―第一線からの要求には、議論せずに応じよ

どこかで聞いたことがあるこの言葉。これこそ、読書人が悦楽する瞬間である。

情報に凄みがあれば、その知識は単体であっても、満足度は高い。しかしながら、その情報が繋がり、ネットワークが形成されはじめると、さらなる至福へと誘われる。

モントゴメリー元帥とは、このような人物。

1938年パレスチナ師団長となり、イギリスの支配力の立て直しを図り、’42年第8軍司令官として北アフリカ作戦の指揮をとり、ロンメル将軍率いる独伊軍をエル・アラメインの戦いで破り、連合軍反撃の道を開き、名声を博す。’44年ノルマンディー上陸作戦のイギリス軍総司令官として活躍し、元帥となる。日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」より

以前も引用させていただいた、是本信義さんの『この言葉に歴史が動いた』には、モントゴメリー元帥の言葉が記載されている。

「上下部隊の関係を成功させる根本的な解決策は、下級部隊のスタッフに全幅の信頼を置いて、 第一線から要求することを、議論なしに応じてやることである」

このnoteで瀬島龍三さんの話に触れた。どこかで聞いたことがあるとは、この言葉のことである。

「もし問題が起こったら、すぐ飛行機に乗って現地へ行きなさい。お金なんか気にしなくてもいい。それで会社から文句をいわれるなら、私にいいなさい」

瀬島龍三さんが大本営作戦参謀であったことは有名である。大本営はエリート集団であったと言われ、現場主義とは乖離した存在であったとの批判も見受けられる。

現場を知り勝ちを収めたモントゴメリー元帥と、敗れてこそ現場の大切さを知った瀬島龍三さん。

まだ、口の中にジャリっとした感触が残ったままではあるが、終戦記念日の前日ということに免じて、お許しをいただければと思う。

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