【詩】血。
血の通った人間である。
僕らの体のどこを切っても、血は出るんだ。
どこをどう切っても、それは僕の血なんだ。
植物状態でそこにいる優しさも
貝殻みたいに気まぐれな笑顔も
隠しきれずに噴き出した勇気も
全てはあなたで、血が、通っている。
瞬間を切り取って、あなたに名前をつけよう。
あなたは、「世界で一番、素敵な人」。
美化という歪みを加えられた光る主張
嘘みたいに綺麗で犯されたパッチワーク
乗り越えて、通り過ぎたニンゲンたち
何かを忘れたなまもの。
切り刻んでも血は流れない。
そこに、血は通っていない。
嘘ではない。
でも、そこに血は流れない。
血が出ると痛いから。
それを知って忘れる。
なまものは脚色し、脱色される。
恐れずに切り刻め。壊せ。
すると気づく。自信が産まれる。
どこまでいっても、人間なのである。
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