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超短編小説

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ショートショートを随時まとめています。※作品は全てフィクションです。
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2023年7月の記事一覧

【超短編小説】 恋花火

【超短編小説】 恋花火

山田のことが気になったのは、体育祭が終わった頃だった。

それまではただの同じクラスメイトで、たまに提出物を職員室に持って行くぐらいの仲だった。

山田には好きな人がいて、そいつの方が俺よりも十分お似合いな気がした。

でも、山田のことが好きだった。

「山田はさ、どんな人がタイプなんだよ」

一度だけ聞いたことがあった。

山田は「急にどうしたの。あんたには教えないから」と少しはにかみながら答え

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【超短編小説】 沙月さん その2

【超短編小説】 沙月さん その2

「斎藤君、手を止まってる」

振り向くと、沙月さんが横に立っていた。

「しっかりして。もうすぐ締め切り近いんだよ」

「沙月さん、聞いてくださいよー。それどころじゃないですよ。彼女が他の男と付き合ってたんですよ」

「ここ、座って良い?」

沙月さんが僕の隣の席に座った瞬間、ほのかに香水の匂いがした。

「どうしたら良いですか、俺」

「女の考えていることなんて、分からないからね。いっそのこと、

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【超短編小説】 三日月をなぞって

【超短編小説】 三日月をなぞって

「職場の人はみんな優しいよ。うん、大丈夫だって。じゃあ、もう切るね。おやすみ」

電話を切り終わると、携帯電話を持った腕を下ろした。

椅子にもたれながら、母親にさっき話した言葉を反芻する。

「みんな優しいよ。でもね、ただ、その優しさが時に苦しい」

ようやく決まった就職先での現状に母は喜んでくれていた。

心配をかけまいと気遣う自分が、本当に言いたかった思いを引っ込める。

仕事に満足していな

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【超短編小説】 沙月さん

【超短編小説】 沙月さん

「こんなところにいたんですか」

屋上に上ると、沙月さんはアイスコーヒーを飲んでいた。

「この時間、誰もいないからね」

「でも、意外でしたよ。安藤さんが転勤になるなんて」

「そうね、安藤君は確かに頑張ってた。まさか彼の名前が上がるとは思っても見なかったけどね」

「沙月さんはどうなんですか。それで良かったんですか?」

「何のこと?」

「噂になってましたよ、安藤さんと付き合っているんじゃ

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【超短編小説】 もしかすると、不運じゃないのかもしれない

【超短編小説】 もしかすると、不運じゃないのかもしれない

「それは不運じゃないよ」

少女は静かに言った。

「始まりの音だよ」

「始まりの音?」

「そう。聞こえるでしょ、この綺麗な音色が」

「僕には分からない」

「どうして?どうして分からないの?」

少女は透き通った瞳をして、僕の方を覗きこむ。

「あなたは不運と思っているだけ。もっと楽しそうな顔をしなさい」

少女の言葉は僕を不機嫌にさせた。

「君に言われたくない」

「いいえ、あなたは分

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