「運動」と「筋トレ」の違いを説明できますか?(2721文字)

とてもよく見かける誤解の話題だが、
「運動は健康にいい」
「筋トレはナルシストがムキムキになるためにやるキモい行為」
という偏見が、少なくとも日本人の間では根強く蔓延したままだ。

もちろん、その認識は完璧に間違っている。
じゃあどうして間違ったままなのかというと、
テレビも新聞も、正しい知識を客観的に共有しようとしていないからだ。
筋トレという単語に対して偏見を植え付け続けているのだ。

「マッチョはお馬鹿キャラ」という「キャラ付け」を筆頭に、
スポーツを科学的に分析し理解するという姿勢が、
日本では未だに浸透していない。
まあ、「昭和の根性論」といえば理解が早かろう。



現代スポーツは科学だ。インテリジェンスの結晶だ。
かつて栄華を誇った南米の個人技サッカーは、
欧州のデータサッカーとチームプレーに封殺されて久しいように。

もはやスポーツを科学と理性なしで楽しむというのは、
下手の横好き趣味界隈ですら、
ケガや事故のもとになるということで忌避され始めて10年以上経つのに、
日本では昭和の不勉強な老害が幅をきかせているせいで浸透しない。

・・・まあ、そのへんは語ると長くなるから、
ひとつだけ覚えておいてほしいのだ。

健康も、スポーツも、美容も、全ては科学だ。
正しく知るのが9割で、実践と忍耐は残り1割でいい。








ここで表題に戻るが、

「運動と筋トレの違いなんてない」

というのが正解だ。

・・・いかにも卑怯でありがちな手法をあえて用いたが、
実際そのとおりなので、簡単に説明をする。



そもそも「運動をする」ということは、
「骨と筋肉で重力に逆らい体を支えて動かす」
こと全般を指す。

それは生活、散歩、通学・通勤、デート、セックス、
入浴、睡眠(寝返り)、食事、車の運転、
生きることそのものであるといえる。

「ながらダイエット」もそうだが、
「体を動かすこと」は全て「運動」に含まれる。

寝たきり老人や身体障害者、ないし怪我人を思い浮かべてみれば、
彼らにとっては「動くこと」自体が辛いわけだが、
まさしくリハビリテーション程度の動きすら「運動」だ。

腕が上がらない人は腕を上げることを運動と呼び、
病み上がりで疲れてる人は入浴し体を洗うことも運動と呼び、
部屋の掃除中に意味もなく膝の屈伸をすることも運動と呼ぶ。

それらは全て骨と筋肉を使う行為である。

人体が骨と筋肉を使おうとする限り、
何気なく手を洗い歯を磨くあの動作から、
繊細な彫刻や絵画を生み出す精密な動作まで、
全ては「筋肉の使い方を小脳と神経に叩き込む行為」でもある。


だいぶ不正確ではあるが要するに、

「筋トレ」とは、
「動作に際して筋肉の使い方に意識を向けた運動」のことだ。

「運動」とは、
「筋肉を意識せず動作自体を優先した筋トレ」のことだ。


筋トレにも正しいフォームがあり、
それを守らないとケガの原因になるし効果も出ない。

運動にも正しい手順があり、
準備運動をしないとケガの原因になるし、
運動能力も正しく発揮されない。

それらは人体の構造、骨格と筋肉の生理的な特性に由来し、
「動く」ということは「脳と神経と筋肉を駆使する」ということであり、
「体」を「動かす」限り、
脳・神経・筋肉および骨の連携は必要不可欠なのだ。

というか、

 ど ち ら も 筋 肉 を 使 う 行 為 な の に 、

 明 確 な 区 別 が 存 在 す る と 、 

 な ぜ 思 っ て い る の か ? 



世の中はだいたい、
バカな奴ほど複雑に考えようとし、
賢いフリしたバカな奴ほど何でも単純化したがり、
賢い人ほど複雑に考えたがらないものだ。

そのへんは受験勉強や資格試験の話になるからさておき。



・・・いうまでもないことだが、
筋トレは女性や老人にこそ必要なことだ。

正しく言うと、
老い衰えて醜い容姿や寝たきり、痴呆などを防ぎたいなら、
若いうちから正しく知って取り組み続ける必要のあることだ。



「男よりも女のほうが力が弱い」という、
常識未満の話にケチをつけるキチガイフェミニストはおらんだろうが、
これはちょっとだけ不正確な認識だ。

正しくは、
男よりも女のほうが、筋肉がつきにくく、筋肉が落ちやすい。
だから女のほうが弱い。

言い方を変えると、
女は男よりも必死に筋トレをしないと、
トシを食うごとに、男よりも筋力がどんどん落ちていく。

オフィスワーカーであれば、
30歳の女は、
60歳の男と大差ないレベルまで体力が落ちる。

つまり、
60歳のジジイを見たときに感じる動作の「ジジ臭さ」が、
30歳の女にも宿っているということだ。



若いうちのほうがまだ動ける余力もあれば、
間違えた知識を訂正する労力も少なくて済む。

だから子供のうちに正しいことを覚えるべきであり、
若いうちから、今後半世紀の人生を見越しておくべきであり。



20世紀後半で急激に平均寿命が25年も延びたわけだが、
そんな急激な変化は、人類史においては空前にして絶後である。

ゆえに人類はまだ、
「老い」に対して正しい価値観を獲得できていない。

だから一昔前まで、
介護といえば何でもしてあげるのが常識だったが、
今では心を鬼にして何でも自力でやらせるのが常識になった。

少しでも筋肉と神経と脳を使わせないと衰えるだけだから。

少しでも生きること、生活すること、体を動かすことで、
脳や神経や筋肉に刺激を与えないと、
人体はどんどん弱くなり続けていくから。

運動=筋トレをしなければ、
人体はどんどん、必要のない能力を削り続けていく。

それが「老化」であり、
100年生きることさえ現実的になってきた現代において、
女が何よりも嫌う「おばさん化」の本質だ。



肌のシワは絶対にごまかせない。
ならせめて筋肉だけでも鍛えて保つことで、
若く健康的な「人間らしい輪郭」を維持する。

だからダイエットには筋トレが推奨される。

美しいボディラインを保ち、
仕草のオバサン化を防ぎ、
日常生活からセックスまでをより快適にするためには、
ただ動作を繰り返す=運動するだけではなく、
より効果的な動作を繰り返す=筋トレするほうが、
時間的にも、人生における最終的な投資効率も、
ずっと優れているからだ。




お前は余計なことを喋りすぎるから、
何が大事なことなのかわからなくなると、
まあよく言われるもんだが・・・

逆に質問するが、
この程度のことすらアタマに入っていないのに、
なぜ人様に対して説教できるんだ?

既にアタマに入っているであろう常識の話しか、
僕はしたつもりがないんだけどな。


知らないなら学べばいい。
学ばない人間には、老い衰えて醜くボケた未来が待っている。

僕はあなたを咎めない。
聞けば教える。
求めるなら手を貸す。

無知を誇るなら、容赦も躊躇もなく軽蔑し罵詈雑言を浴びせるが。



運動と筋トレの差はつまり、
オツムのデキがサルなのか人間なのかの差だよ。