怪社員
うちには優秀な社員さんが揃っているなあと、つくづく思う。
百目エンジニアの作業の速さ、ろくろ首ウェブデザイナーの視野の広さは言わずもがな。
赤字の時期には、妖狐財務部長がスーパービジネスマンに化けて、銀行からうまく融資を受けた。
子泣きジジイ営業部長の泣き声で、買収を逃れたこともある。
新幹線が止まっても、一反もめん企画部長は何食わぬ顔で大阪へ出張した。
給湯室での小火は、砂かけババア取締役が砂で消した。
川が氾濫した時はぬりかべ専務が水をせきとめ、河童マーケターが地域の人命を救助した。
知事から表彰され、企業価値はさらに高まった。
天狗社長も優秀な部下に囲まれて、鼻高々だろう。
「のっぺらぼう採用部長、面接です」
目も耳も鼻もない私だが、幸運にも採用は上手くいっている。
「広報志望のドラキュラです」
ついに外資系出身者から応募が来た。
どのような多様性を与えてくれるのか、ワクワクする。
面白いもの書きます!