仲よくじゃれあう応挙犬ポーチ|#江戸わんこシリーズ④
みなさま、こんにちは。フェリシモミュージアム部のアートナビゲーター、なりちゃんです。今日は、仙厓犬・芳中犬・芦雪犬に続く江戸わんこシリーズ、「江戸わんこが仲よくじゃれあう 応挙犬ポーチの会」についてご紹介します。
応挙のすごさ、そして応挙犬のかわいさとは
まずは作者について少し。応挙のすごいところは、「写生画」の概念で日本画観を変えたこと! 室町時代以降400年間ほどの日本画は、先人たちの技が詰まったマニュアルをなぞるように真似することで、代々変わらぬテイスト&クオリティの絵を描き続ける「粉本主義」が主流でした。梅ならこう、鷹ならばこう…とお手本を見ながら描く方法です。
これに対して、応挙は実物に向き合って写生をもとに絵を描きました。さらには観察眼を磨いて写生の技を応用し、時には龍や幽霊までも実物を見てきたかのように”リアル”に描き出し、当時の人々を驚かせました。西洋の透視画法や日本の伝統的な装飾手法を合体させて、新しいスタイルを生み出したのです。
そうして大センセーションを起こした応挙の作品の中でも、当時から「かわいい!」と人気なのが、犬を描いた「狗子図」。特にお寺の戸に描かれた『朝顔狗子図杉戸』は、現代も広く愛される名作です。犬をめでるやさしいまなざしは、江戸の昔も今も変わらないのだと思うと心が和みます。
本質を描き出すその観察眼と筆力は、かわいい絵にも存分に発揮されています。応挙がしたように、まずは観察から。私なりに、この絵の3匹に注目して、かわいいポイントを言語化してみました。
目は白目や瞳まで描かれているのに、たれ耳はさらりとした線でこなしています。パーツによって解像度を変え、足し算のリアリティと、引き算のデフォルメの絶妙なバランスで「応挙犬」を生みだしていることが分かります。
そんな「応挙犬」を見れば見るほどかわいさに心惹かれ、どうしてもグッズをつくりたくなってしまいました。それも、写生の名手とされた応挙の描いた犬だからこそ、絵から出てきたかのように仕上げたい…!
そんな思いで”かわいいポイント”を大切にしながら、3匹の「応挙犬」を立体再現。手もとでいつでもかわいがれるように、手乗りサイズのぬいぐるみポーチに仕立てました。
応挙犬たちを1匹ずつご紹介します
〈おすわり〉
横の2匹を見つめるまなざしがポイント。応挙が白目を描いたからこそ、この子が他の子を見つめる視線が生まれ、関係性や物語が生まれているのです。いきいきと描かれた子犬の秘密はこんなところにもひそんでいるのだ!と、作品を観察して気づいた発見でした。
〈ふりむき〉
なまえを呼びかけて「なあに」と振り返ってくれた瞬間のようなかわいさですが、このひねったポーズを再現するのがむずかしく、骨格をイメージしながらの造形が必要でした。
作中では、背中に体重をあずけてのしかかる仲間を受け入れ、やさしい目線を向けています。きっとおだやかな性格の子犬です。この子がお手もとに届いたら、あなただけのなまえをつけてあげてくださいね。
〈ふせ〉
作中では、からだの半分ほどしか描かれていない伏せポーズの子犬。作中で茶色い子に乗っかっているところをみると、末っ子のような甘えん坊の性格の子犬かもしれません。横顔しか描かれていないお顔は、そんなイメージを膨らませつつ、応挙の他作品を参照しながらつくりました。ぷりっと大きめなおしりがチャームポイントです。
いつでも一緒にいられる、ちいさなぬいぐるみポーチに
暮らしの中で身近にかわいがってもらえるよう、ミニポーチとして働くわんこになってもらいました。「イヤホンと印鑑」「リップと目薬」「あめちゃん2個」くらいが入ります。
今回取り上げた円山応挙と以前の企画に登場した長沢芦雪は、じつは師弟関係にあります。そんな応挙犬と、芦雪犬のサイズ感を比べるとこんな感じ。
応挙犬は手乗りサイズなので、気軽にバッグに入れて一緒にお出かけもできます♪
小さいながらも、手足の肉球までしっかりプリント。
さらに、応挙も追及したであろう「生き物としてのリアルな存在感」を高めることを目指して、おしりと前足にビーズを入れています。手に乗せると、やわらかな手ざわりとくったり手になじむ重みに、実際に子犬を抱き上げたときのような感覚を感じられます。
手のひらサイズのミニわんこは、1匹でもキュート。2匹並べるのもかわいらしいので、三種類そろうのをお待ちいただくまでの時間もお楽しみいただけます。
あえて自由に配置して、わんこたちを遊ばせてあげる楽しみも。まるで、作品から飛び出した子犬たちが駆けまわっているようです。あなただけのわんこを積み積みしてください。
でもやっぱり、3匹を集めて名画を再現したくなるかも? 3匹のお届け順はフェリシモにおまかせなので、まずはどの子犬がやってくるのか、わくわくお楽しみに♪ みなさまの暮らしの中に、アートな癒やしをお届けできたらうれしく思います。
【ご注意】お届けについて
【おまけ】応挙犬たちが生まれるまでの道のり
ご紹介はここでおしまいですが、おまけの商品企画裏話を少しだけお届けします。
1.2次元を3次元で再現するためには、立体感をつかめなくてはいけません。まずは、粘土で成形して3Dイメージをつかみます。
2.粘土をこねながら犬たちの重心や骨格をイメージできたら、コンセプトやかなえたいポイントなどを企画書にまとめて、1回目のサンプル作成へ。
ところが、できあがったファーストサンプルは、なんともいえない不思議な仕上がりになってしまいました……。
3.原因は、型紙だけではなく素材にもありそうです。試作に使った毛足の長いふわふわ生地では、応挙犬の絶妙な表情を再現できません。狗子図の作例ではふわふわの毛並みが印象的ですが、この作品ではめずらしく板に描かれていることもあり、比較的ソリッドな輪郭線。お顔の表現を優先して、もっちり生地を使用することにしました。
4.その後も、サンプル・本物の子犬・応挙の狗子図を見くらべながら「どこをどうすればかわいくなるかな?」と何度もサンプル試作、ミリ単位の修正をくりかえしました。
そして、ようやく完成!粘土をこねはじめてから最終仕様ができあがるまで、10ヵ月以上かかってしまいました。
こんなふうに生まれた応挙犬。ぜひお手もとにお迎えくださいね。
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