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レモンティー

レモンティー

喫茶『南風』でバイトすることになった。
高校生の頃にもバイトしたことがあるし、どこぞの南風と違い、小粋なことは言えなくてもいいらしい。

「次の勤務も来てくれる人。
明日も生きる程度の元気がある方。
挨拶はしてね。店主豆腐メンタルだから」

それだけ、書かれた張り紙で募集していた。
普通の人が見れば不安しかない張り紙。
以前の経験もあるし、僕はハードルの低い人間だ。いざとなれば逃げればいいか。話の

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チャーミーと父

チャーミーと父

チャーミーが両親にどんなことを言ったかは知らないが、チャーミーが我が家に迎えられることになった。
これもチャーミーのゴツゴウシューギなる魔法のせいだろうか。
後日、父に聞いたところ、「パピプペポ星から嫁探しに聞く途中、宇宙船が墜落したところ野呂亮に助けられたとか言ってたぞ」と言っていた。
何それ僕知らない。

我が家で過ごして数日。
見ての通り怪しさしかないチャーミーが毒にも薬にもならないことを知

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チャーミー

チャーミー

謎のおじさんと出会ってしまい一夏をおじさんと過ごすことになった僕。

記憶が飛んで、よく覚えていないのだけど「誰かと一夏を一緒に過ごさないとウサギさんだから寂しくてしんじゃうぞ☆病」とか「くるぶし痛いの痛いの倍返しで戻れ病」とか言ってて、動物愛護の精神が芽生えたからだったような気がする。

「そう言えば、名前聞いてなかったな。なんて名前なの?」

「野呂亮(のろすけ)。野呂 野呂亮」

「あ、その

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省略された経緯

省略された経緯

喫茶『南風』
この名前は使っても大丈夫なのだろうか?
商標登録されている訳でもないから大丈夫なのだろう。きっと。同じ名前の喫茶店はいっぱいあるし。
こじんまりしており、シンプルな内装は個性を感じさせないことが、どこか落ち着く不思議な店内だった。
この店内で、どこかの野球が好きな男の子2人と、その2人が優等生の可愛い女の子を取り合っちゃうみたいな出来事があったりするんだろうか?
胸キュンといっていい

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夕暮れのおじさん

夕暮れのおじさん

夕涼みがてら近所の河川沿いを散歩をしている時だった。
河は緩やかな流れをたたずませて、濃紺色の空を映し、底を見せない。
昼間の暑さの名残と、夜を迎えようとする中に心地よさを感じる。
そんな何気ない景色の中、唐突に非日常なものが歩道に落ちていた。

捨て猫のようにおじさんが落ちていた。
そのおじさんは段ボールの中に入っていた。
頭髪は両サイドは残っているが、頭頂に一本だけのせいか存在感が強い……波平

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街クジラ2

街クジラ2

街クジラ。
クジラの上に都市が広がる。
周りは海で囲まれる海上都市の様相だ。
時化もあるが都市そのものを
シャボン玉のような
ドームで囲む設計がされているため
住民に被害はない。
シャボン玉のドームは時化の時でも
その石鹸水の虹の鮮やかを内側に包括している。
都市を支えるクジラの巨大なら
時化程度はびくともしない。
凪の時にドームは払われる。
ただし、クジラは呼吸の時に潮を吹く。
街クジラも例外で

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世界を旅するノートの一部

世界を旅するノートの一部

タイトルと文中のカズヤはテキトーです。
これは……誰かにタイトル募集したかった。
朗読企画を知り、思い出コラージュというお題からぽわんと浮かんだのはトラベラーズノート。
自分だけじゃなくて、世界中の思い出がコラージュのようになったトラベラーズノートはどんな感じなんだろう?
と空想に委ねた作品。パッと思いつきを書いた割にそれなりになんとかなってるなーと思いましたが、どうですかね?
Twitterにだ

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残したノートのはじっこで。(3/3)

残したノートのはじっこで。(3/3)

僕がベンチに腰掛け待っていると、裕一が遅れてやってきて片手をあげる。
裕一に隣に座るよう促す仕草をする。
「珍しいね。浩平から呼ぶなんて」横に並び、顔を向き合わないまま話し始める裕一。
「ああ。裕一が書いていた小説の続きがどうしても気になってね。あれ、どう考えてる?」
「サッパリだよ。全部の種族がお互いの歴史を越えて、お互いを尊重しあい共存できるシステムなんて全く見当がつかない。綺麗ごとのように思

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残したノートのはじっこで。(2/3)

残したノートのはじっこで。(2/3)

それから僕ら2人の創作活動が始まった。……と言っても、書いているのは上野で。僕は感想や、ちょこちょこ疑問を挟む程度だが。
上野がB5のノートに設定をしたためてくる。僕がそれを赤鉛筆で感想や指摘を行っていくスタイル。あくまでも、設定や下書きとのことで、完成したものをネットにあげる予定らしい。
今時、ノートに鉛筆書きなんて……と思ったけど。
「気持ちが熱いうちに書きたいんだ。スマホやパソコンは便利だけ

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残したノートのはじっこで。 (1/3)

残したノートのはじっこで。 (1/3)

野田浩平著『残したノートのはじっこで。』お題//テキトーなタイトルを置いたら誰かが引用RTで内容を書いてくれる
お題//関口理恵著 『残したノートのはじっこで』
お題作者//あったらノベルズ様  内容製作者//松本福広

僕は子どもの頃から、王道のファンタジーものが好きだった。
悪事を働く魔王を倒すために勇者が冒険に出る。仲間と助け合って色んなピンチを切り抜ける。最後は皆で力をあわせて魔王を倒す。

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君のしたいことの終わりで待っていた。

君のしたいことの終わりで待っていた。

死にたかった。
自殺を願う人が口にする
「『死にたい』んじゃない、『消えたい』んだ。」
きっと、彼ら彼女らは忘れ去られたいのだろう。
この世界に何も残さず。涙の一滴に期待もせず。

私は死にたい。
殺人。自殺。死の行方を知りたい。
死刑になるため、無差別殺人の計画を立てる。
女、子ども。弱者しか狙わらないなんて言われたくない。本当に無差別に行う計画を。

無差別殺人を起こし、裁判を経て、死刑に至る

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喫茶ヘンタイ

喫茶ヘンタイ

休日の喫茶店巡りが好きだ。
今日は普段降りない駅の新規開拓にきた。
駅から徒歩20分。それなりの距離……喉が渇く距離にそこはあった。
外装は変哲もない街にある小さな昭和レトロ風な純喫茶っぽい。
店名がおかしいことを除けば。ヘンタイ?
私は首を傾げながら、私は店に入る。
私の目の前には大きなサナギのような着ぐるみがあった。緑のところどころ角張った部分はあるが、大きく菱形の緑色の大きなサナギらしきもの

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無風唄

無風唄

この地球上で、自然でも人工でも風のない場所。換気や空気の振動が行なわれず、温度が常に動かない場所。そして、生物などの外的環境に影響されない場所。
現実にはありえない想定。
悪ふざけで、それを仮想実験としてプログラム上で行う事となる。
循環なく澱み続ける空気。酸素が消えていくのか、空気がにごこっていくのか。
その答えは分からないまま、実験していく。
ある日、システムがエラーを起こす。エラーを調べたプ

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水仙の果て

水仙の果て

あったらノベルズさんの新しい試みになるんでしょうか。
『テキトーな一小節を置いたら誰かが引用RTで架空タイトルや内容を書き足してくれる』
前後の内容と、それに相応しいタイトル考える。
話の組み立てが苦手で、ネーミングセンスが欠けている自分にいまいち出来るか分からないお題ですが取り組んでみましょう。

で、出された一小節がこちら。

どことなく切なさを感じてしまう一小節。
これから前後とタイトルを考

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