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⭐︎BAKUHATSU⭐︎

⭐︎BAKUHATSU⭐︎

待ち合わせ時間ピッタリに洋は来た。
「待たせちゃった?」
「ん?大丈夫だよ。ピタリ賞だね。それより、大丈夫?顔色がちょっと悪い気がするけど?」
「あー……ただの寝不足だよー」
「そっかぁ。無理だったら言ってね?」
「うん。ありがとう。今日はどこ行くの?」
「ん。旅行のこと話しあったりしたい。後は欲しいものがあるから買い物に付き合って欲しいんだ」
「欲しいものって?」
「ペアリング。僕の誕生日、来月

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白山洋視点のお話

白山洋視点のお話

私が羊君を意識したのは、彼が手をたくさん手を繋ぐようになってきてからだ。
頼りない面はある。優柔不断で、甘えん坊だし。
それでも、まっすぐな行為を好ましく思っている人から送られるのには悪い気がしない。彼は私の嫌がることはしないし、他の男の子より穏やかな印象があった。そういうところが友人として好きだった。
彼が手を繋ぐのを求めるようになって、いわゆる異性としての行為を感じるようになった。それから彼を

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今更ですが、タイトルロゴ作りました。

今更ですが、タイトルロゴ作りました。

本編前に。
25日目とラストまであと6日を記念して
フリー素材でタイトルロゴを作りました。
作ろう作ろうと思っていたのですが「ゴツゴウシューギ。ラミパスラミパス。ドートデモナーレ。どーでもいいかー」が発動したから仕方ないと思います。
本当に便利だと思います。この設定。

1人も少女が出てきていない作品ですが、タイトル詐欺やってみたかったの。男のロマンなのです。ではでは、本編をば。

二礼二拍手する

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朝凪

朝凪

母は出ていき、父は亡くなった。
その話は既にしたと思います。
私は、その頃から憎悪と、日常に戻っていきたい……日常とは、一つの感情に縛られないことを指します。
身近な人と笑いあって、肩をたたきあったり。オシャレを楽しんだり、好きな人ができたり。嫌なことを誰かに吐き出してしまったり。それでも、同じようなことが続く平凡なありふれた……でも、そこの下に様々な感情があること。時に咲き乱れて、時にしぼんでし

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羊の思い出

羊の思い出

洋にそういう気持ちになったのは
子どもの頃、一緒にお化け屋敷に入ったのが
きっかけだった。

「うーん。怖いの苦手だなー。嫌だなー」子どもの頃の洋。
「大丈夫だよ。僕がいるもん」そう強がる僕。

そう言いながら、僕もお化けは苦手。それでも、入ろうとした理由は、
お互いの母親同士の談笑で夜中1人でトイレに行けない話を洋の前でされて恥ずかしかったからだ。
それで強がりたかったのでお化け屋敷に入ろうと誘

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お詫び

お詫び

2024年文披31題参加させていただいておりますが、本日はお休みの旨,連絡させていただきます。

『魔法少女ゴツゴウシューギ』の中にて天の声を担当させていただいている芽田育三(めた いくぞう)と申します。
本日、day22『雨女』は作者の都合によりお休みさせていただきます。
作者……正直、申し上げると、あまり頭が……ちょっとアレな方なので、
「雨女ってよく分かんないよね。その人の都合にたまたま天気

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フィールドワーク

フィールドワーク

野呂亮は夏季休暇中の集中講義を2つとっていた。
1つは喜田さんと羊くんの3人で受講するらしい。もう1つは1人で受講するとのこと。
興奮社会学とか訳が分からない名前の講義だった。
単位を取得するためにフィールドワークをレポートとして提出するらしい。フィールドワークのテーマは自分が興奮することなら何でも可……という、やっぱり訳が分からないテーマだった。
そんな自由研究じみた理由で野呂亮と街に来ているの

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鬼頭光司の独白

鬼頭光司の独白

子どもの頃から、ほとんどの勝負で勝ち続けてきた。
大学に入ると、上澄みばかりが集まるから、自分はそこで「天才」ではないことを知った。
それでも、日本を変える方法はいくらでもある。
手始め。ほんの手始め。実験的にリコピン教を作った。
軌道に乗れば、本命の宗教や、教育、ビジネスに手を出して、宗教、教育、経済の次は政界との流れを考えてはいた。

リコピン教は学生のお遊びで作ったものだけれども手応えを感じ

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リコピン教

リコピン教

リコピン教。教祖は鬼頭光司という人物らしい。その宗教活動内では別名で活動している。
布教活動の際に、団体名、その代表者の本当の
名前を伏せて行われることが多いため、鬼頭光司の名前は知られていない。
リコピン教の実態はカルト宗教のそれだったので、そのままを喜多さんに説明した。
宗教は抽象的な話になるけれど、救いや赦しに繋がれば意義があるとは思う。
しかし、その方法や目的が本来の宗教の在り方から外れた

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チャーミーの独白

チャーミーの独白

蚊取り線香を眺めるのが好きだ。
グルグルと火種が燃え、次第に小さくなり、そっと消える。自分の役割に重なるようで。

魔法は大きな力だ。
ゴツゴウシューギなんてふざけた名前だけど、自分に都合のいいように事象を曲げる……なんでもありな力。
そんな力を持って人間界に放たれる。
長い歴史の中で自分たちの力を利用して滅びた様しか見なかった。人は小さな欲や小さな正義感から段々増長していき、欲で滅びていく。

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野呂野呂亮の振り返り

野呂野呂亮の振り返り

一年365日を半分に割ると、7月上旬にあたるらしい。それはとうに超えているし。初めての大学生活も春学期という半年を終えてしまった。
長い長い夏休み。僕の予定といったら、バイトと集中講義くらいだと野呂亮がぼやいていた。
そんなこと言いながら、バイトにそんなに精を出さないのは
「僕、夏の間は吸血鬼みたいに陽に当たると死ぬんだ」と言って、週4程度にとどめているらしい。

「いや、正直、大学に入れば、彼女

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喜多明里の本心

喜多明里の本心

喫茶店『南風』
野呂亮君のバイトの日ではないことは確認している。私はチャーミーさんを待っている。

彼にチャーミーさんをお借りしたい旨をLINEで送っている。
「いいけど、なんで?」
「お願いしたいことがあるんだ。あんまり人に話しづらいことなんだけど……」
「分かったよ。伝えとく。チャーミーは暇だからいつでもいいと思うよ。喜多の都合だけ教えてくれる?」
「ありがとー」
特に深掘りされることないので

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喜田明里の過去

喜田明里の過去

※喜多明里の独白のみです。

とある岬に来ていた。
父の骨を撒いた場所だ
父は海と空が好きだった。
亡くなった時は自然葬で処理してほしい。
生前、父が書き留めていたエンディングノートを読み、父の意思にしたがった。
亡くなった父に報告したいことがあって岬に来た。
「魔法」はあるのだと。

父は明るく朗らかな人だった。
母が不倫して、離婚して、家を出て行ってから変わってしまった。仕事も辞め、毎日酒浸り

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さやかな

さやかな

アイドルになったサヤちゃんがテレビで見れる。
そうチャーミーが言っていた。
「おい。チャーミー。本当にサヤちゃんが出るんだろうな?」
あるバラエティ番組に出るらしい。アイドルユニットが1つの曲を出すまでの過程を追う……どこかで見たような番組だ。
「うん。ほんとほんと」チャーミーのやる気のなさそうな返事。
「そういえば、なんでサヤちゃんがそのアイドル番組に出るって知っていたんだ?」
「え?俺が魔法使

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