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鬼頭光司の独白

子どもの頃から、ほとんどの勝負で勝ち続けてきた。
大学に入ると、上澄みばかりが集まるから、自分はそこで「天才」ではないことを知った。
それでも、日本を変える方法はいくらでもある。
手始め。ほんの手始め。実験的にリコピン教を作った。
軌道に乗れば、本命の宗教や、教育、ビジネスに手を出して、宗教、教育、経済の次は政界との流れを考えてはいた。

リコピン教は学生のお遊びで作ったものだけれども手応えを感じていた。女も、金も十分に満ちていたはずだった。どこで歯車が狂ったのだろう?

司法の手は静かに静かに私に近づいていた。
私を逃さないよう確実に射止めるために。
私はリコピン教を言葉巧みに側近に譲り、逃亡している。

ドヤ街などあらゆる逃亡先を考慮したが
気づいた時にはタワーマンションの屋上に私はいた。
なぜ……ここに居るのかは自分でも分からなくなっていた。
逃げることより、楽な選択がある……そういうことだ。

見下ろすと、声が聞こえてきたような気がした。
「私の父と同じです。私の父もそうしました」と。
……私は……下を目指すことにした。

翌日、リコピン教は解散した。
残された信者が別団体を作る動きもあるため、
当局はそちらの動きも探っていく方針とのこと。

2024年 文披31題 day 摩天楼

後書き
どこから、どこまでが喜多さんの意図なのかは伏せます。
聞こえてきた声だけかもしれないし。
この結果かもしれない。
喜多さんの声は一部始終を見て、声をかけたにせよ、こうなる過程も全て願いによるものなのか?それは伏せます。
また鬼頭氏の結末も伏せます。そうしたのか?未遂で終わったのかも。

鬼頭光司→闇っぽい漢字と、光の漢字を使って、組織のトップのような名前にしたら、こうなりました。登場人物の中では普通の名前すぎて、出る作品を間違えた人になっています。

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