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概説/ 「エンパシー」について

ビジネスやコミュニティにおいて求められる 能力


エンパシーとは、共感という意味合いを持つ言葉で、自分以外の他者を理解するために必要とされている能力です。

エンパシーについて正しく理解できていない人やエンパシーを身につける方法を知りたいという人もいるでしょう。

そこで今回は、エンパシーとはどのようなものか、概要レベルで解説いたします。


〈目次〉
1.エンパシーとは?
(1)エンパシーとシンパシーとの違い
(2)エンパシーが求められる理由
2.エンパシーの種類
(1)エモーショナル・エンパシー
(2)コグニティブ・エンパシー
(3)コンパッショネイト・エンパシー
3.エンパシーが高い人の特徴
(1)好奇心が強い
(2)傾聴力がある
4.エンパシーを高める方法
(1)傾聴を意識する
(2)さまざまな人と会話をする
5.エンパシーを活かせる場面(例)
(1)営業活動
(2)マーケティング
(3)商品開発


1.エンパシーとは?

エンパシー(empathy)とは、自分とは異なる価値観に遭遇した際に、相手の考えていることや感じていることを想像する能力のことを指します。

自分の立場のまま相手の感情を想像したり、受動的に相手の感情を感じたりするのとは異なり、みずから相手の立場に立って能動的に相手の感情を感じ取ろうとすることです。

(1)エンパシーとシンパシーとの違い
エンパシーと混同しやすい言葉に、シンパシーがあります。シンパシーは思いやりや同情という意味合いを持つ言葉で、ニュアンスとしては「気の毒に思う」「哀れむ」というニュアンスが強いです。

状況を理解して共感し共鳴する気持ちから発生する感情であるため、「彼女にシンパシーを感じた」などと表現します。

・エンパシーは、自分とは異なる価値観を持つ相手に対して、他者の立場に立って心情を想像しようとすること。

・シンパシーは、相手を哀れに感じて言葉をかけたり、自分の立場のまま他人の気持ちに共感したりすることです。


(2)エンパシーが求められる理由

エンパシーが求められて理由として、ビジネスやコミュニティにおいては、さまざまな人とかかわり、関係性を構築する必要があるためです。

自分の価値観とは異なる価値観を持つ人と接することも少なくなく、エンパシーを駆使して相手とコミュニケーションを取り、相手の考え方を理解するために求められます。

エンパシーは社会人として必要とされる能力で、マネジメントシーンにおいてもエンパシーが高いほど部下との信頼関係を構築しやすいと言われています。

また、新型コロナウイルスの影響でテレワークが浸透し、出社しなくても仕事ができるようになりました。出社しないと、対面でのコミュニケーションが減り、人とのつながりが希薄になるケースが考えられます。

そこで、重要になるのがエンパシーです。エンパシーは相手の心情や考えを理解したり共感しようしたりする能力であり、相手に配慮して話せるようになります。

また、最近はダイバーシティという考えが浸透しつつあります。ダイバーシティを推進する上でもエンパシーは役立つことでしょう。


2.エンパシーの種類

エンパシーは大きくは3つの種類に分類されます。以降、それぞれについて、ご説明いたします。

(1)エモーショナル・エンパシー
エモーショナル・エンパシーとは、感情的共感といい、相手の価値観や感情に深く共感して示すことです。

たとえば、目標を達成できなかったメンバーの悔しい気持ちや悲しい気持ちを想像し、ねぎらいや励ましの声をかけるときに役立ちます。

声をかけられたメンバーは、自分のことを認めてくれている、自分の気持ちを理解してくれていると感じ、信頼感が増すでしょう。

信頼関係を深め、メンバーのモチベーションを高める効果があり、パフォーマンスにもよい影響が期待できます。

(2)コグニティブ・エンパシー
コグニティブ・エンパシーとは、認知的共感のことで、共感しにくい相手に対して使うエンパシーです。

本来自分の立場や価値観では共感しにくい相手に共感するために、より相手の立場や心情に立って想像する意味合いで使われます。

ビジネスやコミュニティにおいては、本来自分の考え方と合わない人物がいた場合も協力し合わなければならず、コグニティブエンパシーでコミュニケーションを深める必要があるでしょう。

(3)コンパッショネイト・エンパシー
コンパッショネイト・エンパシーは、相手の立場に立って想像して共感するだけでなく、そのうえで行動を起こすエンパシーです。

相手が感じているつらさや悲しみを解決して助けようとするなど、問題を解決することを意識します。

※その他に「ソマティック・エンパシー」という種類がありますが、今回の概説の対象から外します。


3.エンパシーが高い人の特徴

エンパシーが高い人には、一般的に次のような特徴があります。

(1)好奇心が強い
エンパシーが高い人は、好奇心が強く、色々なことに興味を持って理解しようとします。

人との会話でも、考え方が異なる相手に対しても、相手の立場に立って捉えられます。

意図的に努力して理解しようとするというより、自然と相手の立場を想像できるといえるでしょう。

(2)傾聴力がある
エンパシーが高い人は、傾聴力に長けています。傾聴力とは、相手の話に共感しながら耳を傾けられる能力です。

傾聴力がある人は、相手に信用されやすく、相手からより多くの事柄を話してもらえたり、気持ちや感情を打ち明けられるでしょう。


4.エンパシーを高める方法

エンパシーを高めるために有効な方法をご紹介します。

(1)傾聴を意識する
エンパシーを高めるためには、日頃から人とコミュニケーションを取る際に傾聴を意識して、相手の話に耳を傾けることが大切です。

傾聴する姿勢を続けると、相手の立場で想像したり理解したりする癖がつきやすくなるでしょう。

(2)さまざまな人と会話をする
エンパシーを高めるためには、多くの人やさまざまなタイプの人と接することも有効です。

人それぞれで考え方や価値観は異なるため、多数の人と会話したりコミュニケーションを取ったりすると、さまざまな価値観や感じ方を理解できるでしょう。


5.エンパシーを活かせる場面(例)

エンパシーをビジネスで活かせる場面(例)について、ご紹介します。

(1)営業活動
営業活動では、顧客とのコミュニケーションから、信頼関係を築くことが重要です。

サービスや商品の市場競争が激化している場合、質や内容に大きな差が出にくく、自社のサービスを選んでもらうことが難しいでしょう。

だからこそ、顧客が営業担当者を信頼できるように努めることが重要です。

日頃のコミュニケーションの中でエンパシーを発揮し「この人なら信じられる」「この人がおすすめするものなら間違いない」と思ってもらえる関係を構築することを意識するようにします。


(2)マーケティング
マーケティングにおいても、エンパシーを活かせるシーンが多くあります。

顧客の価値観や考えを踏まえて商品を開発し販売すると、自分に合った商品として感じてもらえるはずです。

マーケティングの調査や宣伝にも効果があるでしょう。


(3)商品開発
商品開発についても、営業活動と同様に、通常のサービスや品質だけでは選ばれにくくなっています。

そのため、顧客の要望に応じた商品やサービスがどのようなものか感じ取る必要があります。

商品開発では、このような思考を「デザイン思考」と呼び、新たな商品開発のやり方として取り入れる企業が増えています。

デザイン思考では、エンパシーを活かしながらユーザーの悩みや欲しいものを理解して共感することが大切といえるでしょう。


参照元: 「One人事」Webサイト

以上

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