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パニック発作を和らげよう〜②動けなくなる(硬直する)人

パニック発作を和らげる為に、身体の仕組みを理解しておこうというシリーズを、不定期で更新しております。
パニック時に、身体の震えや息切れ等の反応が起きるのは、脳が生き抜く為に一生懸命働いている証拠だ、と前回の記事『パニック発作を和らげよう〜①養生と防衛本能の自覚』に書きました。

今回は、強い恐怖や不安を感じる「絶体絶命の一大事」に直面した際に、動けなくなる(硬直する)人についてのお話です。


危険を察知した時、すぐに機転を利かせて行動出来る人と、硬直して何も出来なくなってしまう人がいます。
動けなくなる(硬直する)人は、過去のトラウマから、リラックスする時に優位になる「副交感神経系」が過剰に働きます。
前回も書きましたが、副交感神経系は、ヒトがストレスを可及的に回避しようとする時、リラックスする時に優位になります。

交感神経と副交感神経

その副交感神経系…細かく言えば、副交感神経側の「背側迷走神経系」が過剰に働けば、脳は強制的にシャットダウンされます。
この「背側迷走神経系」と言うのは、深海魚など古代生物の時代からある原始的な防衛本能で、命の危機に瀕した際に、全ての動きをゆっくりさせることで、あまり酸素を使わなくて済むようにして身を守るシステムのこと。
「凍りつき」とも呼ばれます。

ライオンやチーターに襲われた草食動物をイメージしてみてください。

サバンナにてヌーをハントしたライオン

彼等は、動かなくなった獲物に興味を失った肉食獣が去るまで、「凍りつき」の防衛本能を活用して相手を油断させ、その後肉食獣が目を離した隙に、一目散に身体を動かし逃げ出します。
絶体絶命状況の回避を本能的に行っているのです。

感情や痛みをあまり感じない
走馬灯のようにイメージが浮かぶ
遠くで何かが起きているように感じる
自分を別の所から眺めているような気分になる
…など、苦しみなく死ねる状況が、奇跡的に助かる可能性を持っている。
大きな事故や災害に遭ったことのある人は体感として、ヒーロー漫画が好きな方は視覚的にピンと来るかもしれませんね。

詳しいことは、全力でおすすめしたい、花丘ちぐささんの『その生きづらさ、発達性トラウマ?:ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント』にも書かれていますが、パニック障害の当事者にとって、非常に厄介で恐れでしかないこの身体反応は、考えようによっては、大自然が与えてくれた恵みでもあるのです。
ヒトは進化と共に、「神経」や「反応」も発達させているのです。

◆深海時代
あまり酸素を使わない、死んだフリ:副交感神経系の背側迷走神経系の発達

◆陸上、ジャングル時代
素早く逃げたり、戦って身を守る:交感神経系の発達

◆サバンナ時代(哺乳類出現)
仲間と協力、攻撃性を抑制・調整:副交感神経系の腹側迷走神経系の発達

さて、危険を察知した時、「すぐに機転を利かせて行動出来る人」と、「硬直して何も出来なくなってしまう人」がいると前述しました。
この両者の違いは、脳の成長過程にあると言われています。
次回は、腹側迷走神経系の進化と脳の発達についてお話します。


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