30日間の革命 #革命編 8日目
坂本の謝罪から始まったホームルーム。クラス内の空気は少しずつ変化を見せていた。
「私のせいで混乱を起こしたことは本当に申し訳ないと思ってる。だけど、だからと言ってこのままフェードアウトはしたくない。今はクラス委員という立場だけでみんなの前に立っているけど、みんなが納得したうえでこの文化祭を仕切っていきたいって思ってます。もう一回だけ、チャンスをください。よろしくお願いします」
坂本はそう言うと、深く頭を下げた。坂本が頭を下げているのを見て、
「俺も……。俺も同じ気持ちです。みんなに迷惑かけたと思ってる。本当に申し訳ない。できれば俺も、またこのクラスで楽しくやっていきたいって思ってます。俺にもまたチャンスをください」
と加賀も立ち上がり頭を下げた。
クラスメイトの誰もが、二人がこんなことをするとは思ってもいなかった。もちろん坂本と加賀は事前に打ち合わせをしてこのようなことをしたのではない。坂本は自分自身で考え、加賀は坂本の話を聞いて自分も謝るべきだと考えての行動だった。
二人が頭を下げていると、クラス内から自然に拍手が起こった。
「頭下げなくてもいいよ! 二人とも悪いことをしたわけじゃないんだし」
「てか、実際迷惑もかけられたわけじゃないしね」
「なんかあの選挙もドラマみたいで面白かったよ!」
「やっぱクラスを仕切るのは小春ちゃんじゃないとね」
などと言った声もあがった。クラスはあたたかい空気に包まれる。坂本と加賀はお互いに目を合わせて少し笑顔になった。
「本当にありがとう。今改めてこのクラスで良かったって思ってます。それじゃあ、文化祭については私が責任を持って進行していくね。それで、正直この文化祭って毎年あんまり盛り上がってないと思うんだけど、せっかくなら最後の文化祭を盛り上げたいって思ってます。だから、みんなも勉強とか大変だと思うけど、ぶっちぎりの優秀賞をこのクラスで受賞したいって考えてるけど、みんなはどうかな?」
坂本はクラスに投げかけた。すると、
「いいね! せっかくやるならまじでぶっちぎりにやっちゃおうよ!」
「何かやる気湧いてきた!」
など、クラス内から賛同の声が多数あがった。先ほどの件もあり、クラスの雰囲気は良い盛り上がりを見せ、文化祭という一つの目標に向かって団結していくようだった。
「みんなありがとう! ならこれから詳しいこと色々決めていこう! そして、最高の文化祭にしよう!」
坂本は再びクラスへそう投げかけると、歓声が起こった。それくらい、クラスの雰囲気が完全に元に戻っていた。
ホームルームが終わり、坂本が席に戻ると加賀は笑顔で話しかけた。
「さすが小春だな。まさかこんな手でクラスを盛り上げるなんて思わなかったよ。予想以上の盛り上がりだったね」
「私もこんなことになるとは元々想定していなかったよ。どうやったらみんなが文化祭に向けて本気になってくれるかって、色々と策は考えていたの。でも、みんなの前に立ったときに感じた空気で思ったの。『まずはちゃんと謝ろう』って。みんなもあの選挙のこととか、革命のこととか触れていいのか迷っているようだったから、まずは私がみんなに歩み寄らなきゃってね。また一つ勉強になったんだけど、人を変えようって思うなら、まずは自分が変わらなくちゃダメなんだよ。作戦とかテクニックじゃ人は動かない。本当にみんなには感謝してるわ。そして、本気でこの文化祭で革命を起こそうって、改めて決意が出来たわ」
そう話す坂本の表情は、いつもに増して自信とやる気が溢れているのを加賀は感じた。
▼30日間の革命 第一部
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