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【読書】本とどう向き合うか

世の中に溢れかえる本。活字へのアクセスが限定されていた近代以前に比べれば、現代社会はまるでユートピアのよう。でも、どの本を読んだら良いのか?読んでも忘れちゃうこともおおい。あくまで参考までに、私の本の向き合い方に関してまとめてみた。

記事概要

  • 人生の転機にちょうどタイミングよく「再会」できた読書という趣味。

  • 人生は限られている&本が溢れかえっているので、読む本をシステマチックに取捨選択

  • いざ読書するにあたっては5ルールを採用。目指すはジョン・ロックの言う本から得た知識を自分の物にすること。



本との再会

高校時代に佐藤健一の「傭兵ピエール」を読んで読書欲に目覚め、受験勉強&部活の合間に小説などを読みふけった記憶がある。その後国内大学に入り主に専攻分野の専門書や論文しか読まなくなってしまった。そのままドイツの大学院に修士留学し、その後社会人学生として博士研究に取り組む過程でも常に専門書を読み続けた。これを読書というのなら、私の読書歴は結構長くしかもかなりIntensive。

20代後半から30代後半にかけて、約10年費やした博士研究がようやく終了すると、当時国際公務員としてパリで忙しく働いていたこともあり、一気に本を読まなくなった。仕事前後の通勤電車内や帰宅後の余暇、週末は動画を見て過ごすようになる。仕事がStressful過ぎて動画を見る以外何かをしようと思う気力すらなかった。

転機が訪れたのが40代手前、ちょうどコロナ真っただ中の2020年。居心地の悪い国際公務員をやめ、在欧州の某大企業に転職(国際機関での激務に比べれば大したことない作業量)、コロナ禍でフルリモートということもあり、自分の時間がぐっと増え、内省することが増えた。動画ばっかり見ててもしょうがないし、今更仕事頑張る気はない。その時ちょうど生まれた子供の面倒はしっかりやるけど、それだけの人生ってつまらない。かといって、ガッツリスポーツやるってのも時間的にも無理そうだし、ゲームやっててもなぜか昔のように熱狂できずどこかむなしくなる。家でもできるアートとか小説執筆とかは才能がなさそう(一応試しては見ましたが。。。)。

お手軽で自分にもできる趣味を探していた時に再会したのが読書。醜い絵やくだらない小説を書いて自分に失望する事もなければ、週末家を空けてスポーツをし妻に迷惑をかけることもない。本はスマホでクリックすればすぐに入手可能。しかも道具とかそろえる必要もないので安上がり。ということで、読書に再度没頭しだして早数年、アマゾン配達の箱/袋から私がオーダーした本が出てくるたびに、妻が呆れ顔をするのが日常に。

そしてそんな乱読(?)を始めると、いかに私の以前の読書偏っていたかを痛感。なにか論文を書くために読書すると、どうしても読むものが偏る。研究から離れ、幅広く自由に読書をすることで、様々な分野の知識を得れる上、私の錆びついた脳みそや思考が活性化する気さえしてくる。

システマチックな本の選び方

高校時代は別として、大学院以降は広く言えば国際政治経済や政治科学、狭く言えば気候変動や環境政治の本ばかり読んでいた。今思い返すと、当時読書が苦痛になっていたと思う。読みたい本を読むよりも、読まなければいけない本を読む(でないと教授に博論受領してもらえない)感じになっていた。

ということで、同じ轍を踏まないよう、本を選定するうえで2つの出発点を設定。

  1. 自分の専門性に縛られず、あらゆる分野の本を積極的に選択する。

  2. 読む価値のある本を選ぶ。

1.は至極明快。それこそ、人生とは何ぞや的な哲学チックな本から、AIなどのテクノロジー関係、遺伝子関係、経済関係等多彩なテーマを扱った本が我が家にあるし、アマゾンの買い物かごにもストックされている。もちろん、自分の専門領域の本も読むが、あくまで大衆向けに書き下ろされた本に限定。本当の専門書は高いし、それこそ論文に至っては、どこかの研究機関に所属していないとアクセス不可(論文単位で購入可だがそこまでする必要はない)

2.については言うは易く行うは難し。一部の知識層にしかアクセスがなかった中世に比べ、今は本が簡単に手に入る。そういう意味では幸せな時代に生まれついたと思う。一方で、victime of it's own successというか、世の中には人の一生を費やしても読み切れない程、本が大量に溢れているので、取捨選択が必要。

無論、直感や感覚を信じてもいいのだろうが、私はもう少しシステマチックに本を選定したい。ということでたどり着いたのが一つの原則。

自分が死ぬまでに読みたい本を読む

これは、坂本龍一さんが亡くなる前のインタビューでも言っていて、すごく共感を覚えたのを今でも鮮明に覚えている。

本を読んでいたいですね。死ぬまでにこれだけは読んでおきたいというのはありますよね。これも読まないで死ぬのかおれ。情けないと…余計な本ばかりあって肝心な本がないので…

出典:TV番組 「山本晋也の人間一滴 坂本龍一独占インタビュー
坂本龍一さんが読書論に関して語る場面
坂本龍一さんのインタビュー(出典:同上)

ただ、原則はあってもそれをどうOperationaliseするかが問題。私はとりあえず、下記の基準を作って、それに照らし合わせて、自分の貴重な時間を費やす本を選定している。

  • 過去の名作:プラトンからヴィクトル・ユゴー等疑いの余地のない普遍の名作は迷わず読む。

  • 現代書かれた本に関しては、注意が必要なので、下記のサブ・ルールを設置:

    1. 原則アカデミアの人を選ぶ:その分野に人生を捧げ、その世界で認められ業績を上げてきた人が言うことは説得力がある

    2. コンサルやジャーナリスト、資本家には要注意:当たり外れがあるので、動画などでサクッと調べる。自分の感覚ではなく、ちゃんと統計などに基づいた記述をしている本はオーケー。

    3. 一つのテーマに対して、なるべく異なる主張をする本を公平に読む(例:経済学で言う新自由主義派とケインズ的政府介入派など)

    4. 人に薦められた本は、なるべく手にする。

    5. Internationalなベスト・セラーを選ぶ

このルールのどれかに該当する本はたいてい「アタリ」。該当しない本でも無論「アタリ」はあるが、このルールを採用することで「アタリ」を引く確率がぐっと上がる。

ということで、死ぬまでに読みたい本・マガジンで取り扱っている本はすべからく、この選定基準で選んで購入・読み終えた本。

読書に当たっての5ルール

十人十色の読書法。このnoteにも素晴らしい読書法を記した記事が溢れており、私も参考に読ませてもらっている。

私が本を読むときは、下記の5ルールを踏んでいる(本次第ではすっ飛ばすステップもあり)

  1. 著者情報の再確認:どういう経歴の人でどういう人生を歩んでいる人か(wikipediaで確認)

  2. 本の位置づけ&著者の狙い確認:著者が何歳くらいの時に何を思って書いた本なのか(特に過去の名作を読む際は念入りに調べる)

  3. 目次確認:(本の構造を頭に入れる)

  4. 読書開始:気になったところは片っ端から線を引いたり書き込む。

  5. 読書ノート&動画視聴:英語で読んで日本語でまとめる(本当に理解してないと違う言語でサマれないから)。まとめる際に、本に関する動画を見てみる(可能なら著者本人)

特にルール5は、重要。私の場合、悲しい事実なのだが脳のスペックが低いので、これをやらないと本を読んでも頭に残らない。逆に言えば、ここまでやるとかなり消化できた感が残る。

目指すは、ジョン・ロックの言う通り、読んだものをしっかり消化して自分の考える力をつけること。

Reading furnishes the mind only with materials of knowldge; it is thinking that makes what we read ours/読書は知的材料を与えてくれるだけ。それをものにするのは君の思考だ

John Locke/拙訳

何かの参考になったら幸いです。

なお、私の読書記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。私の概要記事がきっかけで、その本に興味を持っていただけたら幸いに思います。


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