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日記 【三島弥太郎の手紙】

本を読むきっかけ

11年も前に、インターネットで三島弥太郎という名前を知った。

明治時代、日本がヨーロッパの真似をして貴族制度を取り入れた。昭和22年まで存在したその貴族制度の華族という階級があった時代に、彼はその特権階級の一員として生きていた。

まだ海外留学が珍しかった時代に、彼はアメリカに留学した。その時代はそういった特権階級に生まれていなければ海外留学が出来なかったのだ。

以前住んでいた場所の古地図を調べていた時に、ふとしたきっかけで三島弥太郎という名前を見つけた。そして、彼がアメリカで卒業した学校が、私が卒業した大学から遠くなかった為、彼に興味を持った。

その後、わざわざ絶版した「三島弥太郎の手紙」という本を探して取り寄せた。

しかし、ずっと読まずに気がつくと10年以上も経っていた。今回香港から日本に戻って来て、やっと、その本を読む決心をした。

この本以外の三島弥太郎

三島弥太郎は、徳富蘆花という作家の『不如帰』という小説に出てくる主人公の旦那さんのモデルになった人らしい。私は読んだ事が無い。

他にも、2年前にNHKの大河ドラマ「いだてん」で小澤征悦さんが三島弥太郎の役柄を演じたらしい。私は観ていない。

この『三島弥太郎の手紙』にあった弥太郎の経歴を読んで、彼がのちに日銀総裁になった事を知ったが、この本は彼がまだ学生だった、アメリカに単身留学中に家族に送った手紙をまとめたものだ。

本を読んだ感想

本を読んで、弥太郎がとても努力家、勉強家で心も優しいのに驚いた。彼は長男で沢山の兄弟姉妹がいるが、家族に対する気遣いや愛情は手紙の節々から読み取れる。又、留学中何年もの間一度も日本に帰れなかったのは、まだ20歳そこそこで、どんなに寂しかった事だろうと思う。彼は日本から受け取る手紙を心待ちにしていた。

私も、留学中は家族とは半年に1度くらいしか連絡を取らなかったと思う。今みたいにLINEや他のメッセンジャーも、スカイプも無かった時代だ。国際電話はお金が掛かり過ぎた。なので、手紙を待っていた弥太郎の気持ちは良く理解出来る。

又、弥太郎の目から見たアメリカ文化、特にキリスト教信者に対しての尊敬と尊重が興味深い。私は、去年の米国大統領選挙でやっとアメリカの宗教に対して深く考えるようになった。

面白いことに、彼が留学した約100年後に、私はアメリカに留学していた。特権階級なんてもう存在しない日本だからこそ可能なことだ。

そして、三島弥太郎は日本を代表する者としての責任を感じながら留学していたと読み取れる。私はそんな事は感じなかった。勿論日本人として恥じない行動はしたいと考えているが、そんな代表なんて滅相も無い。何人も居る日本人留学生の1人に過ぎなかった。

この本を読んで思ったのは、弥太郎のような日本の留学生、国際交流先駆者への感謝の気持ちと、両親への感謝の気持ち、そして、自分が今の階級制度など無く、誰でも何にでも挑戦出来る時代の日本に生まれてきていかに幸運かということだ。

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