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発展の先にあるもの 「わたしたちが光の速さで進めないなら」

 この本は韓国作家のキム・チョヨブさんが書いた、SF短編集です。

なぜこの本に出会ったかというと、多治見にある「ひらく本屋」という商店街に昔からあったビルをオシャレにリノベーションした施設で休日を過ごしていたところ、ひっそりと置いてあったが、この本です。

一際訴えかけるタイトルというのと短編集ということで、取っ付きやすそうだったこともあり手にしました。(ツイッターに併設の喫茶店の写真掲載してます)

1階 喫茶店併設
2階 コワーキングスペース併設

 そんなにしょっちゅう本屋に行く訳ではないですが、最近になって韓国の生き方に関するエッセイなどの本をよく見かける気がします。

 この短編集の中でも、特に印象に残ったタイトルを簡単にご紹介します。

「巡礼者たちはなぜ帰らない」

人類は宇宙の他の惑星に移り住み、安全・平等が守られた生活を送っているが、成人になると「始まりの地」に巡礼するという儀式が存在していた。

始まりの地(地球)に住んでいた研究者のリリーは、その子供のオリーブを自らが作り出した危険のないそのユートピアに避難させるために送り出していた。

しかし、巡礼する年齢となったオリーブは地球に降り立ってから、そのユートピアに戻ろうとはしなかった。オリーブたちからすると、分離主義が存在する地球は危険な場所であるはずなのに、なぜ戻らなかったのか?それとも、戻れなかったのか?幸せが何であるかを考えさせられる内容でした。


「館内紛失」

未来の図書館は亡くなった人の脳をスキャンして、マインドとして保管される場所になっていた。ジミンは亡くなった母親のウナとは最後まで分かり合えることはなかった。

また、産後鬱がきっかけで母親は長い間、娘に対してもヒステリックな対応しかできませんでした。ところが、ジミンは自分が初めて妊娠したことをきっかけに、今までろくに思い出もない母親のことを考えるようになり、母親とのマインドとの接触を試みようと動き出します。

図書館の中でマインドとして生きた形で投影された母親と今更和解したいとかではなく、母親の当時の気持ちを理解して伝えたいことがあったのです。

 作者のキムさんは小説を通して、科学技術が発展した未来がユートピアになるか、ディストピアになるか、その時に人々は何を求め行動するのか、色々な想像力を掻き立てられる作品でした。墓に持っていきたいくらい🤔

↓ この本のイラスト描いてみました💡

↓興味あれば是非読んでみて下さい😊 電子書籍、単行本お好きなほうを


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