幽霊になった僕_幽霊が見えるあなた_

幽霊になった僕。幽霊が見えるあなた。

否定されることも多かった。見下されることも多かった。

僕の心も、生きた道程も、何も知らない。そんな人たちから。

馬鹿にされることも珍しくない。掌を返されることも珍しくない。

僕が何をしたというの。ただ目立たないよう、馴染めるようにしていただけなのに。

嫌われ、嘲笑われ、罵られ。

最初は理解してもらおうともした。

それでも終わらないから、今度は存在を消すようにした。

でも、足らない。変わらない。

僕は要らないのだ。だけど、彼らは要らない理由を教えてはくれない。

理由もわからないまま弾き出される。

最初は彼らを、社会を恨んだ。

でも、変わらない。変わるわけもない。

だから、僕は除け者という立場を受容することにした。

最初から嫌われていると思っていれば、嫌われたって傷付くこともないから。

寂しいと思うことだって、ないわけじゃない。

愛されたいと思うことだって、ないわけじゃない。

僕だって、感情がある。僕だって、生きている。

それでも、求めることなんて諦めていた。

だけど、あなたは違った。

僕を嫌った人たちに貼られたレッテルというシールなんて気にもしなかった。

重なり貼られたシールの奥で声を殺す僕。

そんな僕にあなたは微笑んで手を差し伸べてくれた。

君のことを、君の言葉で教えて。そう言いながら。


社会は僕の言葉に耳を傾けもせず、出て行けと弾き出す。

だけど、もういいんだ。僕を知らずに判断する人に嫌われたって。

殆どの人から仲間外れにされても、もういいんだ。

だって、あなたに出会えたから。

多くの人から避けられようとも、あなたのように向き合ってくれる人と出会えた。

それだけで、いいんだ。それだけで、十分なんだ。

あなたが偶然、僕を見付けてくれた。

そして、僕を受け入れてくれた。

だから、僕はもう一人じゃない。