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書店で並ぶ本、並ばない本の違い。Part❺

Q. 書店が並べたくなる本と、並べたくない本
の違いが知りたいです!

🙋‍♂️ ここは僕の最大の強み・専門領域になる
部分なので具体的にわかりやすく2回に分けて
解説しますね。



たしかに、書店がどんな場所なのか?
書店はどのように本を仕入れているのか?
について分からないことだらけだと思います。

理由は、著者になるために必要なアドバイスを
される編集者の方、出版コンサルタントの方、
文章力の磨き方や書き方をアドバイスする
ライターの方などは多数おりますが、
肝心要の出版流通のしくみ、営業のはなし、
書店のはなしを語る人が極端に少ないからです。




ぼくは、出版業界歴20年を超えますが、
書店営業歴も20年以上、
出版プロデュース歴10年という
異色な立ち位置にあり、
出版の川上から川下まで押さえた経験から、

編集者もライターも語ることができない売る!
という現場の話し、有益な情報・知識を著者に
伝えられる資格を持っています。




本が出来るまでは編集者と二人三脚でいきますが、
なんと言っても売らなければ意味がないため、
発売されてからの動向や、発売前から取り組む
べき、売るために必要な情報や基礎的な知識を
学ぶ場所は、極端に少ない。


ですから、僕の出版社から出版される著者は、
その部分を一番ありがたがるし、
いかにプロモーションを考え、
手を打つかという「濃度」次第で、
増刷できることもあれば、
全く売れずに返品に苦しむことにも
つながるため、かなり喜ばれています。



さて、本題の書店とは何か?についてですが、
よくある話しとして、著者から聞かれる、

「わたしの本はどけに行けば買えますから?」
「あの書店に行ったら無かったんだけど…」

があります。

特に多いのは後者のパターン。

これってきちんと理屈を考えれば分かりそうな
話しなんですが、
本をはじめに刷る部数という
のが出版社によって決められ、
その刷り部数(初版部数)の範囲内から、
全国の書店に振り分けられるわけですよ。


いまは、なかなか本が売りずらい時代であり、
書店の店舗数も僕がこの業界にきた約20年前
に比べると1万店舗以上潰れている
のだから、
初版部数の平均が下がるのは当たり前。

有名著者であっても、初版刷り部数5000〜
6000部スタートが当たり前になっているし、
新人著者になれば、よほどの発信力、ファンを
抱えていない限り、2500〜3000部を刷って
もらえるだけマシ。

もちろんジャンルによっても変わりますから、
マーケットが狭い専門書になれば1000とか1500とかになるものもあります。



ベストセラーの点数もかなり減ってきているし、
ミリオンセラーなんて年に一本でるかどうかの
時代
なんですから。

僕はビジネス書畑で育ってきたため、
ビジネス書ジャンルの事例で説明しますが、
1万部いけば凄いレベルと言われるくらいで、
3万部こえればベストセラー作家なんて
言われるくらいのイメージなんです。

たまにビジネス書で10万部超え、50万部超え
が出たりしますが、一年間でその部数を出せる
本は少なくなっていて、2年かけてその部数に
いく本が増えた感があるくらい。

だから書店がいかに大変かはお分かりになるでしょう。



売り上げの取り分は、出版社により書店の実力
によりバラつきはありますが、
おおかた書店の取り分は25%とここでは伝えて
おくことにしましょう。
ちなみに出版社は70%前後
それ以外を本の流通を担う出版取次(略して取次)
に入るイメージを持ってください。

仮に1500円の本を1冊売った場合、
書店の粗利は375円になります。
どれだけ、売らないとやっていけないかが
分かると思います。

そもそもどんな本も値段にあまり差がなく、
高くして売ってよい価値ある本も2000円以上
をなかなかつけられない業界の慣習を打破
しなければならないと僕は考えていますが。



ですから、書店はとにかく売れる本をたくさん
売りたくなるのは当たり前で、
かつて売れた著者や知名度抜群の著者優先に
並べるのは当然なんです。

しかも毎日200点前後の新刊が誕生しており、
年間最低7万点以上もの新刊が書店に送られて
くるのですから、並べる場所の取り合いが
過熱するのは当然です。


そんなレッドオーシャン市場に
新人著者が入り込む戦いをしているわけです。

次回は、新人著者でもきちんと並べられる本、
書店が売りたくなる本について、
書店はきちんと新刊を目利きして並べている
のか等、現場を知るからこそ伝えられること
について書いていきます。

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