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カフェのコンサル

数年前から仕事をしているカフェ。
仕事で知り合った印刷会社の営業の方から「妻がカフェをしてるので、よかったら行ってみてください」と言われ、お付き合い程度で行ってみた。

同級生のカフェオーナーとの出会う

そのカフェは広島県の神石高原町にあるメインの道から外れた少し山奥に入った場所にあり“通りすがりに”ではまず見つからないお店。
ナビを頼りに行ってみた。

私が行った日は混雑していて人気のカフェなんだなぁと思った。メニューを見てみると『ぬく森セット』と『ハヤシライスセット』が食事メニュー。
『ぬく森セット』は店名の“ぬく森”が入ってるのできっとこれが看板メニューなんだろう!と思ったのだが、メニューの組み合わせが、“パン・おにぎり・かぼちゃスープ・イモモチ・サラダ・ゼリー・飲み物”

炭水化物祭りだ!

ちょっとこのメニューは。。。と思ってハヤシライスセットにした。

食事が終わるとお店のオーナーの女性がパンをサービスで持ってきてくれた。ハヤシライスを食べた後でお腹いっぱい(^◇^;)
でも、断るのも申し訳ないので頂いた。

食事も終わり、席で寛いでいるとオーナーが「この店をどうして知りましたか?」と話しかけてきた。
「仕事でお世話になってる旦那さんから聞きました」と言うと、ちょうど旦那さんがいて呼んでくれご挨拶。
旦那さんがお店の横にある自宅で焼いていた焼き芋を頂いた。ハヤシライスとパンでお腹いっぱいだったけど、断るのも申し訳ないので頂いた。

オーナーと話していると、高校の同級生だと言うことが分かったのだけど、覚えていない。。。
オーナーが旧姓を言った時にやっと思い出して、高校時代の話に花が!

それがカフェぬく森のオーナーとの出会いだった。

最初は旦那さんが大手の印刷会社に勤めてるので、趣味みたいな感じでカフェをしてるのかと思っていた。
なので、色々相談されても適当に流していた。

そのお店はたまにワークショップをしていた。お付き合い程度に参加したけど、ワークショップと食事付きでかなり安価。やはり儲けとかは考えてないんだなぁと思った。

それから暫くして「どうしたら集客できるか」と聞いてきた。そしてアメブロを始めたいと言うので設定のお手伝いだけをしてそれ以上は何もしなかった。

その時は趣味程度にカフェをしてると思っていたから。

補助金申請

それから暫くしてホームページを作りたいと言ってきた。ちょうどその頃、小規模事業者持続化補助金の募集があったので、それで補助して貰えば?と伝えたら、オーナーは直ぐに商工会に行き手続きを始めた。

補助金申請はホームページを含めた店舗のイメージリニューアル的な感じで申請。見事不採択(T . T)

あまりにも落ち込むオーナーを見て、出世払いを条件にホームページだけを安価で作る事にした。
まだ私がホームページを作れるようになったばかりの頃で、いろんな不備があったりしたらオーナーはいつも報告をしてくれた。ホームページは完成した後に何度も見ないので不備を見つけるのは作り手側では難しい事もあり、報告をしてくれて修正できるのでとてもありがたかった。

ホームページが出来た後、また小規模事業者持続化補助金の募集が始まり、今度は商工会の違う担当者が地元の野菜を使った料理が食べれるカフェと言うのでいきましょう。と勝手に(一応オーナーに確認はされてた)申請書を作って提出。見事採択!

補助金申請には見積書が必要で、ウチから出したのは正規金額の高額な見積書。そんな金額をオーナーは払えないだろうと思っていたので、適当に領収を作れば良いかなぁと思っていたら、不正ができないように振込の記録を提出するようになってた(゚o゚;;

田舎の売上が上がってない小さなカフェのオーナーにはかなりキツイ金額。でもオーナーは請求された物を払うのは当たり前と、キチンと全額入金してくれた。

その事がキッカケで本腰を入れる事にした。

と言っても、それまで作ってたものが適当だったのではない。お金が取れないからあまり突っ込まないでいただけ。

リーフレット制作はオーナーと一緒に地元の農家に行き、農家の方の話を聞き、写真撮影をした。
そして料理写真を撮り、コピーを考え、レイアウト。
見積もりになかったマスコットキャラクターも制作した。

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このマスコットキャラクターはオーナーの中学生の娘さんが描いた絵をシェイプアップして作成。
黙々とお店を手伝う娘さんが喜んでくれたらな♡と言う思いのみだったけど、これがかなりの反響で、リーフレットだけのつもりが、今では『ぬく森=このキャラクター』になっている。

リーフレットの印刷が出来た時は、オーナーと一緒にいろんな場所に置かせてもらいに行った。

オーナーはお店のある神石高原町と近隣の町位からしか来ないと思っていたけど、神石高原町は自然豊かで行楽に来る町だと思ったので、リーフレットを置かせてもらう範囲を広島市内や岡山市内まで広げることを提案して一緒に回った。

リーフレットを配りまくってからは、客数が増えていき、売上も伸びていった。

そしてリーフレットがきっかけになり、地元のテレビやラジオ、タウン情報誌から取材が来るようになった。問い合わせがある時は電話の向こうでホームページを見ながら話してくる事が多いと言っていた。

店舗の内装工事

お客が増えると、オーナーはテラス席を綺麗にしたいと言い出した。これまた本気なのか分からず分野も違うので放置してたら、いろんな人に聞いて建築業者を紹介してもらって話をしたそうだけど、軽く遇らわれ連絡しても放置されてた。

私もどうして良いか分からず、旦那に話をするとウチで仕事をした建築業者さんに話を聞いてもらおうと言う事になった。
建築業者さんを紹介して、ぬく森オーナーと改修工事を進めて貰えば良いかなぁと思ってたら、建築業者さんがテラスのイメージが作れず旦那に相談してきた。
この案件、ウチでお金を取るところがないので手を出さないつもりだったけど、工事が進まないと営業再開予定日に間に合わないので、旦那がテラス席のイメージ図を作り建築業者さんに渡した。

イメージが出来たら建築業者さんの仕事は早い!
結局、物は作れてもイメージは作れないんだなぁと思った。

“建築”と言う得意分野だけになったので工事は営業再開日迄に完成。
季節によって表情が変わる景色、光と風を感じながら食事ができるテラスになった。

ドリンクメニューの強化

リーフレットを作る前に今までの炭水化物祭りのようなメニューを一新していた。キッカケは地元の料理好きの方がパートに来るようになったから。
『ぬく森セット』と言う名前は変えず“パン・スープ・サラダ・一品料理・ドリンク”に変更。
ハヤシライスはそのまま残して、パートさんの提案で季節によって料理を追加する様になった。

お店の方が安定すると、オーナーはドリンクメニューを強化したいと言ってきた。

東京でカフェ・レストラン向けの展示会があるとの事でオーナーと私の2人で行く事にした。
せっかく東京に行くのだし…と何処か行きたい所があるかとオーナーに聞くと世界遺産で話題の国立西洋美術館に行きたいと言うので、それならランチはぬく森のメニューの参考になるハヤシライスが食べれる所でと探して上野精養軒のパンダのパンが付いたハヤシライスを食べに行った。

展示会場に行く前にあまりにもフラフラしすぎて展示会場に行ったらみる時間が少なくなってしまったので、急いで展示を見て回ったけど広すぎて途中で終了時間に。

最後にオーナーが「紅茶の所に行きたい!」と言うので、人が多すぎて試飲ができなかったけど気になったブースへ直行。片付けを始めてたブースで年配の男性が試飲をさせてくれながら丁寧に紅茶の説明をしてくれた。

実はオーナーは紅茶が苦手。美味しいと思った事がないと言う致命的な所が。。。
でも、試飲した紅茶はとても美味しくて何杯も飲んでいたら、ブースの年配の男性が「ペットボトルとか持たれてたら持って帰れるように入れてもらっても良いですよ」と言ってくれた。残念ながら持ってなかったので持ち帰る事は出来なかった。

オーナーは『美味しい!』と思ったので年配の男性のアドバイス通りに仕入れをその場で決めた。
名刺交換したらその年配の男性は紅茶の卸業者の社長さんだった(^◇^;)

原価計算

ぬく森のオーナーは、お店を自分で始めたのではなく、たまたま見つけたカフェに通っていたら前オーナーから「あなたにこの店を譲りたい」と言われ、店舗と横にあった自宅を購入。

そして、前オーナーのやり方を引き継いだまま経営をしていた。

専業主婦だったオーナーは経営の事を一切考えず、前オーナーの言う通りにしてれば良いと信じて経営をしてたけど、毎月赤字で貯金を切り崩している状況だった。

赤字をどうにかしようと必死でいろんな人にアドバイスを求め、これをメニューにと抹茶ドリンクを仕入れたり、友人にワークショップをして貰ったりしていた。

ワークショップはオーナーから依頼をしてたのでワークショップをする方は常に受け身。人が集まらないと『人数少なくても大丈夫だから』と言われるだけで集客はしてくれない。
ワークショップをキッカケにぬく森と言うカフェを知ってもらいたいと言う思いは伝わってなかったようだ。

また、アメブロをしたいと言うのは『アメブロをすれば良いよ』と言われたから。ブログを書いて集客するにはどうすれば良いかと言う所が全く抜けてたので、オーナーのポエムばかりのブログになっていた。

テラスのリニューアルの時に、売上を伸ばすにはどうすれば良いかと、長年フランチャイズの飲食店をされてた方にアドバイスをお願いしたら、原価計算をするようにして原価を35%以下にするようにと言われた。

そして原価計算を始める。私が…(−_−;)
オーナーは頭の良い人だがパソコンに疎いため、エクセルは全く使えない。
全部手書きで書いて計算機で計算するとなると膨大な時間が。。。

私がエクセルで材料と金額、分量を入れると計算が出る表を作り入力して全部の原価計算をしてプリントした物をオーナーに渡した。

それを見たオーナーは、今まで原価が高すぎて価格が安すぎたと気づき、値上げをする事が出来た。
原価計算を出す前から私が「安すぎるから値上げした方が良い」と言っても、常連客が…とか、値段を上げると客が減る…とか不安ばかり口にして値上げができなかった。
見える化すると決断も出来るんだなぁ。

原価計算をキッカケに、人件費のことや光熱費などの経費の方も意識するようになり、集客や売上の事を考えてパートさんの出勤調整をするようになった。

SNSの画像

カフェの宣伝にはSNSは必須。なるべく更新するようにと伝えるのだが、ネタを見つけるのが大変らしい。
なので、最初はオーナーが好きな花とか景色とかばかりを投稿していた。

カフェなのに料理を投稿しない。。。

そうアドバイスすると「つい、料理の写真を撮るのを忘れてしまって…」と返事が。
他の人からもアドバイスされてたみたいで、その後は料理をなるべく投稿するようになった。

料理を投稿するようになってからは、それを見て来る人もいたそうで反応がある事を実感していた。

ハッシュタグも最初は「神石」「神石高原」「カフェ」などしかなかったので、店名や料理名、神石と言う地名にピンポイントでなく、広島県のカフェだと言う事を入れるようにアドバイス。
SNSで発信するからには見て貰えないと意味がない。1人でも多くの人に見てもらう努力は必要。その事を伝えると、オーナーはいろんなものを研究して、今では沢山のハッシュタグ付きで発信している。

パートさんが辞める

オーナーは料理の上手なパートさんに頼っていたけど、シフト調整で収入が減った事もありパートさんは別の仕事をする事になった。

パートさんが辞めると、オーナーと娘さんの2人でお店を回さないといけなくなった。
平日は娘さんは学校に行ってるのでオーナー1人。
最初は1人で回せるか不安だと言ってたけど、やると出来るもんで。
私からのアドバイスは
「1人だから時間がかかると伝える」
「焦らずに待ってもらう」
この2つ。
焦ってしまうといつもより時間がかかってしまう。いつも通り冷静に対応する事で、スムーズに料理を提供出来ると言う事なんだけど、『待たせるのは悪い』と思うより、『少し待たせるかもしれないけど、きちんと料理を提供する』と考えた方がメンタル的にも落ち着く。焦りはお客にも伝わってイメージダウンになるからねぇ。

ホームページのリニューアル

数年かけてすっかり経営者になったぬく森のオーナー。出会った時に中学生だった娘さんは今年の春から料理を学びに大阪へ。
春からはオーナー1人で経営になる。

そんな中、仕入れ業者の方で取引する紅茶の会社を変えた事で今まで仕入れてた紅茶が仕入れ出来なくなった。
紅茶が変わるのと1人でお店を切り盛りする為にメニュー変更をするので、ホームページをリニューアルしたいと言ってきた。

現在のホームページを作って以降、スマートフォンを持つ人が増えたのでレスポンシブにした方が良いとは思ってたけど、お金を使わすのは…と思っていたらオーナーから言ってきてくれた。

春からは1人でお店を切り盛りするので今のメニューを簡単に対応出来る案を提案してみた。オーナーは私の提案を聞いてくれて、そうする場合はこれをしなくてはと言ってくれた。実際にお店で料理をするのはオーナーなので、私の提案はキッカケ。厨房の中で料理をする手順やホールで料理を提供する事を考えて何かのヒントになれば良いかな。

今回のホームページのリニューアルで美味しい紅茶でゆっくりとした時間を楽しめる事がお客さんに伝わり、その時間を求めて来てくれる人が増えるといいな。



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