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【読書記録】椎名誠『続 失踪願望。 さらば友よ編』―日常を綴ること。日々を愛おしむこと。

えりたです。

去年までは、本を読むのに「冊数」にこだわっていました。とにかくたくさん読みたい。だから、選ぶ本も手軽でささっと読めるものが主体になっていたのです。

それが今年に入ってから、なぜか、そういったざっくりとした集中力で読める本たちでは満足できなくなっていたのです。理由はいろいろありましょう。

たとえば、そういった本の文法にアタマが慣れきってしまって、読んでるときの感情の振れ幅が小さくなったこと。また、ありがたいことに、仕事が昨年よりも忙しく、手軽に一冊の本をざっくり読むだけの時間さえ、まとめてとることが難しくなってきたこと。ほかにもいろいろあります。

が。兎にも角にも、私はもっと自分の腹にぶっ刺さってくるような本や、思考をぐるぐるさせてくれるような本をじっくり読みたいと思うようになったのです。

さらに言えば、noteで紹介記事を書けるような本を読みたいという願望も強くなってきました。同時に、それを書く時間をなかなか取れないというジレンマを抱えることにもなりましたが。

読書に対して、そんな変化があった2024年。

時間もなく、気持ちの余裕もなくと、とことんないない尽くしですが、まずは思い立ったのだからと、書き始めたなうです。

というわけで、2024年1本めの本紹介

今回ご紹介するのは、椎名誠さんの新刊『続 失踪願望。 さらば友よ編』(集英社刊)です。

「おい、シーナ、逃げるなよ」

親友からの最期の”檄”
その真意とは?
書き下ろし「さらば友よ!」収録。

老いること、喪失を抱えて生きること、
愛する者たちへの思いをまっすぐに。
79歳の日録が静かに差し出す
新たな人生の世界線……共感必至!

帯文から引用(太字は引用者)

この本を知ったきっかけは、Threadsである方の「読了本」としてTLに流れてきたことです。そのpostを見かけたとき、私は何気なく「椎名さんの新刊だぁ。読もうかなぁ」と思いました。

ただ、実は昨年か一昨年あたりに読んだ椎名さんの本が、思いの外、そのときの私に合わなくて。そのときの「違和感のようなもの」がまだ気持ちのなかにざらりと残っていたのです。そのため、TLで見かけたときには、まだ読むことに躊躇がありました。

ですが、ナニゴトも先入観でガンと決めつけるのはよくないことですし。何はともあれ、実物に会ってこようと書店へ赴きました。

ですが、お店の平台でこの本を見付けて手に取り、ぱらぱらと拾い読みすると、なぜか「これは読もう」という確信がぐぐいっと湧いてきたのです。そして、すぐにスタバへGO。そのまま読み始めたのでした。

そのとき一緒にお迎えした本たち

そうして読了した今、読んでよかったと強く深く思い、その勢いのままこうして記事を書いています。

なぜなら、この『続 失踪願望。』を読むことで、今の私にそっと寄り添ってくれることばと出会うことができたからです。


■少しずつ、ちゃんと老いていく、ということ

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