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恩田陸『象と耳鳴り』再読、だけでなく『白の劇場』とか『日曜日は青い蜥蜴』とか。

恩田陸が、新作『灰の劇場』刊行にあわせ、同じ河出書房新社から、KAWADEムック(文藝別冊)「白の劇場」というムックを出したので、『灰の劇場』はまだ読んでいないけれど、まずはムックから読んでみた。巻末に三宅香帆による「恩田陸全著作ガイド」というのが出ていて、ざーっと目を通したが、エッセイと絵本で数冊読み漏らしたものがあるが、ほぼ全部読んでいることを再確認。『灰の劇場』が70作目、というカウント。
一瞬恩田陸という作家を知るのが遅れたので、最初の何冊かはリアルタイムではなく、たぶん、21世紀に入った位から、刊行のタイミングで読むようになったと記憶している(たぶん最初に読んだのは、文庫化された『常野物語 光の帝国』(集英社文庫)だったから、たぶん2000年のことだ)。その最初期の作品のひとつ、『象と耳鳴り』(祥伝社、現在は祥伝社文庫)を、20年ぶり位に読んでみた。三宅香帆のガイドによると、通し番号6。

退職した判事、関根多佳雄を主人公とする連作推理小説。事件は、殆どが、彼のいない場所で起こってしまってうやむやにスルーされてしまっている。それを解き明かす多佳雄は、一種の安楽椅子探偵だ(その割によく動き回っているが)。
様々な小説や写真や詩歌からのイメージが作品の中にはさまれ、それらが謎解きをちょっとペダンティックに彩る。多佳雄も、息子の春(検事、『puzzle』の登場人物)、娘の夏(弁護士、『図書室の海』の登場人物)も、頭よすぎて、付いていけない読者はちょっとむかついちゃう、といった小説。この本には出てこないが、息子関根秋は『六番目の小夜子』の主要登場人物。関根家サーガが続くかと思ったら、その後の作品には登場しない。そうなるとまたどこかで登場しないかと期待してしまう。

しかし、ブックガイド見ていると、どの作品も懐かしいのに、細部(それどころか結末まで)を忘れてしまっている作品が多く、どの本も片っ端から再読したい気分。更には、「恩田陸が選ぶ年間ベストブック&フィルム15年分!」という特設ページもあり、読みたい本がどんどんどんどん増えていく。
この間読んだ恩田陸『日曜日は青い蜥蜴』(筑摩書房)にも、雑誌連載していた読書日記が収められていて、この人はこれだけ膨大な作品を書き続けながら、どれだけ本を読んでるのだ、と驚かされた。15年分の中には『日曜日は青い蜥蜴』で紹介している本も出てきて、更に読書欲が刺激された。

本を読めるって幸せなことだな、と、恩田陸と同時代を生きながらしみじみ思う。

『ドミノ』から『ドミノin上海』へ。物語が5年たつ間にわたしたちは19歳位年を取った(恩田陸・角川書店)
恩田陸『歩道橋シネマ』(新潮社)
恩田陸『祝祭と予感』(幻冬舎)
蜜蜂と遠雷、直木賞1周年
恩田陸『小説以外』

o/3gmAu5r

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