注意力が散漫で、忘れっぽくって、部屋が散らかったあなたに朗報です。
それは、創造性の証(あかし)かも知れません。
そして、今回の話を読めば、
「なぜ、東大に入れてもノーベル賞が取れないのか?」
「東大よりも京大のほうがノーベル賞を取れるなんて話があるけど どうしてなのか?」
「地方大学出でもノーベル賞を取る人が現れるのはなぜなのか?」
の答えが分ってくると思います。
今回は創造性の話です。
先ずは、「創造性」と「知能」は別物であり、、
それは、「拡散的思考(水平思考)」と「収束的思考(集中的思考)」の違いであるという話から入ります。
「創造性」は「広げ」、「知能」はそれを「まとめ」ます。
「拡散」と「収束」。
「クリエイティブ」と「インテリジェンス」。
それでは、以下の引用からお読みください。
『あなたはインテリジェンス?それともクリエイティブ?』
より(一部書き換えています)
あなたの思考は、収束型でしょうか?それとも拡散型でしょうか?
「創造性」を発揮するには拡散型の思考法が需要です。
では拡散的思考を行なう人の特徴はどのようなものでしょうか?
『なぜ、部屋が散らかっている人ほど「クリエイティブ」なのか | TABI LABO』
より
「部屋を散らかしていると考えが明確にならない、と主張する人」は、収束的思考をする人でしょう。
ネットを見てみると、
「机の上の汚さと、頭の中のゴチャゴチャ度は関連する」とか
「机の上が散らかると、思考もとっ散らかる」とかの意見があります。
これらの意見は、収束的思考の人の意見と見ることができます。
また、ネットで見られる意見から想像されるのは、
拡散的思考をしている人は、とっちらかった思考、注意散漫な思考をしているので、それらが生活態度にも出ている、ということです。
『散らかった部屋から、「ひらめき」は生まれる | TABI LABO』
では、
と紹介されています。
この記事の場合の「知的」とは、収束的思考の知 では無く、拡散的思考の知 を指しているようです。
拡散的思考をしている人は、とっちらかった思考、悪く言えば、注意散漫な思考をしています。
そして次に紹介する記事は、そうした注意散漫な人ほどクリエイティブだという話です。
『「注意力散漫」な人ほど、クリエイティブ!米・研究結果 | TABI LABO』
より
「振り分けなどを苦手」とは、収束的思考が苦手ということですね。
また、このような話もあります。
『思考があちこちに飛ぶ、天才肌。彼らの特徴とは? | TABI LABO』
計画を立てない人は、拡散的ですね。逆に計画をしっかりと立てる人は、収束的です。
とっちらかって、注意散漫で、無計画な人は「創造性」があるかも知れません(ただ、これで創造性が無ければ、目も当てられませんね)。
今回の話の最初に、
「なぜ、東大に入れてもノーベル賞が取れないのか?」
「東大よりも京大のほうがノーベル賞を取れるなんて話があるけど どうしてなのか?」
「地方大学出でもノーベル賞を取る人が現れるのはなぜなのか?」
と書きましたが、
もう答えはお分かりですよね?
「なぜ、東大に入れてもノーベル賞が取れないのか?」
それは、
一般に大学入試で測られるのは、その人の収束的思考力だからです。
そして、ノーベル賞に必要な創造性と結びつく拡散的思考力は大学入試では測られないからです。
ちなみに、最近は、C領域も意識され始めているので、今後は入試も変わってくる可能性があります。
「東大よりも京大のほうがノーベル賞を取れるなんて話があるけど どうしてなのか?」
それは、
東大は、その文化として収束的思考力重視であり、京大は、その文化が拡散的思考の方向を向いているからです。
もちろん、ノーベル賞イコール拡散的思考では無いので、収束的思考の延長線上にノーベル賞を取る場合もあります。
ですから、厳密には、「斬新な発想が起点のノーベル賞」と書く必要があるのかも知れません。
「地方大学出でもノーベル賞を取る人が現れるのはなぜなのか?」
それは、
ノーベル賞を取るために必要な収束的思考力は、地方大学に入学できる程度の力であれば十分だからです。
ノーベル賞級のアイデアを出すには、一定の収束的思考力(一定の学力、一定の知能)さえあれば、あとは、拡散的思考力のほうで差が付くということです。
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*
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「拡散」と「収束」という視点からは、以下の話も面白いです。
『なぜ創造的な社長ほど、仕事が散らかるのか?(略)| ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」』
より
それで、
もしも、その会社の社長が収束的思考の人で、社員に創造性を求めるなら、次の意見を参考にした方が良いと想います。
『組織論のプロが説く。「生産性とクリエイティビティの両立は、ムリな話です」 | TABI LABO』
より
創造性とゆとりとの関係は、以下においても言われています。
より
*
まとめます。
思考には収束的思考と拡散的思考があり、
収束的思考の人は生産性重視、考えを整理し、分かりやすく伝えるのが上手く、「明確化」「実行」「実現」を語ります。当然、その思考は身の周りにもおよび、身の周りは、収束された状態で整理整頓が行き届いています。
一方、
拡散的思考の人はクリエイティビティ重視、幅広い観点から考え、様々な見解や案を出すのが上手く、「アイデア」「ビジョン」「未来像」を語ります。その思考は身の周りにもおよび、身の周りは、拡散された状態でとっちらかってます。計画性が無く、振り分けが苦手、注意散漫で、忘れっぽいところもあります。無駄とゆとりの中からアイデアを生み出します。
収束的思考は知能型と言え、拡散的思考は創造型と言えます。
「まとめて整理する」か?「散らかしながら広げていく」か?
さて、これを読んだあなたはどちらの傾向が強いでしょうか?
部屋は整理整頓がされていますか?
これ、メモの取り方にも現れるような気がします。
それと「ボサボサ頭の天才」とは拡散的思考者だったんですね。
*
ここから先は、蛇足となるやも。
蛇足その1.
「だったら、部屋を散らかせば創造性が上がるのか?」と思うかたもいると思うのですが、上がるようです。
では、以下のような話が紹介されています (始めのほうで引用した『散らかった部屋から、「ひらめき」は生まれる』と同じ人です。もしかしたら同じ内容) 。
一方で、
という話もあるので、真に創造性のある人は、また違うのかも知れません。
蛇足その2.
あえてエニアグラムの話を入れると、収束的思考は、タイプ6。タイプ6でもウイング5が一番強そうです。官僚型タイプですね。次にタイプ5ウイング6の問題解決者。完璧主義のタイプ1を筆頭にガッツセンター全般が、収束的思考に入ると思います。
知情意の知(分類)で収束させるか、意(具体的事実)で収束させるか、といった違いは出ると思います。
拡散的思考は、次々に楽しいことを求めるタイプ7、ときに飛躍した思考をするタイプ5ウイング4、タイプ4、あとはハートセンター全般、かな。
知情意の知(考え・案)で拡散させるか、情(イメージ)で拡散させるか、といった違いは出ると想います。
まあ、収束具合・拡散具合は、その人の部屋や行動を見れば分ることでしょう。
その人を見れば分るで、思い出す話があります。
タイプ5ウイング4の人が、タイプ8の上司から「オレ、豚小屋嫌いなの」と言われていた、という話を聞いたことがあります。それだけ整理整頓ができていなかったという話です。
ついでに書くと、その人は、同じ上司から「研究者向き」という意味のことを言われていたそうです。
タイプ5のウイングの違いについては、『同じ『思考者』である タイプ5ウイング4 と タイプ5ウイング6 はどう違うのか?』を読んでみてください。でも学者タイプであればウイング6も部屋が散らかっているかも知れませんね。ウイング4ほどではないにせよ。
蛇足は、ここまで。
今回は、注意力が散漫で、忘れっぽくって、部屋が散らかっているあなたには「創造性」があるかも知れない、という話でした。
今回の話とは関係ありませんが、
『なぜ創造的な社長ほど、仕事が散らかるのか?(略)』
の引用文を面白いと感じたかたは、
『組織の理想形は「まんじゅう」だと思う | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」』
も読んでみることをお勧めします。
というような話が書かれています。
まんじゅうの皮は、見た目でありユーザーインターフェイスである。という話です。皮の向こうにあんこがある。
見てくれが同じ製品や商品に、なぜ違いが出るのかの説明がされています。
引用先では、まんじゅうは、あんこだけでも、皮だけでも成り立たないということが書かれています。
今回の拡散と収束の話と似ていますね。両方が協調してはじめて上手くいく。という。
参考『日本人と創造性(簡易テストあります)』
『ソニーの“あんこ”』
「ソニーの競合はどこだと思いますか?」と問われたら、あなたなら何と答えますか?
表面的な饅頭の皮にだまされていませんか?というような話を書いています。
蛇足の蛇足
心理学者のギルフォード(Joy Paul Guilford・1897―1987)の物語
なぜ、創造性の研究を始めたのか?
『スウェーデン式アイデア・ブック(フレドリック・へレーン ダイアモンド社)』より
違う考え方ができる能力、枠の外で考える能力
それこそが、
創造性・独創性
追記
この文章で書きたかったこと。
・拡散的思考と「散らかった状態」「計画性の無さ」「注意散漫」「忘れっぽさ」「振り分けなどが苦手」に関連があること。一般的に否定的に見られるものが拡散的思考と関連付くこと。
・頭の良さと収束的思考が結び付けられることが多い中、能力というものは複数あるということ。今回は、その内、2つについて違いが分ることを目的とした。
・この延長線上において、よく聞く「東大と京大の違い」等の説明を試みた。
なお、いろいろと引用したのは、拡散的思考と収束的思考との違いを理解して欲しかったから。
2021/04/26追記として、
多少、脱線した話を書きます。
片山敬済氏の言葉
「秀才は着込み、天才は脱ぐ」
を
収束思考と拡散思考
の話と読むことができるかも知れません。
収束思考がとてもできる人は、知識を着込んだ秀才となり、
拡散思考がとてもできる人は、常識を脱いで、新しいことを作り出す天才となる。
どちらも、程度に差があるから、収束思考だからといって秀才にはならないし、拡散思考だからといって天才にはならない(拡散思考の場合は、バカにされる可能性だってあるし変人扱いされる可能性だってある)。
・・・そんなことを思っていたら、
『あなたの会社は「天才」を飼い殺しにしていないか? 社内に埋もれた「天才」を、活かせる組織に変える法 | JBpress(日本ビジネスプレス)』
の話を思い出しました。
このかたの言う「天才」が「創造性」なら、それは拡散思考です。
また、「秀才」が「再現性」や「論理性」なら、それは収束思考です。
「凡人」が「共感性」となっていて、これは、拡散思考や収束思考とは別の能力です。「EQ」がこれに該当するのか、それとも、また違ったものになるのか、そこは不明です。
引用文に、
「“凡人”、“秀才”、“天才”は理解し合えません。物事の良し悪しを判断する“軸”が違うからです」
と書かれていますが、“秀才”、“天才”の違いが、収束思考と拡散思考の違いならば、お互いに“軸”が違うので、理解し合えなくて当然だと言えます。
このライフサイクルの話を読むと、
「そもそも、生産性とクリエイティビティはお互いに引っ張り合うもの」
という言葉も、なんとなく理解できます。
仕組み化ができて、安定期に入ると、拡散思考を行う天才は用済みになるわけです。それで閉職や退職に追いやる。
そして収束思考に長ける秀才のもとに、効率化し、生産性向上を行う。
生産性を気にし始めると、クリエイティビティは衰退します。
このとき、凡人は、会社を大きく安定させる秀才を、天才だと勘違いしている。
そうしているうちに、組織は衰退する。
組織が用済みになった天才を追いやった実例は、以下を読むとよいと思います。あなたが拡散思考の人なら、これを参考にしておいたほうがよいかも知れません。
最後のほうだけ引用してみます。
『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』という題を思い出させる話となっています。
とも書かれています。
天才・秀才・凡人の話の詳細は、先ほどの『あなたの会社は「天才」を飼い殺しにしていないか?(略))』のリンク先で読んでみてください。
2021/09/04追記
今回の文章の続きになるような文章の紹介です。
『「アリの思考とキリギリスの思考」の感想』
細谷 功 氏の書いた「アリの思考とキリギリスの思考」の感想です。
細谷 功 氏は、
「問題発見」のための考え方を「キリギリスの思考」と表現し、
「与えられた問題を解決する」「狭義の問題解決」を「アリの思考」と表現して文章を書いています。
日本企業は「アリの思考」で成功してきました。
細谷氏はこう書きます。
興味のあるかたは、先のリンクで私の文章を読むか、細谷氏の文章か本を読んでみてください。
『イノベーターはいるのだけども(エニア話ではなく)』
「イノベイターDNA診断」の話をしています。
凡人の説明は、エクゼキュータに該当し、
天才はイノベーターに該当するようです。
ちなみに、エクゼキュータは、「ものごとを継続的に成し遂げることで成功する」「根気強い」「実行力のある」人のことを指します。
日本の企業は、秀才の指揮の下、根気強く実行力のあるエクゼキュータが働くことで成り立っていました。
日本はエニアグラムのタイプ6の国なので、試行錯誤を嫌い、判断が苦手で、確立された答えを求めます(キリギリス的な生き方は嫌、アリのままでいたい)。
なので、答えは外からもってきて、秀才とエクゼキュータ(凡人)が会社を動かしているのが日本型企業運営となります。
そして、ときどき、社内の天才が力を発揮して、その恩恵にあずかるわけですが、「夢ばかり語って実行が苦手な」イノベーター(天才)は、通常業務においては邪魔なので、基本的には、のけ者にしてきました。
ところが現在は、イノベーターの力が各企業で重要になってきているので、イノベーターを活用できない企業は(今、秀才にできる対応は、賃金カット、コストカット、リストラ、太枠の中での最適化、くらいで、新しくお金を生み出すアイデアは出せない。ので)ジリ貧になっているわけです(収束思考が得意な秀才に、拡散思考の創造性は期待できないので)。
上記に紹介した二つの文章が気に入ったら、
以下の文章も読んでみてください。
『なぜ日本には戦術があっても戦略が無いのか?』
『日本のITは何故弱いか』
2021/11/09追記
「イノベイターDNA診断」におけるイノベーターとエクゼキュータの違いに関連して、
『あなたは想像力が豊かな人ですか?心理テストでチェック - kazuosite☆心理学から学ぶ人生のいろはにほへと』
の記述が参考になりそうです。
リンク先にはテストがあり、このテスト結果を見てみると、想像力(≒創造力)が強すぎると実行力が無いことが理解できます。
「想像力はあなたの武器になるが、暴走しすぎて非現実的にならないように注意する必要がある」なんて書かれています。
想像力(≒創造力)が強い人が、イノベーター。
現実的で実行力がある人が、エクゼキュータ。
となります。
リンク先のテストにおいて、
10点~15点、低い点であるほどにエクゼキュータの傾向が、
24点~30点、高い点であるほどにイノベーターの傾向があることになります。
※ 本当にキチンと知りたいかたは、お金を出して「イノベイターDNA診断」を受けてください。
2022/05/26追記
先に関連したリンクです。『イノベーターはいるのだけども(エニア話ではなく)』
天才・秀才・凡人、アリとキリギリス、「イノベイターDNA診断」を使って2021年6月に書いた文章です。
最近読んだ、ちょっと面白かった話。
より
英特殊空挺部隊(SAS)ができた いきさつ。
これが試行錯誤の末にSASへとなるようです。詳しくはリンク先で読んでください。
このスターリングという人、
どちらかというと、実行力よりは創造力(想像力)が強い、「イノベイターDNA診断」におけるイノベーターのようです。
つまり拡散思考者ということです。
話は変わって個人のページ
『心理学の基礎-「創造性」_ ひろみの勉強部屋』
より
創造性には収束思考(知能)も必用だけど、それは、知能指数において120を超えると相関は消失するようです。
これは、
「地方大学出でもノーベル賞を取る人が現れるのはなぜなのか?」
の説明にもなると思います。
創造性において収束思考(知能)は、ある程度あればよいわけです。
とはいっても120は高い値ではあります。
あとは、創造的思考には、準備期において情報収集が必要だということです。
この前提で話を進めます。
今回追記をするのは、以下を紹介したかったからです。
『知の探索・知の深化の理論
【解説動画】『世界標準の経営理論』#11
入山 章栄 :早稲田大学大学院 経営管理研究科(ビジネススクール) 教授 』
2分ちょっとの動画解説です(説明は前半の1分ちょっとを見るだけで分かります)。とても分かり易い動画です。
これを見ると
「そもそも、生産性とクリエイティビティはお互いに引っ張り合うもの」
が実感できると思います。
以下、文字起こしをした文章です(文字を読むより1分ちょっと動画を見たほうが分かり易いです)。
ここまで読んできている皆さんに説明は不要かも知れませんが、
この縦軸の『探索』が拡散思考に関連し、
横軸の『深化』が収束思考に関連していると言えます。
そして、
「そもそも、生産性とクリエイティビティはお互いに引っ張り合うもの」
という話もこの動画を見ると、横軸(生産性=深化)と縦軸(クリエイティビティ=探索)の関係だと理解できると思います。
たぶん始めは『探索』なんですよ。それがだんだんと方向線が寝てきて、『深化』になるのだと思います。
もしくは『探索』なんてせずに、正解をコピーしてきて、その上で『深化』させているのだと思います。
関連する話です。
『イノベーションのために生産性と創造性の違いを理解する』
これが『深化』。
これが『探索』。
今回は、
「そもそも、生産性とクリエイティビティはお互いに引っ張り合うもの」
の分かり易い説明のために追記をしました。
その上で、
『仲間は異なるほうがいい ― ひとりでは到達できないところへ行くために ―』
を書いたので、それを紹介しておきます。
「“凡人”、“秀才”、“天才”は理解し合えません。物事の良し悪しを判断する“軸”が違うからです」
という言葉を以前紹介しましたが、
それは、お互い違うままで、異なる人たちが組むことで、
だからこそ、物事が進展することもあるという話です。