同じ『思考者』である タイプ5ウイング4 と タイプ5ウイング6 はどう違うのか?

 今回は、エニアグラムの『考える人』タイプ5のウイング4とウイング6の違いをザックリと説明してみます。

※ 『【エニアグラム用語】ウイング(ウィング)

 まず、王道的な『考える人』であるタイプ5ウイング6から、
 ウイング6はタイプ5の『考える人』なのですが、ここにタイプ6の要素が加わります。
 タイプ6の要素とは、「一択」「統一」「分類」「数式」などです。なぜこうなるのかの説明は省きます。書くと長くなるし、理屈っぽくなるし、それに書いたとしても大した説明も分かり易い説明もできていないし・・・、何より、ここの場では、エッセイとかコラムを目指しているので、
書くとしても、ここでは無く、今、書いている途中の電子書籍のほうで書くつもりで、
だから、まあ、ともかく、ここでは「そんなもんだ」とでも思っておいてください。

 これらのタイプ6要素が絡むので、タイプ5ウイング6は、未知や混沌を、既存の分類や、数式、技術などの中に、収めていきます。
 なんというか、既存の分類や数式や技術をテコや道具にして、さらに、その分類を充実させたり、数式の解釈を広げたり、技術を積み上げたりします。
 タイプ5ウイング6は、そうやって知識の領土を確実に広げていきます。
 これが、タイプ5ウイング6の別名である『問題解決者』の姿です。
 『問題解決者』の説明は、『エニアグラムにおける二人の『問題解決者』、タイプ5ウイング6 と タイプ6ウイング5 はどう違うのか?』の中でも行なっているので、そちらも参照してください。

 いっぽう、
 ウイング4も、タイプ5の『考える人』なのですが、ここにタイプ4の要素が加わります。
 『芸術家』とも言われるタイプ4は、ハートセンターでイメージの人です。
 これがタイプ5ウイング4自身を振り回すことになります。
 タイプ5ウイング4はイメージを使って考えます。これは、ウイング6の分類感覚に比べると、ぶっ飛んでいます。ウイング4なので、その思考は想像力という推進力を得てぶっ飛ぶ・・・、つまり大きく飛躍することがあります。

※ 『【エニアグラム用語】センターとは?

 元々、タイプ5というものは思考センターなので、思考の飛躍というのはウイングに関係無くあります。ガッツセンターの『完璧主義者』であるタイプ1のように、ひとつひとつ積み上げるようなことはせずとも、思考であれば、論理や数式を使って、まだ見えていない先の「予想」ができるからです。そういった意味での思考の飛躍(思考のジャンプ)はタイプ5であれば行なうものなのですが、ウイング4は、さらに、イメージを使って大きくジャンプをします。既存の考えを放っておいて、想像力を使って飛躍を試みます。そしてこのウイング4の飛躍は、ジャンプを超えてワープになることすらあります。このようなときは、着地点が、既存の「考え」から離れすぎてしまっていて、道がつながっておらず、ウイング4自身にも、自分がどこに立っているか分からなくなることがあります。始めのほうで書いた、「自身を振り回す」とは、このような状態のことを言っています。そして後の方で出てくる"考え間違い"にも振り回されます。

 現実世界においては、ウイング4が、こういったジャンプやワープを行なったときの「考え」に対しての正当な評価が、誰にもできない場合が起きたりします。そういうとき、タイプ5ウイング4の当人以外の他人は、この「考え」をもてあまします。ときには、否定的に扱ったりもします。

 そして、この想像力を使った飛躍には、これ以外にも、大変大きなリスクがつきまといます。思考の飛躍間違い、つまり、"考え間違い(想像間違い)"の頻度も、また、大きく起きるからです。
 でも、ウイング4は、それを止められません。なぜって、そういう性格タイプだからです。

 このタイプの代表選手であるアインシュタインはこう言っています。
「想像力は、知識より大切だ。知識には限界がある。想像力は、世界を包み込む」
 また、こうも言っています。
「私は何ヶ月も何年も考える。100回中99回は間違えるが、100回中1回は私が正しい」

 これが、タイプ5ウイング4の姿です。

 ちなみにアインシュタインの授業はこうだったそうです。

アインシュタインが教室で学生に試験問題を配っていたときのこと、渡されたテスト用紙を見て、学生たちはみな困惑しました。
 「教授、これは前回と同じ問題ではないですか?」
 「その通り」と、アインシュタイン。
 「問題は同じだが、今回は答えが違う」
 これらのエピソードから、アインシュタインが常に複数の答えを模索していた様子をうかがい知ることができます。

※ アインシュタインの発言などは『スウェーデン式アイデア・ブック(フレドリック・へレーン)』ダイアモンド社 より引用しています。

 アインシュタインに関しては、「宇宙項(宇宙定数)」の話があります。アインシュタインは、これを考えた後、「生涯最大の失敗」として否定しています。
 でも、近年、別の方向から、この「宇宙項(宇宙定数)」が復活する動きがあります。
 タイプ5は、否定を繰り返したり、可能性を模索しながら、考えていきます。もしもアインシュタインが、まだ生きていたなら、否定の否定を行なって、再度「宇宙項(宇宙定数)」を取り上げていたかも知れません。

※ 『『否定者』と『悲観者』

 ここまで読んでいただけたなら、同じタイプ5の『考える人』でも、考え方が違うことが分かっていただけたかと思います。

 今回は、タイプ5ウイング6と、タイプ5ウイング4の違いの話でした。


 ここから先は、蛇足で書かせてもらいます。

 昔読んだ、内田樹さんの文章で、こんなものがありました。
 ある人が、「近年の子供の学力に危機感を感じている。毎年テストの平均点の結果が、1点ずつ下がってきている」と言っていたので、内田さんは、「たった1点なら大したことないのではないか?」と返したそうです。すると相手が「それが1点でも、10年すれば、10点の開きとなる」と説明して、それを受けて、内田さんも、その危機感が理解できたのだそうです。

 この話に出てくる相手の人は、数式を使って、未来を見るタイプ5ウイング6なのかも知れません。
 また、この相手の人には、タイプ5の顔のひとつである『悲観者』の面も出ていると思います。

 もうひとつ書かせてください。

 ノーベル賞の湯川秀樹さんの話です。
 若き日の湯川さんは、「どうして陽子同士が反発して原子核が砕けてしまわないのか」という疑問に答えようとしていました。

以下、国立科学博物館のページから引用です。

そのころの湯川博士は、枕元にノートを置いておき、寝ながら考えが浮かぶとそれを記録していました。そしてある晩、探し求めていた答えがひらめきました。「陽子と中性子は、何か別の粒子をキャッチボールしているのではないか? しかし原子核はたいへん小さく、キャッチボールの距離もきわめて短い。きわめて短い距離を飛ぶ粒子は、非常に重いはずだ。非常に重いために、粒子はほんの一瞬しか存在できずに発見されないのでは……」。計算してみると、この粒子は電子の200倍ほどの重さをもつことがわかりました。その重さは陽子と電子の中間であることから、「中間子」とよばれるようになりました。

 湯川秀樹さんは、想像力を使いながら考えています。なので、タイプ5ウイング4となります。

湯川博士はこの中間子理論を仮説としてまとめ、1934年に東京大学で開かれた日本数学物理学会ではじめて発表しました。しかしその理論はあまりにも大胆で、それまでの物理学の常識をくつがえすものであったために、相手にされませんでした。

 そしてこのウイング4の思考の飛躍は、始めは相手にされなかったようです。

幸運は湯川博士を見捨てませんでした。1937年に湯川博士が予言した粒子と同じような重さの粒子が発見されたのです。その粒子は宇宙からやってくる宇宙線からみつかりました。その後、その粒子は湯川博士が予言したものとは違うことが判明しましたが、中間子理論は世界の脚光を浴びるようになりました。
1947年には、実験によって湯川博士が予言した中間子の存在が明らかになり、湯川博士の理論が正しいことが証明されました。

 そして、1949年、湯川さんは、ノーベル物理学賞を受賞することになります。

 湯川さんに関しては、どこかのウェブページでこんな内容の文章を読んだ記憶があります。

 それまでの物理学者は、既存の分かっている知識を使って、なんとか物事を説明しようとしていた。だが、湯川博士が、「これが、あれば説明がつく」という形で、当時、まだ発見もされてもいない中間子を使った理論を発表したのを見て、物理学者たちは、「こういった、"これがあるなら説明がつく"といった考え方をしてもいいんだ」ということを学んだ。その結果、「素粒子物理学」が活発になった。(記憶で書いているので、間違っていたらごめんなさい、指摘してください)

 この話からすると、湯川さんには、タイプ5ウイング4のあだ名である『因習を打破する人』の面も出ていたようです。






・ エニアグラムの基本的な用語が分からないかたはこちら(古いものから読んでみてください)
・ そもそもエニアグラムって何?というかたは、つたない説明ですがこちら
・ これを書いている私は、エニアグラムを使って日本人の国民性の解説もいろいろと行なっています。あなたが『思考者』なら、知らない「考え」には興味を持つはず。こちら

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