『否定者』と『悲観者』

 『疑念者』の話を続けたいのですが、その前に『否定者』のことを書きたくなってしまいました。
 『否定者』とはタイプ5のことです。
 一般的なタイプ5のあだ名は、『考える人』(ドン・リチャード・リソ)、『傍観者』(ヘレン・パーマー)、『観察者』(レニー・バロン/エリザベス・ウエイゲル)、『観察する人』(ティム・マクリーン/高岡よしこ)、で、私的解釈(=我流)で言えば「知をもって内に入る人=考えをめぐらす人=思考者」もしくは「知をもって切る人=否定者」となります。ちなみに「内に入る」も「切る」もほぼ同じ動作を指しています。
 『否定者』とは、まあ簡単に言ってしまえば、人が言うことを否定する人ということです。悪く言えば、天邪鬼とも偏屈とも言います(タイプ5のかた怒らないで…って、タイプ5なら冷静に読んでるだろうけども)。瞬間的に“自動反応”として、否定が出てきてしまう人です。提示された考えを切ってしまいます。思考の“ちゃぶ台返し”をすることもあります。
 昨日書いたタイプ6の『疑念者』との違いが一見して分からないときもあります。提示されたものをそのまま受け入れない点では同じように見えるからです。両者に違いがあるとすれば、タイプ6は不安定を嫌がり、タイプ5は不安定を気にしないという点です。
 混沌とした状態で平気なのがタイプ5です。混沌が平気だから、自分が否定したものを、さらに否定して、また否定して、というようなことも行います。行い続けます。性格タイプが違う人にこれを説明するのは難しいのですが、「何らかの考えを支持している時点で、考えていない」のです。『思考者』というのは『考える人』というのは、いかなる考えにも組しないで永遠とそれをいじり続ける人なのです。ですから、タイプ5は大げさに言えば、全ての考え、全ての権威、全ての常識を否定します。そして、否定し続けて、否定し続けて、「あーでもない、こーでもない」と「でもない」「でもない」で否定して、そうやってこねくりまわしているうちに、新しい考えが出てくる場合もあって・・・これが『考える人』の正体です。
 タイプ5を表す言葉に「考えることに夢中で上の空の教授」というものがあります。タイプ5が内なる混沌とした世界の中で何か考え出すと、そのうち自動反応で否定や異論が入るので(自分自身の考えを自分で切っている)、それが思考の検証という役割をはたすことになります。そういった思考と検証の繰り返しを頭の中で永遠と行なっていると、傍からは「上の空」に見えることになります。
 この性格タイプの特徴というか癖が、科学や哲学なんかの学問と相性がいいというだけの話です。持っている才能や資質と性格が上手く噛み合えば、歴史に名を残す人となるでしょうし、そうでなければ、天邪鬼な人、ちょっと変わった人で終わるかも知れません。ただ、どちらも「根っ子」は同じです。
 『否定者』の別の特徴としては、明るい話を暗く、暗い話を明るく、という風に反対にすることもあります。
 また、混沌や暗い話に耐性があるので、『悲観者』にもなりがちです。タイプ5は悲観した状況で生活ができる人でもあります(大抵そういうときはレベル的には落ちていますが…)。
 最近のニュースでの人工知能における見解で、物理学者のスティーブン・ホーキングさんなどが悲観的な見解を述べていますが、タイプ5は先ほども言った通り基本が『悲観者』なので、「ああ、タイプ5らしいな」くらいな感じで聞いておくくらいでいいと思います。本気で悲観しているのでしょうが、同時に考えることをあきらめないのがタイプ5なので、今でもたぶん、いろいろな考えを思いついては、自分で否定し検証しながら、考え続けていることだろうと思います。

2017年2月25日追記
 イギリスのマーティン・リース男爵も、タイプ5のように「あーだこーだ」考えていますね。『今世紀 我々は人類の終わりを回避できるか(TED)』をご覧ください。こういうことを言うのはタイプ5国家のイギリス人であるためか、ご本人がタイプ5なのか、それとも両方なのか・・・興味のあるかたはご覧ください。

参考
自動反応と笑い話』自動反応をあつかったもう一つの話です。
しのごのしのごの 思考センターの話

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