「こたえはひとつじゃなくてもいいじゃない。」
人材コンサルタントという職業柄、延べ人数で言うとざっとこれまで数百人の求職者さんにとっての「はたらく」を、一緒になって考えてきた。
「はたらくってなんだろう?」
だから少なくとも就職してからはずっと、この問いの正解を探し続けてきたし、テーマとして常に頭の中で考えていた。考え続ければ、いつか答えは出ると思っていた。・・・いや違う。いつの間にか無理矢理答えを出そうとしていた。
この仕事を始めてから、毎日忙しなく、求職者さんの「はたらく」支援をしてきた。わたしが紹介した会社に求職者さんの就職が決まると、(当たり前のことだが、)求職者さんの履歴書に職歴が一行追加される。それだけでなく「就職先で出会った人と結婚することになったんです!」というハッピーなご報告をいただいたこともある。とてつもなくうれしかったなあ。
言うなれば、人生ゲームの「イベントマス」に関わる大仕事なのだ。間違いなく、良くも悪くも自分が関わることで、その人の人生が大きく変わる。入社当初はその責任の重さに押しつぶされそうになったこともあったが、多くの人に影響を与えられる仕事はその分やりがいも大きかったし、前だけ向いて、がむしゃらに求職者さんと並走して、あっという間に毎日が過ぎていった。
そんなある日。わたしはオーバーワークで倒れた。
いろいろな働き方とあれだけ向き合ってきたはずなのに、自分自身の働き方とここまで全く向き合えていなかったことが、何よりショックだった。何やってんだろう。
「はたらくことの定義もできないような自分に人の仕事のサポートなんてできっこない」
そう思った自分は、「はたらかない」ことを決めた休職期間中、今まで以上に「はたらく」ことについて考えた。図書館に通って、さまざまな人の働き方に関する記事や書籍をたくさん読んだ。「はたらく」ことに思いを馳せた。
そして一冊の本に出会った。
「女と仕事 『仕事文脈セレクション』」
http://tababooks.com/books/onnatoshigoto
ふつうに仕事をしていくのが難しすぎる
小さいけど深くてモヤモヤする、女と仕事の話いろいろ
そこには居住地も職種内容もバックボーンも、まったく異なる女性たちの働き方がたくさん書かれていた。
読みながら気づいたことがあった。
「こたえはひとつじゃなくてもいい。むしろ、こたえなんて出なくていいじゃない。だってたった一つの正しい解なんてこの世に存在しないんだから。」
凍りきった心が、じんわりと溶けていくような感覚になった。
この後、数ヶ月の休職期間を経て、わたしは無事復職することができました。
今のわたしは、もう無理矢理答えを出そうとはしない。
人の数だけ価値観は存在し、その価値観の数通りの正解があると気付けた今の自分になら、これから先、なんだってできそうな気がする。
そしてさらに広い視野で求職者さんの支援ができているんじゃないかな。そうであってほしい。
どうせ「はたらく」なら、
それぞれがたのしくはたらける世界へ。
どうせ「はたらく」なら、
それぞれの「こう働きたい!」が受け入れられる世界へ。
まずは、自分がやってみる。
きっとずっと、これからもわたしは何らかの形で「はたらく」んだろうな。
「はたらく」って、人生そのものかな。
・・・はたらくって、なんだろう?
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